第590回/君が倒れれば、僕が起こそう - ぼくらはあの時、あの島で(ウチチャン&ニャミャン) - アクション・ドラマ
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第590回/君が倒れれば、僕が起こそう - ぼくらはあの時、あの島で(ウチチャン&ニャミャン)

アクション・ドラマ
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ぼくらはあの時、あの島で

ぼくらはあの時、あの島で■制作者/ウチチャン&ニャミャン(ダウンロード
■ジャンル/無人島サバイバルと思いきや? ノベル
■プレイ時間/20分

ノワが目を覚ますと、そこはまるで見覚えのない風景だった。どうやら無人島らしい。水を探して歩き回ると、やはりこの島に迷い込んだらしい少女、メルテウスと出会った。メルテウスは警戒心も露わに、ノワに近付こうとしない。それでもいきていくために、2人は少しずつ協力しあってこの島で暮らしていくのだが。少年少女の冒険ノベル?

ここが○

  • 無人島での適度な冒険風景が良く描けている。
  • 少年少女の交流風景がいい。
  • 序盤からしっかり読者を引き込み、後半へ上手く繋ぐ展開。

ここが×

  • 唐突と言えば唐突な気がする後半。
  • ちょっと終わり方が呆気ない。
  • 特に立ち絵の輪郭処理が少々甘い気が。

■君が倒れれば、僕が起こそう

無人島での冒険って、児童向け物語のある意味定番です。私も昔は、図書室でそういう物語に夢中になったものです(十五少年漂流記とか)。この物語も、少年が見知らぬ無人島で目覚め、まずは水を探すところから始まります。無人島で少年少女の冒険譚というと、「As One」がちょっと思い起こされますね。出だしだけは、少しあの作品に近い雰囲気もあります。

登場人物は、ノワとメルテウスの2人。メルテウスは、何故か全身を包帯で覆われた、つっけんどんでちょっと取っ付きにくい感じの少女。後半で、メルテウスが何故そのような性格なのかは明らかになりますが、最初はちょっと印象が悪いかも知れませんね。ただ、徐々に仲良くなっていくので、感じが悪いのは最初だけなのですが。

ぼくらはあの時、あの島でそして、2人で協力しあって無人島で何とか生活していき、2人で脱出を目指す物語……かと思っていたら、中盤からいきなり物語が違う方向へ動き始めます。この仕掛け自体は、比較的良くある手法なのですが、引っ張り過ぎずに話を動かすタイミングがちょうどいいですね。そこに限らず、この作品はかなりの短編ですが、イベントを起こすタイミングが適切で、読者を引っ張る力に優れていると感じます。

「良くある手法」と書きましたが、組み合わせ方がいいと思います。ノワとメルテウスが無人島に来るきっかけとなった事件や、2人のちょっとした過去の盛り込み方もよく、短いながらもしっかりと起承転結がバランスよく作られて、読み心地のいい物語に仕上がっています。

ただ、中盤がやはり少し唐突に感じる嫌いはあります。2人の無人島生活の描写で、もう少し真相をほのめかすような事件、イベントを入れたり(現時点でそれは、メルテウスの体に巻かれた包帯くらいしかないですし)、あるいはノワとメルテウスの心の距離が大胆に近くイベントでも入れて、それを後半に生かすなどしてみれば、より前半と後半の関連性が強まり、全体の完成度が上がったかも知れません。少し前半と後半の繋がりが弱く感じたんですよね。

また、終わり方は少々素っ気無いように感じました。前半でノワとメルテウスの関係がある程度変わるところを描いたのですから、現実世界でも2人の関係を積極的に描いてみれば、収まりが良い終わり方になったように思うのです。そうすれば、上でも書いたような、前半と後半の関連性の薄さも軽減され、物語に一本芯が通ったのではないでしょうか。

とは言え、あえてあそこで終わらせる事で、読者の想像力を刺激してくれるというのも、意外と悪くはないかも知れません。あの状態からメルテウスの動向を描写すると、それなりにきついシーンも出てきそうですし、それならがあの時点で切ってしまった方が、読後感としては綺麗かも知れません。そう考えれば、あの終わり方は一つの選択肢として十分ありなのではないかとも。また、後半の主人公ノワは、なかなか男らしい主人公っぽい活躍を見せてくれて、好印象です。

立ち絵や1枚絵は、物凄く巧みという訳ではないのですが、児童物語の挿絵のようで、私は気に入りました。こういう作品の場合は、変にアニメ風の萌え絵よりも、こういう絵の方がマッチしているように思えます。ただ、立ち絵の輪郭の透過処理が少し甘い箇所があるのは、見ていて若干気になりました。一枚絵では、上の画面写真でも載せた、2人が夕暮れの海を眺めているシーンがお気に入りです(タイトル画面の絵でもあります)。いかにも、無人島での冒険という感じがして、海の雄大さも感じさせてくれるいい絵だと思います。

ツールはティラノビルダー。選択肢は後半に少し出てきますが(選択肢というよりは、マップでの移動画面の選択ですね)、特に展開には影響せず、エンディングも1種類です。プレイ時間は20分少々。30分はかからないと思います。終わり方に少し収まりの良くないところもありますが、少年少女の物語として、読んでいて微笑ましい気持ちになれる一編です。
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