第636回/同じ空の下の君に届け - LETTER(hobby-pj) - 日常
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第636回/同じ空の下の君に届け - LETTER(hobby-pj)

日常
  • comment0
  • trackback-

LETTER

LETTER■制作者/hobby-pj(ダウンロード
■ジャンル/手紙の差出人を探す旅ノベル
■プレイ時間/1時間

高校生の遠藤直樹は、ある日道端に落ちていた手紙を拾う。どうやら、風船で飛ばされてきたようだ。手紙を読むと「友達が欲しい。私を探して」と書いてあった。1枚の写真が入っているだけで、他には何も情報がない。自身の境遇に重ね合わせて、直樹は親友の愁と手紙の差出人を探す旅に出かける。手紙の主を探す、夏のちょっとした旅の物語。

ここが○

  • ストレートで嫌味のない展開。
  • キャラクター同士のやり取りが楽しい。
  • ラストへ繋がる自然な流れ。

ここが×

  • ウェイトが多く、少しストレスが溜まる。
  • 少しご都合主義に感じる展開。
  • 立ち絵の存在を前提に作られたのか、描写不足と感じるシーンも。

■同じ空の下の君に届け

フリーノベルゲームをプレイしていると、「凄く完成度の高い玄人はだしの作品」に出会えます。それはそれで魅力的ですが、実はそういう作品に出会えるのは、私がフリーノベルゲームをプレイする理由ではありません。そういう作品に出会いたかったら、プロの作品(商業作。最も商業作であってもアレな作品はありますが)をプレイすればいいですからね。

しかし「荒削りながら伸びしろを感じる作品」に出会えると、そういう時こそフリーノベルゲームをプレイしている楽しみを感じることができます。この作品は、見た目は地味で、シナリオ展開も決して派手ではないのですが、フリーならではの感覚を楽しめる、手作り感溢れる作品です。こういう作品は、定期的にプレイしたくなるのです。

LETTER季節は夏。主人公は高校生の遠藤直樹。彼は家庭にちょっとした問題を抱えていました。そんなある日、道端に落ちていた手紙を拾います。傍には風船が割れた破片を思しきゴム片が。手紙には、「友達になりたいから私を探して」と書いてありました。しかし、駅の写真以外には何も情報がありません。直樹は、夏休みを利用して、親友の愁と手紙の主を探す旅に出かけたのでした。

設定はとても面白いです。ただ、細かいところで練り込み不足を感じました。例えばこれが現代の物語であれば、写真を画像ファイルにして、google画像検索にでもかければ、すぐに場所は判明します。なので、序盤は少し前の時代の物語なのかと思っていたのですね(電話ボックスにある電話帳で電話番号を調べる、なんて描写もありましたし。流石にこのご時世にそんなことしませんよね)。でもちゃんとこの世界にも携帯電話が出てくるので、そんなに前の時代の話ではないことが判明します。

まあ、画像検索はガラケーの時代にはありませんでしたが、ガラケーしかない時代でもインターネット検索でそれなりの情報は集めることができましたから、いきなり旅に出ず、検索であれこれ情報を得ることはできたでしょう。ちょっとその辺りの舞台設定が甘いような気がしました。アナログな展開の物語ですし、いっそのこと携帯電話もない昭和の物語にでもした方が、説得力が出たかも知れません。

いきなり難点から入りましたが、この作品は、キャラクター設定がよく出来ていると思います。立ち絵も何もない地味な作品ですが、しっかり各登場人物に性格付けがされており、役割もちゃんと分けられています。特に、主人公である直樹と親友の愁のやり取りが良かったですね。いい信頼関係が伝わってきました。そこに悠里が絡んでいく前半は、ある意味平坦な展開ではあるのですが、退屈さを感じずに読めました。

手紙の主を探す前半から、手紙の主を発見した後半へ移りますが、後半もある意味予想通りの展開をします。予想通りでストレートなのですが、だからこその気持ち良さがありました。ただ、立ち絵がない文章だけの作品なのに、全体に描写が不足している感は否めません。どうやら、立ち絵を入れる前提で作られたようです。なので、プレイする時は、心眼で立ち絵を想像するといいかも知れません?

ある意味ロードムービー的な展開をする作品ですが、その割に背景がお馴染みの素材ばかりなのです。どの街に行っても背景が同じなんですよね。学園ものならまだしも、これは旅もの。移動した感じが希薄なのが気になりました。ここに一工夫あれば、かなり印象が変わったような気がします。また、場面が変わる時のウェイトが少し煩わしく感じました。背景フェードイン→テキストウィンドウフェードインの、二重のウェイトがちょっときついんです。テキストウィンドウは瞬間表示でも良かったのではないでしょうか。

ラストも、それほど驚くような終わり方をするわけではありません。しかし、主人公が「約束」を持ちかけ、それがエピローグに繋がる作りはいいなと思いました。物語展開としては、読者の意表をつくような仕掛けがある訳ではないのですが、人間関係を描く物語としては、楽しめる一作です。直樹、愁、悠里の関係がいいですね。王道を行きながら、味付けで楽しませてくれるタイプのストーリーです。

「AlmightJS」という全く耳慣れないツールを使っています。この作品、5分くらいの短い章に分けられていて、その章の終わりでしかセーブできないんですが、各章が短いので、そこまで大変でもないでしょう。エンディングは、トゥルー、ノーマルにバッドエンドが3つの合計5つ。分岐条件は分かりやすく、迷うこともないと思います。作者さんはプレイ時間5時間と書いていますが、どんなにゆっくり読んでもそんなにかかりません。私は1時間で読みました。こういう、淡い味わいながら作者さんの意気込みを感じる作品は好みです。立ち絵ありのバージョンが完成したら、是非プレイしてみたいですね。
関連記事

Comments 0

Leave a reply