2018年NaGISA netノベルゲーム大賞
2018年12月31日
2018年も今日で終わりです。今年の5月にほぼ3年ぶりにレビューを再開し、通常レビューは177本、掌編ミニレビューは6本、合計183本のレビューを書きました。これは、それまでのペースからすると4年分以上の量に相当します。
来年もこのペースでぶっ飛ばせるとは思いませんが、ある程度のペースを守ってレビューを書いていければと思っています。177本中、推薦は10本、準推薦は62本でした。
以前は静的HTMLでページを作っていましたが、ブログにすると検索が楽だったり、カテゴリー分けができたり、色々メリットもありますね。そして「ジャンル別インデックス」を新たに作り、Peing質問箱を設置したり、なるべく使いやすいようなページを目指しました。今年の大詰めになって、掌編ミニレビューも開始しました。なるべく皆さんからのリクエストに応えられるよう、来年もマイペースで書いていきます。
では、今年の総括記事を書いてみます。ジャンル別の私的ベスト作品賞、無印作品から選んだ特別賞、キャラクター賞、そして大賞の順番に行きます。
恋愛カテゴリーの作品は20本。以前と比べると随分減った印象です。その中で、ベストを挙げるならば「ハッピーエンドに花を添えて」です。正攻法で凝った伏線が物を言うタイプの物語ではありませんが、分割公開である事を生かし、春夏秋冬それぞれの季節で起承転結のあるメリハリの効いたストーリーがよく出来ていました。今は難解で凝った物語が多いため、この作品のようなストレートなシナリオは、逆に目立ちます。
次点には、ヒロインのツンデレっぷりが楽しい「スノーフレークのため息」と、立ち絵はないものの、幼馴染正統派恋愛ものとしてとてもよく出来ていた「ベルリンの船」の2本。一時期はレビュー作品の3分の1が恋愛ものという時期もありましたし、恋愛ものはやはりノベルゲームのメインジャンルですから、来年もいい恋愛作品に出会えるといいですね。
日常カテゴリーの作品は21本。その中の私的ベストは「眠れない夜に」。一捻りの効いた作りと、リアリティのある丁寧な描写が見事でした。変に難解なところがなく、ストレートに語ったところも好印象でした。居酒屋での妙なやり取りは名シーンですね(笑)。
次点は「幸福のラルカ」「イモウト及第点」。前者は演出が大変凝っているカフェもの、後者は兄妹の絆を描いた作品。いずれも印象に強く残った作品でした。日常ジャンルは、突き抜けた作品を作るのがなかなか難しいジャンルだと思いますが(だからこその「日常」ですし)、今年は個性的な日常作品をたくさん読めたと思います。
ファンタジーとSFは合わせて25本。その中のベストを選ぶなら、「詩歌を嗜むRe」でしょうか。一部の下ネタは寒いのですが(汗)、壮大で読み手をぐいぐい惹きつける物語でした。主人公とシロ子の微笑ましいやり取りや、2人の絆の強さは今でも心に残っています。
次点は「Hybrid custom doll」「水の星、世界を手に入れる男」の2本。前者は、柚子と夏菜の関係の描き方と、中盤の急展開が見所でしたし、後者はスケールの壮大な本格ファンタジー戦記物語。SFやファンタジーは、自由に色々と盛り込めるジャンルですから、プレイする時のワクワク感は随一かも知れませんね。
「不思議系」に分類した作品は33本。元々は「ファンタジー・不思議系」だったんですが、増えすぎたのでジャンルを分けました。この中での私的ベストは「オモイ オモイ」です。独特な設定と、ちょっとぶっ飛んだキャラクターたちのやり取りも面白いのですが、ラストシーンの綺麗さが非常に素晴らしく、印象に残った1本でした。理子がとにかく可愛いです。
次点は凝った伏線が解ける様子が面白かった「Remembers-果てなき記憶の輪舞-」と、ぶっ飛んだ展開ながら重みのある短編「3時間と1分のホワイトデー」を。多分このジャンルは来年も多数の作品が出てくるでしょう。個性的で作者さんの工夫を存分に盛り込まれた作品を、来年も楽しませていただきましょう。
このジャンルは合計で20本。特にシリアス・感動系は、私が好きなジャンルでもあります。なんとここだけで推薦が5本も出ているという凄さ。ここから選ぶというのも大変ですが、このカテゴリーの私的ベスト作は、「世界で一番悲しい笑顔」を選びました。どちらかと言うと直球な物語なのですが、主人公雅玖がだんだん立ち直って行く描写がとても良く、ハッピーエンドではないものの前向きな気持ちになれる終わり方も素敵でした。
次点は、映画風の1枚絵の演出が圧巻だったヒーローもの「銀河特捜ライジン」と立ち絵もない短編ながら見事な構成の「あなたのお家に行ってもいいですか?」を。このジャンルは良作が多くかなり迷いました。来年も多くの良作に出会える事を期待しています。
このジャンルの作品は合計20本。私があまり得意としないジャンルでもあります。このジャンルのベスト作品は、「MINDCIRCUS」を選びました。この作品、好みで言えば私に合う作品とは言い難いのですが(ほのぼの明るい作品が好きですので)、それでも人間関係の描写や謎が明らかになる後半の展開には息を飲みました。トゥルーエンドでちゃんと希望が示されるのも良かったですね(今気づいたけど、この作品だけ画面写真がpngだった……)。
次点は、超短編ながら心に響いた「鬼のうた」と、キャラクターが可愛らしい「みのりびよりに」を選びます。苦手なジャンルではあるのですが、来年もなるべく積極的にこのジャンルにも手を出してみたいと思っています。
このジャンルは合計16本。学園ものも、以前に比べると随分減ったような気がしますが、気のせいでしょうか。そしてこのカテゴリーのベスト作品は、「クロス×ヒート!」を選びます。絵がいまいちなので見た目で敬遠する方もあるかも知れませんが、内容は本格的です。キャラクターの成長の様子もいいですし、何よりストーリー展開が熱すぎます。お気に入りの一作です。
次点は、地味ながら等身大の学園生活がうまく描かれた「ストーリーテラーを作ろう!」と、一風変わった設定の学園ドラマ「FeARy-電子妖精の囁き-」を。最近は、ただの学園ものではなく、学園を舞台に色々の要素を盛り込んだ作品が多く、学園・青春ものというのは減っている気もしますが、このジャンルもフリーノベルゲームの基本ですから、また色々な作品で盛り上がってほしいものです。
「コメディ」「病院・闘病」「探索・謎解き」「ナンセンス・不条理」「オムニバス・その他」をまとめました。作品数は22。このカテゴリーの私的ベスト作品は、「今宵サンタは街角で。」。10年前の作品ですが、今プレイしても最新の作品に何ら遜色はありません。伏線や設定に凝っている訳ではなく、キャラクターと描写だけで読ませる、あいはらさんらしい作品。こういう作品を書かせると、あいはらさんの右に出る人はいないなと思わせられた一本でした。
次点は、重厚な闘病ノベル「あの丘の上まで2」と、多彩な作者さんによる短編が楽しめる「ティラノゲームフェス2016メンバーズコレクション」を選びます。オムニバス、アンソロジー形式の作品は最近増えているように思います。気軽に様々な作品を楽しめるのがいいところですね。
これまでの各部門賞は、全て「準推薦」「推薦」がついた作品から選んでいますが、無印の作品にも良くできているもの、お気に入りの作品はたくさんあります。ここでは、無印の作品から特別賞を何本か選んでみます。
まずは「げっと☆おん」。内輪ネタが多かったり、シナリオの質が安定していなかったりもするのですが、楽しさという点では今年プレイした作品の中でも一番だったかも知れません。それと音楽が良くできており、タイトル画面の曲は耳について離れません。オープニングデモの歌も気に入っています。こういう、どたばたごった煮的な作品は、やはり楽しいものです。
続いて「ヤミクイウサギ」。ウサギの可愛さとファミコンネタがツボでした。続編が出たらまた是非プレイしたいと思っています。そして「ようこそ、猫柳堂書店へ。」。ラジオドラマのような渋いフルボイスと、地味ながらリアリティがあってほのかに心温まるドラマが気に入っています。
「3段目のきみ、5段目のぼく。」は、短い作品でありながら、非常に強い余韻を味わわせてくれた作品。もう1本、「騎士の恩返し」。誰もが知っている童話をモチーフに、様々な分岐を見せてくれて、どれもがきちんと破綻なくまとまっている作りの良さ。ちょっとブラックなオチもありますが、ハッピーエンドもあるので読後感も良好です。ラストで出てくる1枚絵も良かったですね。
以上5本が特別賞。無印でもいい作品はたくさんありますので、推薦と準推薦ばかりに目を向けず、無印作品も是非積極的にプレイしてみてください。
お気に入りのキャラクターを色々挙げてみます。「オモイ オモイ」の理子、「げっと☆おん」の萌瑛、「みのりびよりに」のみのり、正博、「七日目の花嫁」の龍神様、「夏ゆめ彼方」の杏、「かにまち」の小夏、「おるばり!」のコウセイとカズナリ、「俺たちのギャルゲ」の月綺、「妹のコミュ力が皆無な件。」の優子、「ななしのおろち」シリーズの十三階段、「透明な街」の権蔵、「脳と手の仲介者は心でなくてはならない」のブロンディ、「老と白」の淵野。
たくさん挙げましたが、誰か1人だけと言われたら、「詩歌を嗜むRe」のシロ子です。ヒロインとしてこれほど斬新なキャラクターもなかったですし、主人公への想いの描き方も秀逸で、大変心に残る登場人物でした。
魅力的なキャラクターって、ヒロインに限らないんですよね。主人公や、友人などの脇役もとても大事です。そういうキャラクターが魅力的に描かれていると、作品全体の魅力もアップします。来年も、色々な作品で色々なキャラクターと出会えるのが楽しみです。
では、私が選ぶ2018年の「大賞」。「親愛なる孤独と苦悩へ」。です。長い作品ですが、今年プレイした作品の中では一番と言っていいほどの完成度の高いシナリオ。奇跡が何もない前半も見事ですが、後半も圧巻。ラストの歌も素晴らしく、こんな作品にはなかなか出会えないでしょう。
まあこの作品は今年公開された訳ではないんですが、でも今年のレビュー作から1本だけとなると、これ以外は思いつきませんでした。未プレイの方は、年末年始の間にでもプレイしてみてください。長いですが、章立てですので、思ったよりは読みやすいと思いますよ。
という訳で、今年の締めくくりはこの辺で。来年も様々な作品をプレイしてレビューを書いていければと思っています。今年プレイした作品の多くは、皆さんからのお薦めで、私が1人で探していただけでは出会えなかった作品も多かったと思います。来年も、お薦め作品がありましたら、是非教えてくださいね。お薦め作品は、全てプレイするようにしていますので。
では皆さん、本年も大変お世話になりました。良いお年をお迎えください。2019年も、フリーノベルゲームが楽しい1年でありますように!
来年もこのペースでぶっ飛ばせるとは思いませんが、ある程度のペースを守ってレビューを書いていければと思っています。177本中、推薦は10本、準推薦は62本でした。
以前は静的HTMLでページを作っていましたが、ブログにすると検索が楽だったり、カテゴリー分けができたり、色々メリットもありますね。そして「ジャンル別インデックス」を新たに作り、Peing質問箱を設置したり、なるべく使いやすいようなページを目指しました。今年の大詰めになって、掌編ミニレビューも開始しました。なるべく皆さんからのリクエストに応えられるよう、来年もマイペースで書いていきます。
では、今年の総括記事を書いてみます。ジャンル別の私的ベスト作品賞、無印作品から選んだ特別賞、キャラクター賞、そして大賞の順番に行きます。
恋愛部門

次点には、ヒロインのツンデレっぷりが楽しい「スノーフレークのため息」と、立ち絵はないものの、幼馴染正統派恋愛ものとしてとてもよく出来ていた「ベルリンの船」の2本。一時期はレビュー作品の3分の1が恋愛ものという時期もありましたし、恋愛ものはやはりノベルゲームのメインジャンルですから、来年もいい恋愛作品に出会えるといいですね。
日常部門

次点は「幸福のラルカ」「イモウト及第点」。前者は演出が大変凝っているカフェもの、後者は兄妹の絆を描いた作品。いずれも印象に強く残った作品でした。日常ジャンルは、突き抜けた作品を作るのがなかなか難しいジャンルだと思いますが(だからこその「日常」ですし)、今年は個性的な日常作品をたくさん読めたと思います。
ファンタジー・SF部門

次点は「Hybrid custom doll」「水の星、世界を手に入れる男」の2本。前者は、柚子と夏菜の関係の描き方と、中盤の急展開が見所でしたし、後者はスケールの壮大な本格ファンタジー戦記物語。SFやファンタジーは、自由に色々と盛り込めるジャンルですから、プレイする時のワクワク感は随一かも知れませんね。
不思議系部門

次点は凝った伏線が解ける様子が面白かった「Remembers-果てなき記憶の輪舞-」と、ぶっ飛んだ展開ながら重みのある短編「3時間と1分のホワイトデー」を。多分このジャンルは来年も多数の作品が出てくるでしょう。個性的で作者さんの工夫を存分に盛り込まれた作品を、来年も楽しませていただきましょう。
シリアス・感動系・アクション・ドラマ部門

次点は、映画風の1枚絵の演出が圧巻だったヒーローもの「銀河特捜ライジン」と立ち絵もない短編ながら見事な構成の「あなたのお家に行ってもいいですか?」を。このジャンルは良作が多くかなり迷いました。来年も多くの良作に出会える事を期待しています。
ホラー・ミステリー・サスペンス・伝奇部門

次点は、超短編ながら心に響いた「鬼のうた」と、キャラクターが可愛らしい「みのりびよりに」を選びます。苦手なジャンルではあるのですが、来年もなるべく積極的にこのジャンルにも手を出してみたいと思っています。
学園・青春・スポーツ部門

次点は、地味ながら等身大の学園生活がうまく描かれた「ストーリーテラーを作ろう!」と、一風変わった設定の学園ドラマ「FeARy-電子妖精の囁き-」を。最近は、ただの学園ものではなく、学園を舞台に色々の要素を盛り込んだ作品が多く、学園・青春ものというのは減っている気もしますが、このジャンルもフリーノベルゲームの基本ですから、また色々な作品で盛り上がってほしいものです。
その他部門

次点は、重厚な闘病ノベル「あの丘の上まで2」と、多彩な作者さんによる短編が楽しめる「ティラノゲームフェス2016メンバーズコレクション」を選びます。オムニバス、アンソロジー形式の作品は最近増えているように思います。気軽に様々な作品を楽しめるのがいいところですね。
特別賞

まずは「げっと☆おん」。内輪ネタが多かったり、シナリオの質が安定していなかったりもするのですが、楽しさという点では今年プレイした作品の中でも一番だったかも知れません。それと音楽が良くできており、タイトル画面の曲は耳について離れません。オープニングデモの歌も気に入っています。こういう、どたばたごった煮的な作品は、やはり楽しいものです。
続いて「ヤミクイウサギ」。ウサギの可愛さとファミコンネタがツボでした。続編が出たらまた是非プレイしたいと思っています。そして「ようこそ、猫柳堂書店へ。」。ラジオドラマのような渋いフルボイスと、地味ながらリアリティがあってほのかに心温まるドラマが気に入っています。
「3段目のきみ、5段目のぼく。」は、短い作品でありながら、非常に強い余韻を味わわせてくれた作品。もう1本、「騎士の恩返し」。誰もが知っている童話をモチーフに、様々な分岐を見せてくれて、どれもがきちんと破綻なくまとまっている作りの良さ。ちょっとブラックなオチもありますが、ハッピーエンドもあるので読後感も良好です。ラストで出てくる1枚絵も良かったですね。
以上5本が特別賞。無印でもいい作品はたくさんありますので、推薦と準推薦ばかりに目を向けず、無印作品も是非積極的にプレイしてみてください。
キャラクター賞

たくさん挙げましたが、誰か1人だけと言われたら、「詩歌を嗜むRe」のシロ子です。ヒロインとしてこれほど斬新なキャラクターもなかったですし、主人公への想いの描き方も秀逸で、大変心に残る登場人物でした。
魅力的なキャラクターって、ヒロインに限らないんですよね。主人公や、友人などの脇役もとても大事です。そういうキャラクターが魅力的に描かれていると、作品全体の魅力もアップします。来年も、色々な作品で色々なキャラクターと出会えるのが楽しみです。
2018年NaGISA net大賞

まあこの作品は今年公開された訳ではないんですが、でも今年のレビュー作から1本だけとなると、これ以外は思いつきませんでした。未プレイの方は、年末年始の間にでもプレイしてみてください。長いですが、章立てですので、思ったよりは読みやすいと思いますよ。
という訳で、今年の締めくくりはこの辺で。来年も様々な作品をプレイしてレビューを書いていければと思っています。今年プレイした作品の多くは、皆さんからのお薦めで、私が1人で探していただけでは出会えなかった作品も多かったと思います。来年も、お薦め作品がありましたら、是非教えてくださいね。お薦め作品は、全てプレイするようにしていますので。
では皆さん、本年も大変お世話になりました。良いお年をお迎えください。2019年も、フリーノベルゲームが楽しい1年でありますように!
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