2019年2月の作品について - 月別まとめ
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2019年2月の作品について

月別まとめ
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3月になりましたね。札幌はまだまだ雪が残っていますが、ようやく朝の気温も0℃を超える日が増え、少しずつ春めいてきました。では2月のまとめ記事です。

推薦/1
準推薦/6
無印/14
掌編/9

今月も推薦が出て、レビュー再開以来毎月必ず1本推薦が出ているというのは、とてもいい傾向です。ではジャンル別です。

恋愛/2
日常/2
ファンタジー/4
不思議系/3
シリアス・感動系/2
ミステリー・サスペンス/1
学園・青春/3
アクション・ドラマ/4
ナンセンス・不条理/1
掌編/9

「アクション・ドラマ」は、比較的最近「シリアス・感動系」から分けたジャンルですが、2ヶ月続けてこのジャンルの作品が多いです。先月は0だった「ファンタジー」も今月は4本。どれも個性的な作品でした。

個別の作品について色々書いていきましょう。

1月の作品の印象


マーシフルガール今月の推薦作は、スマートフォンだけでプレイできる作品「マーシフルガール」。作者さんから随分前にレビューのリクエストを頂いていましたが、スマートフォンを持っていなかったためプレイできませんでした。ようやくレビューを書けて一安心です。まあ、スマートフォンの画面でノベルゲームをやるのは結構きついので、これからどんどんスマートフォンの作品を取り上げるかというと、それは怪しい気もしますが(笑)。

この作品は、SF風の設定と原始仏教という、大変斬新な組み合わせが印象的でしたが、私は原始仏教どうこうよりも、病院・闘病ものとして、あるいは血の繋がらない両親との家族の絆を描いた作品として、非常によく作られた作品だったと感じました。原始仏教どうこうと聞くと、ちょっとプレイしにくい作品に感じるかも知れませんが、結構こてこてのクリスチャンである私が全く問題なく楽しめましたので、先入観なく読んでいただきたい作品です。

先月はユニークな設定の作品が多かったのも特徴でした。変わった図書館が舞台の「檻のビブリオ」、「この世界はスノードームの中」という不思議な世界の「スノードームは夢を見るか?」、お腹に顔が見えるという奇妙な設定の「キキタイコトバ」、反転病という架空の病を上手く展開に盛り込んだ「Re:blood」など、面白い設定の作品が目白押しでした。

逆に、ストレートで正攻法な物語も結構ありました。「異世界の旅路」は、異世界転移ものという典型的な設定に、一味捻りを効かせていたファンタジー。また「追憶の向こう側」は、久々にプレイした真っ向勝負の学園ものでした。幼馴染が登場するのに幼馴染とのエンドがないのが、幼馴染属性の方には残念かも知れませんが、生き生きとした登場キャラクターのドラマが楽しめます。どちらも、ストーリー自体は王道でも、キャラクターの立て方や場面の描写のしかたで、いくらでもいい作品は作れるという見本のような一作です。

「追憶の向こう側」が少年漫画風の学園ものならば、「レイニートレイン」は少女漫画を思わせる青春もの。少しばかり謎も盛り込まれていますが、それはあまり本筋には関係なく、主人公たち2人の心の移ろいで描き出された物語です。奇を衒わず丁寧に描かれた学園ものって、実は結構貴重ですので、見つけると嬉しくなりますね。

他にも「サイコパンプス」のテンポの良さと破壊的なエンディング(あの終わり方は賛否ありそうですが)、何も捻ったところがないのに、善人ばかりの物語でほのぼのと心和んだ「ガラス姫」は特に印象に残りました。

掌編では、何だこれはと思っていたらラストで意表を突かれた「白夜想」、ノスタルジーを感じさせてくれる不思議な「ポケベル」、掌編ながら起伏の効いた意外な展開を味わえた「感情線」、など今月も印象的な作品にたくさん出会えました。いつも作品をお薦めしてくださる皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。


印象に残ったキャラクター


ひとでなく、ひとでなし印象に残ったキャラクターと言えば、「ひとでなく、ひとでなし」を挙げない訳にはいかないでしょう。なんとヒロインであるシュガーは上半身が人間、下半身が蜘蛛。夢に出そうなインパクトでした。ウェブとのコンビは、600本オーバーの私のレビュー作の中でも、最も印象的なカップル大賞と言っても過言ではないでしょう。

キャラクターのインパクトならば「ラブリバウンド」も負けていません。名前も凄すぎるのですが(笑)、メインヒロインの恵理を筆頭に、個性のぶつかりあいが生んだ物語と言えるほどです。妙なところで終わったので、続編が出たらいち早くプレイしてみたいと思わせてくれた作品でした。

個人的に気に入ったヒロインは、「夏のヒロイン(28)」の芽衣。純粋なところとざっくばらんなところが上手くミックスされており、短い作品ながら非常にキャラクターの立ったヒロインでした。28才という年齢が、また絶妙に隙間を狙い撃ちにしていていいと思います(笑)。

逆に、「写真部の幽霊部員」は、ヒロインである令子よりも、むしろ奈津美先生の方が気に入りました。口は悪いけど根は優しい、みたいなキャラクターが結構好きなのです。「ぼくらはあの時、あの島で」のノワとメルテウスの交流の様子もとても好み。少年少女の交流って、大人の物語にはない素朴さがあるのですが、この作品はそこがとても上手く描けていました。ノワが実は……という設定が、2人の交流の更に深い味付けになっていたと思います。

少年少女の交流と言えば忘れてはいけないのが「あいからの鎖」。「暖かい」「ロマンティック」とは正反対のドライな交流ですが、この作品の場合は「ドライ」「冷たくリアル」だからこそラストの一撃が生かされていました。展開とキャラクターの関係の描写(キャラクター自体の描写とは違う)が綺麗にマッチした好例です。

交流と言えば「時絆ぎの境界」も外せません。優希那と怜の女性同士の友情が素敵です。前半の出雲観光という現実的なシーンでのやり取りが、後半の一気に動き始めた場面をしっかり支えていたと思います。さっぱりしていて、それでいて情に厚いこういう友情ものは凄く好きですね。

そして「春の日に道が続く」の昇と馬太郎、「空白の音色」の高志と彩子の(音楽は天才的なのに)恋に不器用な描写なども強く心に残っています。「キャラクターの関係」を上手く描けると、一気に物語が締まるなと感じさせられた作品の多い月でした。

印象に残った台詞、場面


六姉妹の華麗なる埋葬譜六姉妹の華麗なる埋葬譜」は、色々な意味で強烈な作品でした。舞台劇のようなリズミカルな台詞のやり取り、殺人が起こっているのにまるで緊張感を感じさせない、コントのような展開。こういうやり方は、下手をすると滑るだけになってしまう恐れもあるのですが、これが上手く物語にぴったりはまっている辺り、作者さんの卓越したセンスを感じさせました。演出センスと文章センスに唸らされた作品です。

印象に残った場面という事ですと、「マーシフルガール」の後半、主人公が育ての母に感謝する場面。ここは最高に響きました。私のあの作品に対する「推薦」の評価は、半分くらいはあのシーンに起因します(ちと大げさ?(笑))。あのシーンに持っていき、あのやり取りをさせた作者さんの手腕、恐るべしです。

入試直前対策ゲーム」は、なんて事のない日常の1ページを切り取ったような物語ですが(妙にシュールな笑いを取りに来ているシーンもあり、「日常」とは言い難い気もしますが(笑))、合格発表のシーンの描写には「おっ」と思わされました。あのシーンだけで、主人公の1年間の苦労が目に見える気がしたのです。「一文で過去の思い出までも見えてくるような描写」なんて、なかなかできるものではありません。

その他、「追憶の向こう側」のラストの告白シーン、「キキタイコトバ」の、心温まる話から一転して背筋が凍るような展開などは特に印象に残りました。後者の、凄惨なのに綺麗にまとまっているラストは、なかなか味わえるものではありません。後半はグロテスクな描写も多いのですが、苦手でなければ是非ご一読を。

季節も移り変わり、今月も多くの作品に出会える事でしょう。引き続いて、多彩なノベルゲームを楽しんでレビューしていければいいなと思っています。
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