第569回/風花とかす日の光 - 風のように、花のように。(妹れっぐぅおーまー) - 不思議系
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第569回/風花とかす日の光 - 風のように、花のように。(妹れっぐぅおーまー)

不思議系
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風のように、花のように。

風のように、花のように。準推薦
■制作者/妹れっぐぅおーまー(ダウンロード
■ジャンル/悪魔と同居交流ノベル
■プレイ時間/1時間

悪魔アエリアルは、気まぐれから風野綾花の元へ現れた。アエリアルは今までも何度も人間の願いを叶えてきたのだが、彩花の願いは、「恋愛の相談に乗って欲しい」というものだった。半ば呆れながらもその願いを叶える事を約束したアエリアル。それから、綾花とアエリアルの奇妙な同居生活が始まった。心温まる、悪魔と人間の交流物語。

ここが○

  • 心温まる物語。
  • 変にあざといところがない。
  • 綺麗な立ち絵。プレイしやすいシステム。

ここが×

  • 時代考証が少々なおざり。
  • 投げっぱなしな感のあるラスト。
  • 風花の恋人の影が薄い。

■風花とかす日の光

最近、ちょっと古めの作品のご紹介が続いています。基本的には、新作もなるべくチェックするようにはしているんですが、どうもしっくりくる作品がない事も多々あります。そういう時は、ちょっと古めの作品を探しにいく事も多いのです。この作品も、初出は2009年。もう10年も前です。しかし今プレイしても古さを感じさせません。

舞台は、恐らくは昭和50年代前半の日本。最初に苦言を書いてしまいますが、この作品は時代考証が少々大雑把です。主人公である風花(風野綾花)の口調も、ちょっとその頃のような感じではない上、当時の風俗が描写されていますが、どうもそれっぽくないというか……。松田聖子が大人気の頃にはインベーダーゲームのブームは終わっていたはずですし、ビートルズに至ってはそれより10年、下手したら20年近く前のことのはずです(流石にビートルズまで行くと、私の母親の世代ですが)。

風のように、花のように。この作品は、意図的に古めの時代を取り上げる事で、インターネットや携帯電話、スマホを使う事をしないところに面白さがあるので、そこの考証はしっかりした方がいいように思いました(「ある夏の日、山荘にて……」のレビューでも、似たような事を書きましたが)。やはり、ファンタジーものでネットスラングを使ったり、時代劇で「マジで?」「ヤバい」なんて言ったりしてたら、それだけで興ざめですからね。

さて、そういう事を置いておきましても、この作品はよく出来ています。悪魔が現れ、主人公の風花に願いを叶えてやると言い、風花は「恋愛の相談に乗って欲しい」と言うのですが、ありそうでなかったこの展開が、とてもいいです。「ボーイミーツガール同居型」ならぬ「ガールミーツガール同居型」なのですが、主人公が男性であったならちょっとあざとくなるところを、絶妙に払拭しているのが上手い作りです。

途中までは、特にストーリーの方向性が示される訳ではなく、風花とアリア(アエリアル)の日常が描かれるだけです。もう少しイベントを盛り込んでもいいような気はしたのですが、尺がそれほど長くない事もあって、さほど違和感は感じませんでした。風花とアリアの微笑ましいやり取りを見ているだけで、十分楽しいです。

そして、風花の恋愛模様が少しずつ進むと共に、話も急に後半に流れていきます。作りとしては、目新しくはないのですが、そう言う展開は予想していませんでした。この作品は、悪魔であるアリアが、徐々に人間の心の機微を理解できるようになるのが見どころなのですが、特に風花の事情が明らかになってからのアリアの立ち居振る舞いは、とても魅力でした。変に媚びておらず、自分を貫いていて、それでいて風花への思いやりがそこかしこに溢れているんですよね。

その勢いのままラストの別れのシーン。これがまた素敵です。風花も素敵ならアリアも素敵。変にウェットな方向に走らない辺り、風花とアリアの数年の関係そのままという感じでした。別れのシーンって、普通ならとことん感動的に盛り上げたくなるものでしょうが、この作品の場合は、逆を行ってかえって感動させるという、見事なストーリーテリングを見せてくれました。

ただ、終わり方は少々投げっぱなしというか……。全てを語らないこの方法もありとは思うのですが、少しすっきりしないものが残りました。後書きを読むと、仕方ない事情があった事のようですが、風花がその後どうなったのか、それくらいは読んでみたかった気がします(すみません、あまり「あとはみんなが想像してね」系の話は、肌に合わないのです)。風花の恋人も影が薄く、もうちょっとラスト近辺では活躍させても良かったような気がしました。

ツールは吉里吉里です。10年前なのに、軽くてプレイしやすいですね。特に既読文章スキップは快適です。選択肢のない一本道で、プレイ時間は1時間程度です。設定の割にノスタルジーを感じる作品ではないのですが、こういう作りの作品は他にあまりないと思います。時代考証関係なく楽しめる作品だと思いますので、「だんだん仲良くなる交流もの」がお好きな方ならば、プレイして損はない作品ですよ。
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