掌編ミニレビュー第4回 - 天国の回廊/その傷に触れて/野に咲く蓮華を手にとって - 掌編ミニレビュー
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掌編ミニレビュー第4回 - 天国の回廊/その傷に触れて/野に咲く蓮華を手にとって

掌編ミニレビュー
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10. 天国の回廊

天国の回廊■制作者/オザキショウゴ(ダウンロード
■ジャンル/不思議系
■ツール/Live Maker


この作者さんは、作品に必ずどこか一風変わった世界観を盛り込んでくる印象がありますが、この作品も、掌編でありながら面白い世界観の作品です。世界観だけで言えば、似た作品がないでもないですが、構成と見せ方が独特で、大変オリジナリティの高い作品です。

バスに乗り込んだ男が、バスの運転手に自分の父親が亡くなったという話をしたところ、運転手は自分の亡くなった娘の話を返します。そして、「天国ではその人が一番元気だった時の姿になる」という言葉で、ああなるほどと仕掛けが分かります。ラストでは、主人公の男とその子供のエピソードが語られ、落とし所も綺麗ですね。

この作品、背景写真が大変美しくて心に残ります。これは旅行先で撮ったものなのでしょうか。特に、天国の宮殿(?)の写真は神秘的で息を飲みます。死生観を語った作品というと大げさですが、生きている二組と亡くなった二組の、それぞれ形の違うささやかな交流で、読んだ後はほのかに心が温まるような、良い物語です。

11. その傷に触れて

その傷に触れて■制作者/浦田一香(ダウンロード
■ジャンル/日常
■ツール/Live Maker


恋をする生き物だから」の作者さんの作品です。あちらはあちらで、中学生同士の恋愛の暗黒面を描いた衝撃作でしたが、こちらもなかなかダークなテーマです。主人公の亜紀は、子供の頃に両親に酷い虐待を受け、極度の男性不信になりました。クラスメイトの勇人が亜紀に好意を持ってくれるのですが、まるで取り合おうとしません。

亜紀が受けていた虐待がかなり酷いので、読んでいて暗い気分になりそうなのですが、友人の希美や勇人、それに亜紀を引き取ってくれた叔父さん叔母さんなど、亜紀を支える人々が良い人ばかりなので、思ったほど陰鬱な空気にはなりません。ラストはちょっと呆気ない感じもしますが、前向きで希望も感じさせてくれる終わり方で、読後感は良好です。

背景だけの地味な作品で、文字も少々小さく読みにくいところはあるのですが、暗くて重いテーマを語るのに、良い脇役キャラクターを配する事で、読み手に与える印象がだいぶ違うんだなあと、そういう点で感心させられました。

12. 野に咲く蓮華を手にとって

野に咲く蓮華を手にとって■制作者/いねむりスフィンクス(ダウンロード
■ジャンル/恋愛
■ツール/吉里吉里


この作者さんの作品も、何度か取り上げています。ちょっと捻った、凝った言い回しが多いのは、この作者さんならではの味わいです。無敵の姉から、友人のボディーガードを頼まれるというお話です。掌編にも関わらず、冒頭で張った伏線がラストでちゃんと回収されるという作り。

ストーリーとしては実はシンプルな恋愛ものなのですが、キャラクターの組み合わせが面白く、掌編ながら面白い流れを作れている恋愛ものだと思います。姉やヒロインの蓮華が良いキャラクターなので、彼らとのやり取りをもっと読んでみたかった気がします。もう少し長い尺でも良かったかも知れませんね。ただ、キャラ名が分かりにくく(苗字も名前も)、フルネームでウィンドウに表示されると、「これ誰だっけ……」となってしまいましたが。

それにしても「風林館高校の青い雷」は、懐かしさの余り感動してしまいました。ちょっと主人公が鈍いような気もするのですが(笑)、キャラクター恋愛ドラマとしてよくできた掌編です。
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