第637回/リアルな瞳でコンタクト - セブンスコート(Novectacle) - シリアス・感動系
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第637回/リアルな瞳でコンタクト - セブンスコート(Novectacle)

シリアス・感動系
  • comment0
  • trackback-

セブンスコート

セブンスコート準推薦
■制作者/Novectacle(ダウンロード
■ジャンル/自作ゲームの世界から脱出ノベル
■プレイ時間/2時間

マイナーなフリーゲーム制作者の主人公。ある日彼の作品のファンという女性から感想メールが届き、彼女と会う。そこから彼の生活は大きく変化し、制作意欲も取り戻した彼は、4月1日に新作を出すと宣言。そしてその日作品をアップロードしたと思ったら、何故か自作ゲームの世界に取り込まれた。後半の展開が衝撃的なドラマティックストーリー。

ここが○

  • 絵が物凄く綺麗。
  • 物語に隠された仕掛けが明かされる後半には驚き。
  • 心を揺さぶる強いテーマ性。

ここが×

  • 前半は少し退屈かも。
  • 舞台が外国なので、感情移入しにくい面が。
  • やるせないラスト。

■リアルな瞳でコンタクト

超有名作のご紹介です。絵だけでぴんと来る方も多いでしょう。「霧上のエラスムス」の作者さんの作品です。前々からプレイしなくてはとは思っていたんですが、有名作はとにかく後回しにする私の悪い癖により、ここまで引っ張ってしまいました。ようやくプレイ致しましたので、レビューを書きます。

この作品は、まず設定が変わっています。舞台はフランス。主人公はしがないフリーゲームの作者で、ハンドルは「ダークナイト」。ちょっと中二風ではあります(笑)。彼はなかなかヒット作を生み出すことができませんでしたが、ある日彼の作品のファンという女性から、ファンメールを受け取り、なんと彼女と会うことに。会ってみると、その女性ジゼルは超美人で性格も抜群。コミュ障気味のミシェルですが徐々にジゼルと打ち解け、再び会う約束をします。

セブンスコートジゼルと会ったことで制作意欲を取り戻したミシェルは、自分のサイト「ロワイヤルヘブン」の掲示板に、4月1日の新作公開を予告。が、その当日に作品を公開した直後に、ミシェルは全く見知らぬ土地で目を覚まします。そこは何と、彼が以前に作ろうとしていたRPG「セブンスコート」の舞台なのでした。そこで出会ったロワイヤルヘブンの掲示板の常連たちと共に、元の世界に戻る方法を探す、という物語です。ちなみに、登場キャラクターはどうも「霧上のエラスムス」と共通のようですね(名前が同じだけみたいですが)。

セブンスコートの世界のBGMが、ファミコンのような安っぽい音というのが、何とも哀愁を誘います(笑)。冒頭は少々キャラクター同士のやり取りが冗長な感があり、話の内容もよくある異世界ものファンタジー風にも見えるため、少し掴みは弱いかも知れません。しかし、中盤から後半、物語の骨格が見えてきてから、かなり面白くなってきます。

この作品は、フリーゲーム作者が主人公ということもあり、フリーノベルゲームファンの方(特に作者)であれば、共感できる内容が多いのではないでしょうか。メインのストーリー以外でも、創作活動というものに対する、非常に強いメッセージ性を持っています。本筋以外にもこういうテーマ性があるというのは、物語の深みを非常に増してくれますね。私も、レビューを続けている身ですから、色々と考えさせられました。

そして後半の物語。ある意味「MINDCIRCUS」と似たところもあります(こちらの方が先に登場していますが)。あちらほど狂気を描いてはいませんが、やはり人間のダークな一面を前面に出しており、後半はなかなか辛い展開です。ただ、ミシェルの周りにいた人たち、特に掲示板で煽りを繰り返しており、最初はどうしようもなく嫌な奴だったヤコポが改心し、前向きになる様子には感銘を受けました。

ですが、「MINDCIRCUS」と違うのは、あちらは主人公が救われるハッピーエンドがあるのに対し、こちらはないんですよね。もちろん、彼の周りにいたヤコポ、イメオン、ネリー達は、それなりに自分の心の落ち着き先を見付け、新たな一歩を踏み出すのですが(特にイメオンはいいキャラクターですね。ラストの行動も素敵)、ミシェルがこれではどうにも浮ばれません。一応、ミシェルはミシェルで、それなりにこの出来事の中で救いを見出したと言えなくもないのですが、読み終えた後、何とも言えない気持ちになってしまいました。

それでも、後半の展開は一見の価値があります。ミシェルとエイド以外の登場人物は、ちゃんと新しい道に進んでいく描写がなされますから、後味が悪い訳でもありません。こういう、登場人物の心境変化を、説得力を持って描くというのは非常に難しいものですが、この作品はそこがとてもよくできていて、シナリオを強力に支えていました。そのため、どのキャラクターも大変魅力的です。みんながだんだん心を通わせていく描写が、お見事でした。舞台がパリではなく、日本だったらもっと感情移入しやすかった気もするのですが、元となる作品の舞台がパリなので、これはそういうものだと思いましょう。

なお、作中に登場したミシェルのサイト「ロワイヤルヘブン」は、作者さんのサイトの中に、ちゃんと作られています。一昔前の個人サイトっぽいデザインが妙にリアルです。掲示板を見て、登場キャラクターのやり取りから性格をあらかじめ把握しておけば、より楽しめるでしょう(プレイした後に読んでみるのもあり)。

選択肢のない一本道の物語で、プレイ時間は2時間くらいです。ツールは吉里吉里。1枚絵はないのですが、とにかく立ち絵の美しさには圧倒されます。ノベルゲームに限らず、ゲーム制作の経験がある方ならば、ミシェルの創作姿勢にはきっと共感できることが多いでしょう。プレイ専門の方でも、この作品をプレイすると、今後は簡単に「クソゲー」みたいな言葉は使えなくなるかも知れません(?)。未プレイの方は、後半のストーリーに是非驚いてください。
関連記事

Comments 0

Leave a reply