第65回/ハイセンスな鬱ノベル - ナルキッソス(ステージ☆なな) - シリアス・感動系
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第65回/ハイセンスな鬱ノベル - ナルキッソス(ステージ☆なな)

シリアス・感動系
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ナルキッソス

ナルキッソス■制作者/ステージ☆なな(ダウンロード
■容量/95MB

主人公はある夏、運転免許を取った。その翌日、突然気分が悪くなり病院へ行く。そのまま入院する事になった主人公は、不治の病に冒されていた。病状が悪化し、ホスピスへ移った主人公は、そこでセツミという女性と出会う。音楽、ボイスがハイレベルな一本道のデジタルノベル。

ここが○

  • 映画を意識した演出。グラフィックスも1枚絵こそ少ないが高品質。
  • ボイスや音楽等、音も非常にハイレベル。
  • 文章は淡々としているが内容に上手くマッチしており、文章力も水準以上。

ここが×

  • 何の救いもない終わり方なので、そう言うのが嫌いな人にはお勧めできない。
  • 良くも悪くも登場人物がドライ。
  • 結局この作品で何を訴えたかったのか、全く見えない。

■ハイセンスな鬱ノベル

久々のレビューです。今回取り上げるこの作品は、どうやらプロのライターさんの作品のようです。なるほど、デザインが非常にセンスがありますし、グラフィックス、音楽、ボイスとどれを取ってもハイレベルです。このあたり、さすがにプロの仕事は違うな、と感心させられました。

さて、この作品は主人公が不治の病にかかります。まあヒロインも不治の病なんですが(笑)。ヒロインが不治の病ってのは、ある意味定番なんですが、主人公が不治の病になる作品となると、ちょっと思いつきません。主人公とヒロインのセツミは、ホスピスを抜け出し、主人公の父親の車(ホンダインテグラっぽい車)をかっぱらって(笑)、一路淡路島を目指します。言ってみれば、ただそれだけのお話で、それ以上でもそれ以下でもありません。

既に書いたように、グラフィックスや音楽は非常にハイレベルですし、ヒロインのボイス(フルボイスではないですが)もかなり上手く、雰囲気を高めるのに一役買っています。容量がかなり大きいですが、グラフィックスや音楽がこれだけ凄いと、その容量の大きさにも納得せざるを得ません。プロのライターさんだけあって、会話文なども良く、文体も過剰に装飾される事もなく、綺麗にまとまっています。「ラストは絶対ハッピーエンドじゃなきゃ嫌だ!」な方でなければ、恐らくこの作品をプレイして大きな不満が出る事はないでしょう。

……ええ、私も確かに不満は全くないんですが、なぜか満足できないのは何故なんでしょうか? あくまで個人的な印象なんですが、何と言うか「自分はこう言う事をこの作品で訴えたいんだ!」みたいなものが、この作品からは全く見えてこなかったのです。作者さんの後書きを読むと、実験的な作品ではあったようですが、それでも何かしらシナリオで訴えたいものがあったのでは。しかも、キャラクターの境遇や舞台設定があんな感じなので、一層「空振り感」が強い結果になってしまいました。

同じような鬱系ノベルに「終末によせて」がありますが、あちらは、読んだ後深い余韻が残り、かつ鬱な終わり方なのにどこかに光も感じさせたんですが、今作は読んだ後、何も心に残らないのです。終わった時の正直な感想は、「……結局、だから何が言いたいのだろう?」でした(作者さんすみません)。

ああまでさらっと流してさらっと終わられると、あの雰囲気に凄く合う人ならともかく、そうでないなら最後まであの世界にシンクロできません。普通はそこをシナリオで補って、物語にシンクロしていく訳ですが、今作はそれがほとんど皆無で「雰囲気で読ませている」に過ぎません。私が病院勤務なだけに、ちょっと厳し目に見ている感なきにしもあらずですが。

それでも随所で、「さすがプロの仕事!」と感心させられます。ただ私の好みが「洗練されたプロの作品より、泥臭くても真っ直ぐに自分の書きたい事を、それこそプレイヤーに体当たりするくらいまでに訴えるアマチュアの作品」なので(最近なら「ゆうとっぷ」「春風は夏の日射しと共に」「いつか叶う願いを」と言ったあたり)、私が合わなかったってだけです(爆)。

なんか好き放題書いてしまってますが(汗)、間違いなくハイレベルな作品です。鬱系ノベルやツンデレヒロイン(笑)が好きな方ならプレイして損はありません。枚数は少ないですが、ヒロインセツミのCGはかなり良いですよ。
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