第632回/その真実は命がけ - 真相 -特殊潜入捜査部隊 猟奇的連続殺人鋭意継続事件特別対策本部-(こちゃ) - ミステリー・サスペンス
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第632回/その真実は命がけ - 真相 -特殊潜入捜査部隊 猟奇的連続殺人鋭意継続事件特別対策本部-(こちゃ)

ミステリー・サスペンス
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真相 -特殊潜入捜査部隊 猟奇的連続殺人鋭意継続事件特別対策本部-

真相 -特殊潜入捜査部隊 猟奇的連続殺人鋭意継続事件特別対策本部-■制作者/こちゃ(ダウンロード
■ジャンル/連続殺人事件の謎解決ノベル
■プレイ時間/40分

界隈で発生している猟奇的連続殺人事件では、既に12人が犠牲になっていた。被害者は皆、同じ高校の卒業生ということ以外、手がかりは何もない。記憶を失った主人公は、事件を担当する刑事達に同行して、事件について調べ始めると、浮かび上がる1人の人物。徐々に明らかになる事件の全貌と、意外なラスト。短編ミステリー風サスペンスドラマ。

ここが○

  • 個性的で渋い登場人物達。
  • テンポよく進む展開。
  • 短編ながら起承転結しっかりした作り。

ここが×

  • 描いた人によって立ち絵の絵柄が全く違う。
  • 結局記憶が戻らないままの主人公。
  • なので主人公は物語上でも存在意義が薄い。

■その真実は命がけ

テレビドラマでは珍しくないですが、フリーノベルではほとんど見ない刑事ドラマのご紹介です。タイトルが「寿限無」のように長いです。「鋭意継続」って何じゃそりゃ、と思いましたが(笑)、短編にも関わらずかなり多数の登場キャラクターが出てくるのも、刑事物ならではという感じです。

登場キャラクターは多いのですが、メインキャラクターの絵柄はアニメ風ではない絵柄で、大変クールで格好良く、序盤からどのような物語になるかという期待が高まります。登場人物は上に書いたように多いのですが、しっかり性格付けがされており、さほど混乱しませんでした。所謂「地の文」がほとんどない、会話だけのやり取りで進むのですが、会話の中に上手く心情描写が盛り込まれており、非常に上手さを感じました(ただ「いたいけなおっさん」という表現には、ちょっとずっこけましたが)。

真相 -特殊潜入捜査部隊 猟奇的連続殺人鋭意継続事件特別対策本部-主人公は意識を失って倒れていたところを警察に保護されました。目を覚ました彼は記憶を失っています。主人公が記憶を失った原因は、とある凶悪事件が関わっていると聞かされ、何故か刑事達に同行して事件の真相を探り始めるのでした。主人公は被害者側のはずですが、そんな彼が捜査に同行しているのが謎です(最後までこの謎は分からずじまいでした)。

捜査はテンポよく進み、事件の全貌が少しずつ明らかになっていきます。この辺のテンポは非常に良好で、関係のない描写がだらだら続いて流れが淀むこともありません。ある意味、一直線に真相に向かって突き進む感じです。それでいて、展開が性急である感じもありませんでした。テンポよく進んで、一気に意外なラストへと導かれるので、読み心地が大変良好でした。

難点としては、主人公の存在意義があまり(ほとんど?)感じられないことでしょう。事件に絡んで記憶を失ったという設定で、事件の根幹に大きく関わるのかと思いきや、そういう描写は全くなされず、最後まで記憶も戻らないままで、事件との関わりも明らかになりません。なので最後まで読んで、何とも言えない不完全燃焼感を感じてしまいました。これでは主人公がはいてもいなくても同じなんじゃないか、と。

それと、多数のキャラクター自体は個性も豊かで魅力的なのですが、立ち絵によって絵師が違うため、場面によっては物凄い違和感があります。まあ、主要な登場人物はだいたい同じ絵柄ですので、主なシーンではだいたい大丈夫なのですが、サブキャラが出てくるシーンでは、全然絵柄が異なりますので、そこは我慢するしかありません。

ラストで明かされる事件の真実は、なかなか衝撃的です。意外な展開に、前半から伏線を張り巡らしておいて徐々に導いていくタイプと、伏線をあまり張らずに読者の視界の外から食らわせるタイプがあるとすれば、この作品の場合は間違いなく後者です。と言っても伏線が皆無という訳ではなく、それらしい描写はきちんとされていますので、アンフェアとは感じませんでした。読み手に公明正大で、かつ意外な展開をさせるというのは難しいものですが、この作品はその点よくできていました。

ラストがラストですので、読後感がいい物語ではないのですが、「鬱エンド」というのとも違います。ただ読者の気持ちを沈ませるような終わり方ではなく、独特の退廃的な雰囲気が何とも言えません。それだけに、主人公に関しても何らかのきちんとした決着をつけて欲しかったなという思いは強く持ちましたが。あとは、文章読み返しがキーボードでしかできないのは、少々不便に感じました。全部キーボードで操作すればいいことではありますけど。

ツールはティラノスクリプト(ティラノビルダー)。選択肢はあり、バッドエンドもありますが、常識的な選択肢を選んでおけば、まず心配ないでしょう。作品紹介ページでは「エンドは2種類」とありましたが、通常のエンディングとバッドエンド以外には確認できませんでした。短時間で本格的なサスペンスが味わえる佳作です。このジャンルが好きであれば、きっと楽しめるでしょう。
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