第601回/こんなに眩しい素肌の微笑み - 夏のヒロイン(28)(zalthor) - 日常
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第601回/こんなに眩しい素肌の微笑み - 夏のヒロイン(28)(zalthor)

日常
  • comment0
  • trackback-

夏のヒロイン(28)

夏のヒロイン(28)■制作者/zalthor(プレイする
■ジャンル/ご当地アイドルと語らうノベル
■プレイ時間/15分

志藤正一は、小さな出版社で働く営業マン。しかし、営業先と上司との板挟みで仕事が嫌になり、辞職するつもりで実家に帰ってきた。そこで出会った女性白井芽衣は、いわゆるご当地アイドルなのだが、もう諦めて普通の仕事に就こうと思っているらしい。河原で芽衣の「最後」のライブを聞いた正一は、仕事を続ける気になるのだが……。

ここが○

  • ヒロインの芽衣のさっぱりとした魅力。
  • リアルさと僅かなファンタジーの程よい融合。
  • ベタだが綺麗なオチ。

ここが×

  • いきなり性格が変わりすぎる課長。
  • ご都合主義すぎる気が過ぎるオチ。
  • 色々とプレイしやすくない。

■こんなに眩しい素肌の微笑み

この作品は少し前に既にプレイしていましたが、短い作品ですので、通常レビューで取り上げそびれていました。掌編レビューにしようかとも思い、もう一度読んでみたのですが、やはり通常レビューを書いてみる事にします。ヒロインが売れないご当地アイドルという設定がなかなか面白いですね。

主人公は、小さな出版社の営業職。営業先は当然書店です。書店を舞台にした物語というと「ようこそ、猫柳堂書店へ。」がありました。あちらは、書店のほのぼのとした日常ドラマでしたが、こちらはのっけから書店が抱える暗黒面が描かれます。まあ、大変ですよねえ……。年下の課長(社長の息子)と営業先の書店の板挟みでストレスに晒され続ける毎日。

夏のヒロイン(28)とうとう正一は仕事を辞める決心をし、お盆の一週間の休暇で実家へ帰ってきました。実家では正一の歓迎会が開かれるのですが、そこで出会った白いワンピースの女性、白井芽衣。売れないご当地アイドルの彼女は、アイドルを諦めようとしていたところでした。正一と芽衣は、未明の河原で、再び出会います。

ここで、正一と芽衣がそれぞれの夢を語り合い、芽衣が正一の前で歌って踊ってくれるという一連の流れは、とても良かったと思います。正一の故郷の過疎問題と、故郷に希望を与えようという2人の想いが上手くリンクして、描写は淡々としていたものの、非常に印象的な場面でした。2人はどちらも、人生に行き詰まりを感じている訳ですが、その2人の現状が寂れた村の状態と重なって、考えさせられるシーンでしたね。

その後、かなりいきなり力押しの落ちがつきます。この落ちの付き方は、賛否両論かも知れません。課長の性格がいきなり変わっていい人になり過ぎているし、芽衣の就職も、都合が良過ぎるように感じます。この落ちに持って行くなら、もう少しクッションを置いた方が良かったのではないでしょうか。例えば、課長をもう少し掘り下げて描写するだけでも、違ったはずです。

まあ、落ちへの持って行き方はちょっと唐突ですが、希望を感じさせてくれるラストで、私はありな範囲だと思います。希望を感じさせ、続きを読んでみたくなるラストです。せっかくああいうラストにしたのであれば、最後の芽衣の様子も見てみたかったのは私だけでしょうか。でも、「この先が見てみたい」というところで終わるのも、余韻を高める一つの方法でしょうね。

そして正一と芽衣の間には、全く恋愛描写はないのですが、そこはプラスに働いていたように思います。この展開で、更に2人が恋仲にでもなっていたら、流石に出来過ぎた話ですからね。そこを抑えたのは、正解だったように思います。恋愛描写はないものの、河原で過ごしたほんのわずかなひと時で、二人の心が共感する様子がきちんと描けていましたし、この先の2人の展開が楽しみになるような描写だったと思います。

この作品のツールはラノゲツクールMVです。ブラウザーでしかプレイできないのですが、プレイしやすさはいまいちです。文章送りはマウスボタンをクリックするしかありません(マウスホイールやキーボードが使えない)。ホイール上回転での文章読み返しもできません。それと「Now Loading」の画面切り替えがやたら長いです。このツール、「約束の軌跡」と同じなのですが、あちらもお世辞にもプレイしやすいとは言えませんでした。有料ツールの方が無料ツールより遊びにくいというのは、恋ツクの昔から変わらないようです(笑)。

プレイ時間は15分ほどです。上に書いたような遊びにくさはありますが、短いですから気にせずにプレイしましょう。選択肢はなく一本道です。主人公の仕事という世知辛いリアルさと、ご当地アイドルという「程よいファンタジー」が上手くミックスされて、存在感のある短編に仕上がっていると思います。
関連記事

Comments 0

Leave a reply