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2019年3月の作品について

月別まとめ
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年度が変わり、先日新しい元号も発表されました。「令和」。いい響きの元号だと思います。平成の時もかなり慣れるのに時間がかかりましたが、じきに違和感がなくなりましたので、今回もそのうち慣れるでしょう。

平成があと1ヶ月で終わるのですが、よく考えてみれば私がフリーノベルゲームのレビューを開始したのは、平成15年の11月。つまり平成のほぼ半分レビューを続けていたことになります。こう書くと、何か凄いことのように思えてきますね(笑)。

では3月のまとめ記事です。

推薦/2
準推薦/7
無印/13
掌編/9

今月は推薦作が2本出ました。掌編は9本で先月と同じです。続いてジャンル別です。

恋愛/2
日常/2
ファンタジー/2
不思議系/4
SF/1
シリアス・感動系/3
ミステリー・サスペンス/3
コメディ/1
学園・青春/4
掌編/9

「不思議系」は、もともと「ファンタジー」から分けられたジャンルで、ファンタジーとは違うものの、超自然的な力や幽霊などの不思議現象・奇跡がメインテーマになっている作品ジャンルなのですが、最近このジャンルがかなり増えている気がします(その割りを食って?「日常」が減少気味のような。気のせいかも知れませんが)。

では個別の作品についてです。

3月の作品の印象


夕焼け病今月の推薦作は2本。「夕焼け病」と「たまゆらの夜」です。前者は、架空の病の少女との交流を描いた恋愛もの。後者は自分の世界に閉じこもる青年と土地の守り神との物語。どちらも非常に優れた作品でした。「夕焼け病」はマルチエンドですので、久々に一生懸命攻略しました(残り2つのエンディングは、作者さんのブログの力を借りましたが)。

どちらも、主人公とヒロインに当たる相手役が心を通わせるまでの様子が、大変印象的です。どちらの作品も、凝った伏線で読み手を驚かせるとか、特殊な世界設定があるという訳ではないのですが、「キャラクター同士のやり取りを丁寧に描き、その心情の変化の様子に説得力を持たせれば、立派に読者の心を動かす物語になり得る」ことを、見事のこの両作は証明してくれていると思います。

先月は「ミステリー・サスペンス」が3本もあったのも特徴です。「白い殺意」は、手軽に読める本格志向の謎解きアドベンチャー。謎解き部分が選択肢ではなく、文字入力式なのは驚きましたが、注意して読めば誰でも正解にたどり着ける難易度設定は親切だと思います。「黒白の夜」は、この作者さんらしい仕掛けを縦横に張り巡らせた意欲作。作中の謎を上手く使った幕引きが巧みで、唸らされました。

真相 -特殊潜入捜査部隊 猟奇的連続殺人鋭意継続事件特別対策本部-」は、少しハードボイルド風味の、ミステリーというよりはサスペンスでしょうか。サスペンスらしい緊迫感の盛り上げが上手く表現されていました。3本とも、ミステリー・サスペンスとしては方向性が違う物語ですので、このジャンルがお好きな方であれば、どれを読んでも楽しめると思います。

個性的なテーマや設定の物語が多かったのも3月の特徴でした。「春のうらら」「サマー・ロビン・ガール」は、いずれも子供から大人への成長を独特の視点で抉り出した物語でしたし、「潮騒と泡沫のサマー・デイの、架空都市ヒビカの魅力も忘れがたいものです。「純情☆スクールデイズ」のトンデモ設定も、インパクトありましたし、「Stella Cielo」の壮大なSFファンタジーも印象に残りました。

また、文章だけの作品にも面白い作品が多かったですね。ラストに仕掛けが炸裂する「空中回廊」、衝撃的な後半の展開から、虚しさの中に少し希望が見えるラストが特徴的だった「雨の降る夜」、何気ない日常のifを楽しめる正統派マルチシナリオの「雨のモザイク」、手記の形で綴られる切れ味鋭い叙情ドラマ「贖罪と命」、シリアスな中に何故かコミカルさを感じさせるキャラクターのやり取りが楽しめる「空色ニヒリズム」など、いずれ劣らぬ個性派揃いでした。

推薦作が2本出て、オリジナリティのある作品もたくさん読めて、3月は忙しい月ではありましたが、充実した作品群に巡り会えた1ヶ月だったように思います。

印象に残ったキャラクター


10月32日のハロウィン10月32日のハロウィン」は、ストーリーもなかなか衝撃的ですが、キャラクターがまた凄い。強烈な個性ということにかけては、3月の作品の中でも1番だったかも知れません。元々この作者さんは、非常に尖った性格付けのキャラクターが多いのですが、面白いことに不思議とあまり嫌な印象を受けません。ストーリーの中での使い方の巧さなのでしょうね。そこにはいつも感心させられます。

僕らが歩む道」は、極めて正統派の、明るく楽しい学園もの。ただ個性的なだけではなく、物語の中での立ち位置がみんなしっかりしているため、よくキャラクターが生かされていました。守と幼馴染である香月の関係がいいですし、守の細やかな心遣いが魅了的です。

幼馴染ものと言えば「すれ違ってから」の里沙。疎遠になった幼馴染という設定です。その、疎遠になった幼馴染と再び仲良くなる作品はたくさんあるのですが、この作品の手法はちょっと変化球。サリーとの何でもない日常シーンが楽しく、その「落差」が楽しめる作品です。「きみの夢をみている」の理子もいい登場人物でした。幼馴染キャラクターではないのですが、主人公との絡みが絶妙。主人公が一方的に寄りかかったり、逆に主人公が相手を支えるだけだったりすると、読み手を少し疲れさせるものですが、この作品は優人と理子の、支えたり支えられたりの関係がとても良かったと思います。

たまゆらの夜」のタマも、面白いキャラクターでした。主人公の言動が序盤はかなり鼻につくのですが、それを帳消しにしてくれるだけの良さがあります。なまこシャツには笑ってしまいました。言動が少し現代風に過ぎるところがありましたが、長年守り神をしていて、新しい言葉を自然に覚えた、ということにしてしまいましょう(笑)。

印象に残った台詞、場面


ななしのかかしななしのかかし」は、芝居掛かった文章は読む人を選ぶかも知れませんが、非常に凝った演出が印象的で、特に偶然が奇跡を生んだラストシーンは、非常に強い感銘を受けました。演出と場面の相乗効果が大変効果的。忘れられない場面となりました。

そして掌編ではありますが「Messenger2005」の、画面がセピア色に変わっていく終わり方も、かなり印象に残ったラストです。この作品の場合、仮に通常のノベルゲームタイプであったとしても、もちろん良い物語には違いはありませんが、MSNメッセンジャーを模したあのレイアウトが、内容と絶妙にマッチして、短い作品なのに非常に心に訴えかけてくる物語となっている、お見事な作品でした。

印象に残った場面というのとはちょっと違いますが、「潮騒と泡沫のサマー・デイ」と「サマー・ロビン・ガール」は、いずれも背景画像が素晴らしく、世界観の構築に一役買っていました。特に「潮騒」の、浜風と祭りの賑わいが感じられそうな空気感、「サマー・ロビン・ガール」の夏のノスタルジーを感じさせる独自の夏の雰囲気は、他ではなかなか見られないものです。

そして「夕焼け病」。文字だけの作品なのに、描写がありありと浮かんでくる作品です。あさひを懸命に連れ帰ろうとするシーン、夕焼けに浮かぶあさひのシルエット、そして全エンドを見た後の素敵な1枚。美麗な立ち絵や1枚絵、凝ったアニメーションもいいですが、この作品だけでしか見られない風景が、たくさんあります。是非どうぞ。

次月はもう元号が変わっています。平成から令和に移り変わっても、変わらずフリーノベルゲームを追いかけ続けていきたいと思っています。引き続いてよろしくお願いいたします。
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