第598回/華麗なる殺人ゲーム - 六姉妹の華麗なる埋葬譜(切々端々) - ナンセンス・不条理
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第598回/華麗なる殺人ゲーム - 六姉妹の華麗なる埋葬譜(切々端々)

ナンセンス・不条理
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六姉妹の華麗なる埋葬譜

六姉妹の華麗なる埋葬譜■制作者/切々端々(ダウンロード
■ジャンル/舞台風殺人雑談ノベル
■プレイ時間/15分

とある孤児院に住んでいる6人の姉妹。ある日その中の2人が何者かによって殺された。この数日間、孤児院に足を踏み入れた外部の者がいるとは考えられない。残された2人の姉妹は、誰が犯人なのか侃々諤々の議論を始めるが、結論が出ないままに3人目、そして4人目の犠牲者が……。果たして犯人は一体? 舞台のような演出が独特の短編ノベル。

ここが○

  • お芝居のような演出が面白い。
  • リズミカルな文章。
  • 猫だったり花びらだったり、独特の見せ方。

ここが×

  • ミステリーと言うには色々弱い。
  • 登場人物の名前がただの数字で味気ない。
  • 終わり方も少々素っ気ない。

■華麗なる殺人ゲーム

何とも風変わりな作品。この作品は、ジャンル分けに迷いました。コメディっぽいところもありますが、何せ(演出が面白いとは言え)殺人事件ですし、ミステリーやサスペンスかと言われると、あまりそう言う感じもありません(ミステリーとしては、落ちの付け方に少々納得が……)。困った末、「ナンセンス・不条理」と言う事にしました。

ふりーむでダウンロードしましたが、感想も様々で、けちょんけちょんに貶している人もいるようです。でも、私はこういう作品もありかな、と思いました。何と言っても、独特のセンスがとても面白いのです。殺人事件を取り扱っていて、起こる事件は結構陰惨なのに、プレイ中にそれを感じさせる事は全くありません。登場人物の会話や見せ方などは、むしろ喜劇的ですらあります(なので「コメディっぽいところもある」と書きました)。「彼と彼女と彼女の忠義」辺りがお好きな方なら、ツボにはまるかも知れません。

六姉妹の華麗なる埋葬譜舞台は孤児院で、そこに住む姉妹が主人公なのですが、姉妹は子供ではありません。そしてある日、姉妹のうち2人が無残に殺されているのが発見されました。犯人は誰かを巡って、残された姉妹のやり取りが始まります。この姉妹、名前がただの「1〜6」で表された数字です。分かりやすいと言えば分かりやすいですが、ちょっと味気ないところもありますね。

そして演出は他に類を見ない独特なものです。画面に表示されている人物は、何故か猫の目の写真(1人だけ、犬っぽいのもいますが)。幕間には、無声映画の弁士を思わせるような進行役の言葉。そして血が花びらで表されたり、遺体がぬいぐるみで表されたり、表現方法がとにかく面白いです。グラフィックスのセンスもよく、このオリジナリティの高いセンスを味わうだけでも、人によっては大いに楽しめるでしょう。

閉鎖空間の中で、6人の姉妹がどんどん殺されて人数が少なくなっていくと言う事で、クリスティの「そして誰もいなくなった」を思い起こす方もあるかも知れませんが、落ちは全然違いますし(クリスティっぽい落ちを想像していたのですが)、またあの作品のような不安で暗い雰囲気は微塵もありません。それは好みの問題でもあるでしょうが、こんな見せ方があってもいいのではないでしょうか。

文章は、いわゆる「地の文」がほとんどなく、会話だけで進行していきます。その会話も、登場人物の数字順に発言している事がほとんどで、舞台でのお芝居や、はたまた卒業式のメッセージでも見ている気分になってきます(笑)。ここも好みが分かれるところかも知れません。私は、このコミカルな言い回しのリズミカルな会話文はなかなか面白いなと感じました。登場人物の名前がただの数字で、絵が猫の目という事で、普通の作品のようなキャラクター性は皆無なのですが、姉妹全員で見ると、大変個性的なキャラクターを表現できていると思います。

もっとも、物語として見ると少し薄いところがあるのは否定できません。ミステリーとして見れば、落ちの付け方が如何なものかと思わなくもないですし(犯人について途中何も言及されていません)、動機その他も全く不明のまま。その後のラストシーンは、少し捻りが効いていましたが。謎解きの緊張感を求める方には、不向きな物語かも知れません。ラストで「何だこれ?」となる人があっても不思議ではないでしょう。

しかし、そういう本格的な謎解き、読み手をはらはらさせるようなサスペンスだけが物語ではありません。短いプレイ時間で、この作品にしかない雰囲気を味わわせてくれる作品ですし、何より文章や演出のオリジナリティの高さは魅力的です。こういう物語の作り方もあるのかと、ちょっと感心させられました。

ツールはNScripterです。選択肢はなく、15分くらいで読み終える事ができるでしょう。ずしりと心に響くような系統の物語ではなく、そういう意味でメインディッシュではないのですが、ちょっと変わった味付けのデザートのような一品です。同じような作品ばかり読んで飽きた方は、この作品を読んでみると、新鮮な刺激をもらえるかも知れませんよ。
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