掌編ミニレビュー第12回 - ゆきのおしろ/Messenger2005/画家オリフィエルの娘 - 掌編ミニレビュー
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掌編ミニレビュー第12回 - ゆきのおしろ/Messenger2005/画家オリフィエルの娘

掌編ミニレビュー
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34. ゆきのおしろ

ゆきのおしろ■制作者/くすのきさんたまにあ(ダウンロード
■ジャンル/ファンタジー
■ツール/Live Maker


桜色バインダー」の作者さんの作品。童話風のファンタジーです。吹雪の日に道に迷った小学生の秋を、白い服を来た女の子イヴェールが助けます。イヴェの案内のもと、2人は白いお城へと向かい、楽しいひと時を過ごすのですが……という出だしです。Live Makerは、メニュー画面は右クリックで開く作品がほとんどなのですが、この作品は右下にメニューが表示されており使いやすい。コースターかテーブルクロスのようなデザインもいいですね。

ただ、冒頭部はいい感じなのですが、終わり方がどうもすっきりしません。残るエンドだと、ラストに何やら不穏な一文が出てもやもやしますし、帰るエンドだと冒頭の描写も合わせて、イヴェが何とも不憫です。せっかくいい雰囲気なのですから、もっと読後感のいいオチがあればと思いました。

青を主体にし、雪が降るアニメーションなど、結構演出が凝っています。音楽も作品の世界観に合っていていいですね。物語としては、秋がイヴェとしばらく雪の国で過ごし、また元の世界に帰る(または帰らない)というだけで、他愛がないと言ってしまえばそれまでですが、演出による雰囲気がよく、童話のような世界観を楽しめることでしょう。

35. Messenger2005

Messenger2005■制作者/sai(ダウンロード
■ジャンル/シリアス・感動系
■ツール/ティラノスクリプト


LINE風の画面だけで作った「ありすとーく」という物語がありましたが、この作品もあんな感じです。モチーフはMSNメッセンジャーですね(私はMacなので使ったことないですが)。ただ、一応主人公の独白が画面下部に出ますので、どちらかと言えば「ブラックオクトウバー」のチャット画面に近いかも知れません。

この作品は、設定の上手さが光ります。最初は単に同級生の女の子とチャットしているだけかと思ったのですが、途中で状況が分かった時、何とも言えない気持ちになりました。そしてそこから繋がるラスト。最後はウィンドウを閉じるというそっけない終わり方ですが、その後画面がセピア色になる演出が、地味ながら大変効果的でした。

正方形のウィンドウは大変珍しく、メッセンジャーを模したデザインは凝っています。フォントもあえてレトロなものを使っているため、作品自体のムードとも合わせて、とてもノスタルジックな気分に浸らせてくれます。ただフォントの解像度が低すぎて、漢字は大変読み辛いのはちょっと参りました。ともあれ、メッセンジャーという無機質な字だけの展開だからこそ、こうも心を動かしてくれる掌編になったと言えるでしょう。お薦めです。

36. 画家オリフィエルの娘

画家オリフィエルの娘■制作者/くらこ(ダウンロード
■ジャンル/日常
■ツール/ティラノスクリプト


時代は17世紀。大画家オリフィエルの娘リディアの物語です。リディアも絵を描くのですが、父亡き後に意気消沈。更に父の模倣品の依頼ばかりで辟易していたところに、ディルクという男が現れます。こういう作品は、変に今風の言葉を使ってしまうと興ざめなのですが、この作品は、文章もしっかりしていて、油絵風の立ち絵や背景と共に、17世紀の息吹をしっかり感じさせてくれました。

また、プレイ時間は5分もかからないくらいの掌編なのですが、独自のカット割りや、少し動きを伴った演出がかなり凝っています。クラシックを使ったBGMも作品世界に合っていました(もっとも、バッハはこの作品の時代より100年以上後の人ですから、もうちょっと古い作曲家の方が合っていたかも知れませんが)。

物語自体はシンプルです。しかしこれこそ究極の「if」を体感できる選択肢ですね。350後にこうなると分かっていて、我々はあえて自分の信じるままに進めるだろうかと考えました。なお、読了後にはおまけも読めます。実はおまけの方が長いかも知れません(笑)。掌編ながら、ノベルゲームならではというところが随所に見られた良作です。
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