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第574回/天使は時々素直じゃない - 電波男はお呼びじゃない!(灰色)

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電波男はお呼びじゃない!

電波男はお呼びじゃない!■制作者/灰色(ダウンロード
■ジャンル/電波男とツンツン女のラブコメノベル
■プレイ時間/20分

ある日教室で、掃除時間に遊んでいた同級生に激昂した恩田取香。ボール代わりに使っていた雑巾が彼女に当たってしまったのだ。感情的に怒鳴ってその場を去った取香には、幼少期の秘密があった。そんな取香の前に「僕の天使!」と言って現れた怪しげな男、上部玲。取香は全く取り合わないが、玲はめげずに取香にアタックを続ける。軽く読めるラブコメノベル。

ここが○

  • 取香と玲の噛み合わないやり取りが面白い。
  • 短いながら構成がしっかりした物語。
  • 取香の心情がよく描けている。

ここが×

  • 演出がちょっとくどい気がする。
  • 恋愛描写はもう少し踏み込んでも良かったのでは。
  • 盗聴器は流石にやりすぎの感が(笑)。

■天使は時々素直じゃない

懐かし目の作品の後は新しい作品を。「罪咎オペレッタ」「メモリーロスト・ネバーランド」の作者さんの新作です。前2作が、大変個性が強い作品でしたので、今作も取っ付きにくい作品なのかなと思ってプレイしました。確かにキャラクターは少々あくが強い設定ではありますが、実は正攻法の正統派ラブコメ(恋愛ものというより、ラブコメの方がしっくりきます)で、楽しめる作品です。

主人公の恩田取香は、かなり気の強い女子高生。その日も、掃除中に遊んでいた男子生徒が投げた雑巾が当たってしまい、激怒。男子生徒の釈明も聞かず、さっさと帰ってしまいます。すぐに感情的に自分の思いをぶちまけてしまう取香ですが、彼女がそういう性格になったのには、幼い頃のちょっとした思い出が関係していたのでした。

電波男はお呼びじゃない!そうして現れる、謎の電波ストーカー男、上部玲。いきなり「やっと会えた、僕の天使!」と取香に迫ってくる様子は、取香ならずとも、さーっとひいてしまうでしょう(笑)。当然取香は玲を冷たくあしらい、罵詈雑言を浴びせるのですが、玲は全く怯みません。

そして、本当にストーカー紛いの行為をして、取香の自宅まで押しかけてくる玲。ここまで来れば、犯罪者すれすれです(笑)。こういう、真面目に解釈すれば危ない展開を、取香と玲の極端なキャラクターでちょっとお馬鹿に味付けして、嫌味にならない風味にしており、軽く読んで楽しめる内容になっています。2人の噛み合わない会話、何度叩きのめされても全く応えない玲の反応が面白いです。

ただ、大変先読みがしやすい展開で、大方予想した通りに物語が進みます。そこはそれ、物語の作りとしてはどんでん返しで驚かせるタイプではなく、ストレートな展開に取香と玲のキャラクターの面白さを乗せて楽しむべき物語だと思うので、このままで全然構わないと思うのですが、特に玲の側が取香に惹かれるようになった理由を、もう1つ明確にどこかで描いていれば、説得力がより増したような気がします。

今のままだと、玲に「お前誰でもいいんかい」という印象を持ってしまうんですよね。幼い頃の玲も、特に深い考えなしに約束をしたようですし。ここに、何かプラスアルファがあれば恋愛ものとして、より心に響く作品になったのではないでしょうか。この作品は、過去回想がかなりシナリオ上で比重が高いと思うので、そこにもう一捻りが欲しかったように思いました。

反面、主人公である取香の描写はとてもいいです。冒頭の「キレまくる」ところから始まり、玲を適当にあしらう描写、更にラスト近く、何となく玲を受け入れるようになるに至る、その一連の流れがとてもよく描かれていて、十分に説得力もあります。冒頭のように感情をすぐに爆発させるに至った理由と、玲との過去の出来事、父親とのイベントなど、この辺が上手く絡んで、しっかり彼女の言動に理由付けがされているので、読者に違和感を与えない展開ができている上、心情の変化にもとってつけた感じがありません。ここはこの作品一番の見所だと思います。

そしてこの作品、動きのある表情のデコレーションの演出がとても多いです。多すぎて、少々くどく感じてしまいました。短い作品ですのでそこまで流れを損なうほどではないのですが、こういう演出は、ここぞという時に絞った方が、効果が高まるように感じました。それでも、一部のシーンの演出はとても効果的です。過去回想のフィルム風の演出もいいですね。

ツールはティラノスクリプト。クリア後にはおまけも読めますが、盗聴器の件は少々やり過ぎの感が(汗)。作者さんの後書きも読めて興味深いです。全部読めば20分というところでしょう。キャラクターは少々ぶっ飛んでいますが、構成のしっかりしたラブコメで、短編作品を作られる方は、大いに勉強になる事でしょう。この2人の物語の続きを読んでみたい気がしました。ツンツンヒロインがお好きな方は、是非プレイしてみてください。
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