第60回/ただひたすらに、読め - Liar!~鈴菜編(川蝉の戯言) - 日常
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第60回/ただひたすらに、読め - Liar!~鈴菜編(川蝉の戯言)

日常
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Liar!~鈴菜編

Liar!~鈴菜編■制作者/川蝉の戯言(公開終了)
■容量/18.3MB

青年は、ある日街で変わった少女と出会った。背が高く、言葉にも幼さを感じさせるその少女は、生まれつき心に障害があり、中学校へは保健室登校を続けているという。人は、無邪気な顔で純粋な嘘をつく。背景も音楽もまるでない、シンプルな選択肢なしのデジタルノベル。

ここが○

  • 文章力はなかなかのもの。キャラも魅力的。
  • 長いが、意外な展開を見せるストーリー。
  • キャラの立ち絵の動きが独特で効果を出している。

ここが×

  • 文章がちょっとくどすぎる。文章の流れが頻繁に澱むのもきつい。
  • 音楽も背景もないのは、やっぱりかなり辛い。
  • 結局一部の謎は解決していないような気がする。

■ただひたすらに、読め

今まで「選択肢なし」なノベルは結構たくさん扱いました。「音楽がほとんどない作品」もいくつかありました。そして「背景がない作品」もありましたね(「A Story of Black」がそうですね)。だがしかし、よもやその3つの要素が全て合体した作品を目にする事になろうとは(苦笑)。今回は「Liar!」をご紹介します。

まず一番始めに感じるのは、「背景と音楽が皆無だと、やっぱり辛い」と言う事です。だって、「じゃ本でも読めよ」って事になりますから(笑)。その代わりに、今作は立ち絵の面白いアニメーションが効果を上げてますが、それにしても音楽と背景がどれほどノベルゲームの雰囲気を盛り上げるのに一役買っているか、思い知りました。秀逸なBGMが雰囲気を盛り上げた「遠来」に、全くBGMがなかったら? 独特の背景が「旅情」さえ醸し出した「Homeless, the Vagabond」に全く背景がなかったら? そう考えると、やはり音楽と背景は、フリー素材でも良いから欲しかった気がします。それだけでこの作品への評価がぐーんと上がるのですが。

今作は、文章力自体はかなりあると思います。上手いです。ただ、何と言うか「語り過ぎ」と言うか、くどいんですよね。しかも、キャラ同士のやりとりで、流れがかなり澱みます。お世辞にも「日常の一場面を切り取ったような」描写じゃありません。それでいて話は相当長い。で、音楽も背景もない。お話自体はなかなか面白いのに、色んな面でこの作品は相当損をしています。惜しいなあ。一人称の文章でこれだけ長いんですから、もっと切り詰める方法がなかったもんかなあ、と思いました。

シナリオは、後半結構意外な展開を見せ、一種諦観さえ感じさせる主人公の言動や、なかなか魅力的なキャラクター達とも相まって、楽しめるものとなっています(反面、前半がかなり辛いんですが……)。ただ、一部の謎が未解決のまま(詩亜の正体は何? とか、結局主人公って何? とか……)なのと、シナリオの進行バランスが宜しくない(前半退屈、後半唐突)はちょっと……。シナリオ自体はかなり行けてますし、主人公の言動はなかなか深いですし、キャラも魅力的なだけに、色々と惜しいです。なんか「惜しい」ばっかり連呼してますが、今作に感じるのは「惜しい」の一語。

上に書きましたが、キャラの立ち絵は、振り返ってみたり動き回ってみたり拡大してみたり、実に多彩な動きを見せます。立ち絵が出るキャラは2名のみですが、この立ち絵が実に効果的。それだけに背景……。何度も言いますけど、やっぱり背景はあってしかるべきです。背景と音楽、そして少々くどい文章。これだけでこの物語を読む事を途中で放棄してしまう人が出ないとも限りません。実にもったいない事です。

キャラクターですが、既に書いた通り主人公を含めてとても魅力的。主人公の幼なじみの女医はいい味出してますし、タイトルにもなっている鈴菜は実に可愛らしい。ラストの鈴菜には、思わず笑みがこぼれました。キャラの心の動きなども上手く表現されてて、感心しました。

「ノベルゲーム」としての体裁がもう少し整っていたら、評価が格段に上がるであろう作品です。文章が、人によっては受け付けない人もあるかも知れませんが、冒頭で気に入れば是非最後まで読んでみてください。派手さはないけど、どこか心に残る、そんな作品です。
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