第641回/一度なら偶然、二度ならジンクス - ジンクスホリック・シンドローム 紹介編(雨夜) - ホラー
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第641回/一度なら偶然、二度ならジンクス - ジンクスホリック・シンドローム 紹介編(雨夜)

ホラー
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ジンクスホリック・シンドローム 紹介編

ジンクスホリック・シンドローム 紹介編準推薦
■制作者/雨夜(ダウンロード
■ジャンル/女子中学生3人組ジンクス解明ノベル
■プレイ時間/1時間半

ある日中学生のマオは、クラスメイトのアキコから悩みを相談される。「サンマンさま」という奇妙なお呪いについてだった。サンマンさまのお陰で彼氏ができたものの、悪いことが起きないかと心配しているとのことだった。マオは、友人のユーヒ、サヤカと相談して、サンマンさまの秘密を調べ始めるのだが。一話完結式の、ライトな学園ホラー。

ここが○

  • 女子中学生同士の賑やかな会話の雰囲気。
  • テンポよく進む展開。
  • 第3話の見事なオチの付け方。

ここが×

  • 文字サイズが小さい上フォントが独特で読み辛い。
  • 前半は、オチが少々無理やり。
  • 既読スキップが異常に遅い。

■一度なら偶然、二度ならジンクス

古めの作品のご紹介です。ジャンルに悩んだのですが、一応ホラーっぽいところも少しあるので、ホラーにしました。と言っても、さほど怖くありません。直接的に怖がらせるような描写はほとんどないと言ってもいいでしょう。ただ、状況的には結構怖い描写もあります。いわば「シチュエーション学園ホラー」とでも言いましょうか(今作った単語)。

主人公たちは女子中学生の、マオ、ユーヒ、サヤカの3人。マオとユーヒはクラスメイトで、ユーヒとサヤカは幼馴染。ただしサヤカの方が一学年上です。作中で年は同じと表現されていましたから、サヤカが早生まれということなのでしょうか。この3人、サヤカが所属している文芸部の部室にいつも入り浸っていて、そこで雑談に興じています。そんな3人が、学校内で噂される様々なジンクスの秘密を解いたり解かなかったりする物語です。

ジンクスホリック・シンドローム 紹介編ジンクス1は「サンマンさま」。コックリさんのような、願いが叶うお呪いで彼氏ができた、マオの同級生アキコが、マオに相談を持ちかけるところから始まります。そしてマオはいつものように文芸部室へ行くと、ユーヒとサヤカにこのことを相談するのでした。この作品、いわゆる「地の文」が一切存在せず、終始会話文だけで進行します。その会話文も、普通のウィンドウではなく、上の画面写真を見れば分かるように、表示方法が独特です。

しかし、このシステムが非常に上手く効いており、女子中学生同士の騒がしくも楽しいやり取りの雰囲気をよく出していると思いました。また、物語進行と何気ない会話文とのバランスがいいですね。この手の作品だと、会話に耽りすぎると流れが澱むのですが、この作品では物語が進むときはとてもテンポよく流れるため、流れが澱んでいると感じることがありませんでした。

そしてやがて明らかになるサンマンさまの正体。……なのですが、この第一話は、オチのつき方がなかなかに投げやりです(笑)。終わり方も拍子抜けならば、最後のアキコの反応がこれまた何とも(笑)。もう少し上手くまとめられれば、もっと読後感が良かったのですが。

続いてジンクス2、「唄ウ横断歩道」。第一話ではマオにスポットが当たりましたが、今度はユーヒです。「横断歩道の白い線だけを踏んで渡るといいことが起こる」という、誠に子供染みたジンクスから事件が始まります。後半で明らかになるユーヒの過去に少々の唐突感を感じたのですが、第一話に比べても物語の完成度が上がっていますし、3人のやり取りにはより磨きがかかっています。

そして最後のジンクス3、「ラブ&ヘイト」。メインキャラはもちろん最後の1人、サヤカ。この最終話で「準推薦」を決めたと言っても過言ではありません。かつて学校で流行っていた「ラブ&ヘイト」というトランプゲームがテーマなのですが、ゲームのルールを上手く使ったオチへの持って行き方が秀逸。唸りました。それだけでなく、唐突に感じた第一話のちょっとした謎も解決した上、ラストも非常に綺麗。お見事です。

実はこの作品、この後に本編を作る予定だったようで、この作品はあくまでその予告編という位置付けのようです(タイトルにも「紹介編」とありますし)。でも現在本編の存在は確認できていません。この3人の活躍をまた見てみたい気がしますが、この作品の登場は今から10年前の2009年。本編公開は望み薄かも知れません。どこかで本編が公開されているのをご存知の方がいらっしゃいましたら、是非教えてください。

遊びやすい作品ではあるのですが、フォントサイズが小さい上、フォント自体も手書き風の独特な書体ですので、少し読み辛いのが難点でした。また、スキップ機能がかなり遅いのです(速い箇所もあります)。私は2度、セーブを忘れてバッドエンドになり、最初からやり直す羽目になったので、この既読スキップの遅さには、少し参りました。使用ツールは吉里吉里ですから、その気になれば早くもできたはずなのですが。

3人の主人公は、ユーヒが少し霊感っぽいものを持っている他は、どこにでもいる等身大の女子中学生で、ストーリーも飛び道具を使った突飛な展開はしません。が、最終話の中盤からラストに至る展開が見事で、ここを読むためだけにプレイする価値があると断言します。プレイ時間は全部読んで1時間半ですが、各話にバッドエンド選択肢がありますのでご注意(間違えたときだけでなく、制限時間があって、時間を過ぎたらバッドエンドになります)。古めの作品ですが、全く今の作品に見劣りしない「怖くない学園ホラー」の良作です。
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