掌編ミニレビュー第10回 - 空っぽたまごは泥を見る/ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル/寒風に吹かれて - 掌編ミニレビュー
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掌編ミニレビュー第10回 - 空っぽたまごは泥を見る/ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル/寒風に吹かれて

掌編ミニレビュー
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28. 空っぽたまごは泥を見る

空っぽたまごは泥を見る■制作者/りっと(ダウンロード
■ジャンル/SF
■ツール/Live Maker


文章や設定に不思議な味わいがある作者さんの作品。長編も作られていますが、この作者さんはどちらかというと短い作品で真価を発揮するように思います。この作品もまた、非常に変わった雰囲気。ゼッタという少女が、父からオーヴァルという卵型の人工知能ロボットを送られ、ゼッタがオーヴァルとのやり取りを通じて段々成長する物語です。冒頭で引用される歌詞は、マザーグースの歌(英語の童謡)の「Humpty dumpty」ですね。

最初はほのぼのとしているのですが、途中で急に不穏な設定が明らかになり(後ろで鳴っているSEが伏線だとは)、最後は何とも言えない終わり方をします。作中の登場人物(特にオーヴァル)の語り口は淡々としているのですが、秘めた気持ちを感じさせてくれて、ラストにはじんわり心に沁みるような余韻が残ります。2つのエンドがあり、最初に見られるエンドでは何だかすっきりしない気持ちになりますが、トゥルーエンドでは少し救いも感じさせてくれます。

作中で重要な転機となる事件が起こった背景については、何ら言及がありませんので、私のように「物語は因果関係の描写が一番大事」と思うようなタイプの者には少々釈然としない点が残りますが、ゼッタとオーヴァルの絆を、作中のイラスト同様くっきりではないほのかなタッチで描いた作品で、暖かさを感じさせてくれる物語でした。

29. ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル

ビジュアルノベルをレビューするビジュアルノベル■制作者/M.M(ダウンロード
■ジャンル/オムニバス・その他
■ツール/AIR Novel


作者さんの名前をどこかで見たことあるなと思ったら、ノベルゲームのレビューをしている方でした(フリーしかレビューしない私に対し、同人主体のようですが)。この作品は、「春のうらら」を、ノベル形式でレビューしたものです。ただのレビューならば、わざわざノベル形式にする必要もなさそうですが、ノベル形式である事を生かし、様々なシーンを実際に流し、そのシーンについて言及するという作り。

「春のうらら」について感じた事は、当然ながら作者さんと私とでは全く異なるのですが、かなり力のこもったレビューであり、レビューとして大変読み応えがあります。あの作品を楽しんだ方なら、頷いたり考え込んだり、この特殊なノベルも楽しめるのではないでしょうか。

ツールがAIR Novelのため、Adobe AIRのインストールが事前に必要だったり、この作品自体のインストール作業も面倒だったり、掌編としてはちょっとプレイヤーに優しくないですし、なにせネタバレ全開ですので、単体で読める作品ではないのですが、「春のうらら」をプレイした方は、是非読んでみてください。それにしても、この作品(レビュー)を読んでみて、私のレビューは良くも悪くも大人視点だなあと思わされました。

30. 寒風に吹かれて

寒風に吹かれて■制作者/仮想十字路(ダウンロード
■ジャンル/学園・青春
■ツール/吉里吉里


ジャンルを、「恋愛」にしようかとも思ったんですが、主眼が恋愛描写ではないように思えましたので、「学園・青春」で。卒業式の帰り道、幼馴染の女の子と会う主人公のお話です。少女の方は、卒業後に県外の大学へ進学が決まっている上、2人はここのところはかつてのように一緒に過ごす事もなく、疎遠になっていました。一緒に過ごす最後のひと時だとばかりに、何故か2人で川に飛び込みます(?)。

この2人の描写がとてもいいですね。べたべたし過ぎず、さりとてドライにもなり過ぎず、とてもいい関係を描いています。そうしてやってくるストレートなラスト。ある意味では、このまま単に別れるだけでも1本の物語だったと思いますが、ラストまでの描写がオチを非常に際立たせており、大変読んだ後に心地良い感覚を味わえました。

掌編ですので、2人の以前の描写などは全くなく、いきなりと言えばいきなりな展開の物語と言えなくもないのですが、変に捻っていない分、読後に非常に幸福な安心感を感じさせてくれました(やたら読者の裏を書くのが読者の満足度に繋がる訳ではないのです)。癖のない文章共々、とても読みやすく満ち足りた気持ちになれる作品です。
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