第602回/信仰こそ旅路を導く杖 - 時絆ぎの境界(Reon) - 不思議系
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第602回/信仰こそ旅路を導く杖 - 時絆ぎの境界(Reon)

不思議系
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時絆ぎの境界

時絆ぎの境界■制作者/Reon(ダウンロード
■ジャンル/神々の街で交流観光ノベル
■プレイ時間/45分

時守優希那は、友人の勧めで島根県出雲市へ旅行へやって来た。宿の女将さんから聞いた観光スポットの神社で、不思議な石を拾った後、とある遺跡で不思議な少女、時永怜と出会う。優希那は怜と一緒に出雲を巡り、翌日も一緒に観光しようと約束して別れたのだが、その夜優希那が目覚めるとそこは見知らぬ場所だった。山陰の街出雲で不思議な出会いの物語。

ここが○

  • 出会いの前半、真相編の後半と、メリハリがしっかりした展開。
  • 出雲市の写真で旅行している気になれる。
  • 優希那と怜の関係がいい。

ここが×

  • いまいち引きが弱い前半。
  • 緊張感のない敵方。
  • 文章読み返しができない。

■信仰こそ旅路を導く杖

ノベルゲームで実在の地名が出てくるのは滅多にありませんが、この作品は島根県出雲市が舞台です。出雲というと、「琥珀の意味」を思い出します。あちらも、出雲に旅行しに来たという設定でしたね。もっとも、あちらはアンドロイドがどうしたこうしたという微SF風味の物語で、この作品とは少々雰囲気が違いますが。

しかし「琥珀」も前半はほぼ出雲の観光でしたし、そういう意味で近いものを感じさせました。この作品が気に入った方は「琥珀の意味」もプレイしてみるといいでしょう。逆に、「琥珀」をプレイして気に入った方は、この作品も楽しめるのではないでしょうか。出雲に限らず、山陰って凄く素敵な場所が多いので、どちらの作品も前半の観光シーンが意外と面白いのです(出雲そばは美味しいですよ)。タイトルは「ときつなぎのきょうかい」と読むようです。

時絆ぎの境界出雲と言えば出雲大社(本当は「いずもたいしゃ」ではなく「いずもおおやしろ」と読むらしいです)。この作品でも出雲大社は出て来ます。前半の観光シーンではさほどあちこちに行く訳ではないのですが、天真爛漫ながら芯は強いところを見せる主人公の優希那と、クールながら以外に世話好きの怜のコンビネーションがなかなか面白く、前半の2人のやり取りから楽しめます。

前半、優希那が曰くありげな石を拾い、それが後半でのキーアイテムとなるのですが、全部で12個必要で、最初から怜が5個持っているのですが、残りは非常にあっさりとぽんぽん見つかってしまうため(この作品全般に渡ってそうなのですが)展開に少し緊張感が欠ける気もしました。敵方のキャラクターも、大して優希那達に実害を与えないまま、言葉だけで脅迫(?)して、勝手にいなくなってしまいますし。

なので、もう少し全体的に、緊迫感を出した展開にしても良かったような気がしました。前半から不穏なイベントを少し入れてみるとか、色々やり方はあるでしょう。前半はのんびり観光、後半はいきなりばたばたっと真相が明かされるため、後半は特に駆け足気味に感じます。前半の謎らしい謎は優希那が拾う石くらいしかありませんし、少し引きを作ってみても良かったかも知れません。

舞台が出雲という事で、日本ならではの八百万の神信仰みたいなものが、後半の物語の主軸となっています。そこに、女性同士の友情と信頼というか、そういう人間っぽさが絡んできて、この作品ならではの空気感を出してくれています。この「人間らしさと神信仰の融合」というのが、この作品独自の魅力なのではないでしょうか。

後半の展開は、少々説明的過ぎるところはあるのですが、ラストへ持っていく展開は綺麗だったと思います。そのラストは、あっさりと言えばあっさりな終わり方なのですが、こういう、若干いきなりな展開をする物語は、締めは薄味くらいの方が全体を通した時のバランスはいいように思います。そういう意味で、一本の作品として見た場合には、整った作りの物語だったように思いました。

なおこの作品、文章の読み返しができません。文章読み返しは、できれば標準装備しておいて欲しい機能です(ちょっと前までは「あって当たり前の機能」だったのに、最近案外これがない作品が多いような気が……。ほとんどティラノの作品ばかりですが)。その他には特にプレイしにくいところはありません(文章表示速度は変えさせてもらえればありがたかったのですが)。

ツールはティラノスクリプト。選択肢はなく、プレイ時間は45分くらいです。後半、神話の説明のシーンの絵が物凄く大雑把でびっくりしたのですが(決して下手な訳ではなく、何というか殴り書きのような線画なのです)、何度か見るうちに、意外とこれはこれで味があっていいのではないかという気がして来ました。立ち絵は、優希那も怜もとても可愛いです。1枚絵はほとんどありませんが、ラストに1枚だけ出て来ますのでお楽しみに。出雲観光を楽しむつもりで、気軽に読んでみてください。
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