第63回/夏と海が紡ぐノスタルジー - 夏夢海詩(AFTER CARNIVAL) - 恋愛
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第63回/夏と海が紡ぐノスタルジー - 夏夢海詩(AFTER CARNIVAL)

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夏夢海詩

夏夢海詩準推薦
■制作者/AFTER CARNIVAL(ダウンロード
■容量/45.5MB

ある日、幼なじみの少女から「会いたい」と言う手紙を受け取った、主人公の才介。列車に揺られ、かつて住んでいた海沿いの小さな町、利華根沢(りかねさわ)へと向かう……。淡い想い出と大切な場所。秀逸なシナリオで送る恋愛ノベル。

ここが○

  • ただの恋愛ノベルかと思いきや、深い内容に驚き。
  • 雰囲気のある音楽がよくできている。
  • 文章力上々。マルチエンドでボリュームもたっぷり。

ここが×

  • キャラクターが暴力的すぎ。
  • 封印破壊の力の存在に、もっと説得力が欲しい。
  • ラストは少々冗長。エンディングの演出もまるでなし。

■夏と海が紡ぐノスタルジー

最近ようやく仕事も落ち着いて来たので、また「ノベルゲーム発掘」を再開しています。が、再開していきなり、意外な(と言っては失礼ですけど)良作に当たったのでご紹介。タイトルは「なつゆめうみうた」と読みます。

物語は、主人公の才介が、小学3年生まで住んでいた利華根沢と言う町に住む幼なじみから「会いたい」と言う手紙を受け取り、列車に揺られその町へ向かうところから始まります。海沿いの小さな町は昔と変わらぬ佇まいで才介を迎え、姉の幾葉とも8年振りに再開。やがて、手紙をくれた幼なじみの瑠衣とも会う事に。こんな感じで物語は始まります。

この出だしだけ読んで、某「せつなさ炸裂」なゲームを思い出してしまったんですが(笑)、この主人公、型破りな必殺技を身につけています。才介曰く「封印破壊」。閉じた物体や空間を、何でも開く事ができると言う。いきなり才介が鍵のかかった門をぶっ壊す辺りで、ちょっとひきました(苦笑)。この力の存在に、もう少し説得力と言うか、なくてはならない理由が欲しかった気もします。

更に、固有名詞がもうちょっと分かりやすければなあ、と。主人公からして「龍荘寺才介」。その姉は「幾葉」。幼なじみは「紅月瑠衣」。町の名前は「利華根沢」。こう言った名前があまりに現実と乖離していると、それだけでちょっと感情移入の妨げになる気がするんですが。親しみやすいのは、執事の山本さんくらいか(笑)。登場人物に個性的な名前をつけたいのは分かるのですが、やはりほどほどが良いように感じます。

肝心の物語なんですが、出だしで甘く見ていた私は、良い意味でかなり裏切られました。マルチエンディングになっていて、私はトゥルーエンドを含む5種類のエンドを見ましたが、早い段階での明らかなバッドエンド1つを除き、どのシナリオもよくできています。物語的にはトゥルーエンドが真の終わり方なんでしょうけど、個人的にはEND4「二人でもう一度」がお気に入りです。終盤の展開が多少冗長で強引に感じるところもありましたが、単なる恋愛ノベルの水準を超えた、時間をかけてじっくり読む価値がある一作だと思います。

キャラクターは立ち絵がなく、時々イベント絵が出るだけ。ですが文章によるキャラクターの描き方が上手く、読んでいて楽しい。ただ主人公といい、主人公の姉といい、ヒロインの友人といい、ちょっと暴力的すぎるような(苦笑)。その度にエフェクトと効果音が入る訳で、過剰すぎるのもどうかなと。一部のキャラはちょっと影が薄かった感もぬぐえません。キャラ数はもう少し絞り込んでも良かったように思います。ですが、文章力、描写力等で不満を感じる事なく楽しめました。

音楽はオリジナルでMP3のようですが、どこかノスタルジックでとても雰囲気に合っています。ただ、エンディングの演出がまるでなく、エンディング名が表示された後はいきなりタイトルに戻ってしまうのはちょっと……。エンディングリストをつけろとまでは言いませんが、ラストはかなり盛り上がるんですし、もうちょっと余韻を感じさせる演出、更には後日談なんかも欲しかったと感じました。

恋愛ノベルとしては、全体としてかなり楽しめる作品だと思います。後半は選択肢1つの間違いでバッドエンドに行ったりしますので、頻繁なセーブをお勧め。地味ですが、かなりの良作ですよ。
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