第638回/彼の魔法は、不思議で嬉しい - 高崎くんと7つの魔法(tales&Vivid) - 学園・青春
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第638回/彼の魔法は、不思議で嬉しい - 高崎くんと7つの魔法(tales&Vivid)

学園・青春
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高崎くんと7つの魔法

高崎くんと7つの魔法■制作者/tales&Vivid(ダウンロード
■ジャンル/忍者の末裔と傘探しノベル
■プレイ時間/15分

ちょっと不思議なクラスメイトの高崎くんには、7つの秘密があるらしい。彼と同じ生き物係に所属する女子高生の宮城は、ある時担任の先生から、公園へボランティアへ行くように指示された。高崎くんと公園へ行った宮城だが、そこには宮城の傘を手にして空を飛んでいる子供が。本編の隣で別のキャラがチャットしているという、前代未聞の青春コメディ。

ここが○

  • 斬新で見たことのないようなシステム。
  • 宮城と高崎君のやり取りが和む。
  • 七不思議で締めたラストが綺麗にまとまっている。

ここが×

  • チャットは凄いが、効果的かと言われると……。
  • 突拍子もないノリに付いていけない人もいるかも。
  • ウィンドウが横長過ぎて、小さな画面では持て余す。

■彼の魔法は、不思議で嬉しい

少しばかりお休みをいただいて充電しました。またレビューを再開です。まあ、また時々休んだりペースが落ちたりするかも知れませんが、マイペースで続けていきますので、今後ともよろしくお願いします。さて今回は非常に独特な見た目の作品。メインのウィンドウの隣に、何やらチャットウィンドウがあります。

これは「ティラノストーリー」というチャットシステムを使ったようですね。私がプレイした作品の中では、唯一「ありすとーく」で使われていました。あの作品はチャットだけでノベルゲームを作ってしまうという野心作でしたが、この作品も凄い作りです。なんと、メインの物語が展開すると同時に、別のキャラクターが物語についてのチャットを繰り広げるという。そのためウィンドウがあまりにも横長で、私の環境では少々持て余しました。

高崎くんと7つの魔法主人公の宮城(名前が出てこない。沖縄出身なんだろうか? ニックネームは『ヤギー』)は、ちょっと気になるクラスメイトの高崎くんと、植物の世話しかしない生き物係をしています。その高崎君には、7つの秘密があるらしいのです。七不思議みたいなものですね。学園七不思議はよくありますが、1人の人間で七不思議を全部背負ってしまうというのも、凄いですね(笑)。

設定やキャラクターの設定は、そこまで突飛という訳ではありませんので、学園ものがお好きであれば安心して読めると思います。ただ、全体のノリはかなりコメディノリ。突然子供が傘で空を飛んだり、影絵の集団が走っていったり、シュールな光景が繰り広げられます。読者を突き放すほどの乗りではありませんし、大事な場面で変なギャグを入れて雰囲気を壊すようなことはありませんので、その意味では、コメディではあるものの節度が効いていていいと思います。

さて、チャットウィンドウ(スマホコメンタリー、略して「スマコメ」というらしい)ですが、本編とは関係のない2人が(どうも同じ作者さんの別作品の登場人物のようです)、本編の展開についてあれこれと漫才のような突っ込みを入れるというもの。ニコニコ生放送で、放送の内容について色々なコメントが流れるような雰囲気とでも言えばいいでしょうか。

面白い試みではあるのですが、せっかくこういう凝ったことをするなら、もう一工夫して、サブウィンドウのチャットで「二度美味しい」みたいな作りになれば、と思いました。いかにも今風のチャットのやり取りで好みが分かれるでしょうし、それに特に本編をより深く味わえたりする訳でもありません。例えば本編の2人が、本編では語られなかったその場面での裏話や、その時のキャラの心情を語る、なんて方式ならば、ぐんと作品の奥行きが増して、このシステムも生きてきたように思います。

とは言え、気になるならばオフにもできますし(むしろ最初に読む時はオフにすべきです。両方読んでいたら訳が分からなくなります)、二度目に読む時のちょっとしたおまけと考えれば、作品の個性として面白いですし、このような独創的な工夫は評価されるべきだと思います。

ノリは結構突拍子もないのですが(いきなり忍者の末裔云々、なんて話も出てくるし)、展開は実は練りこんで作られています。傘がきちんと後半の展開の鍵となっている上、更にラストでもきちんと傘が活躍していますし、その上「七つの不思議」で入って、締めは「七つの魔法」を再び持ってくるという構成の上手さ。派手さはないものの、このラストの締めくくり方はとても見事です。序盤だけ見るとイロモノにも感じられるのですが、そんなことはなく、しっかり作られた短編作品の佳作です。キャラクターの扱いも丁寧ですね。

ツールはティラノスクリプト。選択肢のない1本道で、プレイ時間は1回なら15分です。その後、もう一周してスマコメを読むかどうかはお好みで。変化球狙いかと思いきや、学園ものとしてはストレートで真面目な作りです。ラストの宮城と高崎くんの様子には、微笑ましさを感じました。スマコメで登場した2人の作品も、私は読んでみたくなりましたから、その意味ではあのシステムは成功なのかも知れません?
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