第645回/君の笑顔にさよなら - さようならサヨナラ(月うさぎプロジェクト) - ホラー
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第645回/君の笑顔にさよなら - さようならサヨナラ(月うさぎプロジェクト)

ホラー
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さようならサヨナラ

さようならサヨナラ■制作者/月うさぎプロジェクト(ダウンロード
■ジャンル/オカルト部命からがら合宿ノベル
■プレイ時間/1時間半

部員が3人しかいないオカルト研究部。おっとりとした上品な部長の環静楓、オカルト大好きな三尾清明、それに主人公の高梨望の3人で、日々だらだらと雑談するばかりだった。そんなある日、学校に伝わる伝説を耳にした。地学準備室で昔何やら不穏な事件があったらしい。興味を示す清明に対し、望は及び腰。ちょっとだけオカルトな夏の学園物語。

ここが○

  • 役割がしっかりしていて個性豊かなキャラクター。
  • そのキャラクターたちの楽しいやり取り。
  • ちょっとした設定を上手く使っての後半の展開。

ここが×

  • 前半がちょっと退屈。
  • やたらエンドが多いが、どのエンドも終わり方に大差ない。
  • 繰り返しプレイが前提なのに、繰り返しプレイが考慮されていない作り。(注・最新版では改善されています)

■君の笑顔にさよなら

元号が変わりましたが、特に何も変わることなく、令和最初のレビュー行ってみましょう。「子守唄を貴方に……」の作者さんの新作です。この作者さんの作品を取り上げるのは、なんと8年ぶりです。「子守唄」は、個性的なキャラクターと凝った設定、後半の緊張感のある展開と、非常に素晴らしい作品でした。この作品も、キャラクターの個性は「子守唄」を彷彿させるものがあります。

今回、ジャンルに悩みました。ホラーというような怖さがある訳でもないですし、さりとて普通の学園ものでもありません。後半の展開はちょっとだけホラーっぽいですし、この作品の主眼はその後半だと思われますので、一応「ホラー」ということにしました。でもこの作品は、ホラーというよりも「学園オカルトノベル」という呼び方がぴったりだと思います。

さようならサヨナラ出だしは上のあらすじの通りです。主な登場人物は3人。いずれもオカルト研究部のメンバーです。由緒正しき神社の一人娘である環静楓は、おっとりと上品なお嬢様。主人公の幼馴染である三尾清明は、三度の飯よりもオカルトが大好きな、オカルトマニア。それを一歩引いたところから見ている、オカルトにはそれほど興味がない主人公の高梨望。この3人のキャラクター立てと、物語内における役割が良く、前半から彼らのやり取りはとても楽しく読むことができます。

特に、ヒロインの静楓と主人公の望だけだと、どうにも薄味になってしまうところを、強い個性を持つ清明が上手く繋ぎ、折々のシーンで場面を盛り上げてくれます。特に、清明が野球部の助っ人を請われるエピソードは、前半を上手く引き締めてくれている名場面でした。このシーンは、前半のお気に入りです。

ただ、前半が少々退屈だったりするのが玉に瑕です。単にキャラクターのやり取りを見せているだけでも、この作品のキャラであればそれほど退屈ではないと思うのですが、この作品は前半から選択肢がちょくちょく出てきて、しかも間違えると一発死。最初のうちは、ゲーム内の1日で出てくる選択肢が1つで、それを間違えたらアウトというだけなのでまだいいのですが、先へ進むと、1日で出てくる選択肢が2つ、3つと増えていきます。それらの選択肢の組み合わせで、正しいものは1つしかないのです。

ということは、2つなら組み合わせは4、3つなら8(ラストシーンは、何と選択肢4つ。つまり1/16!)。このうち正しい組み合わせは1つだけで、あとは全部バッドエンドです。なので、必然的に何度もやり直す羽目に。選択肢がまた、理詰めで考えて分かるようなものではなく(一部、何となく想像がつく選択肢もありますが)、ほとんど総当たりするしかありません。これには参ってしまいました。

しかもこの作品、エフェクト類が一切飛ばせません。加えて、何と自由にセーブ・ロードができません(1日の終わりにセーブできるようになっている)。なので、バッドエンドになったら、最後まで飛ばせないエフェクトのバッドエンドを見たのち、いちいちその日の頭からやり直す羽目に。これは、繰り返しプレイが前提の作品としていかがなものかと思いました。バッドエンドがバラエティ豊かならばまだいいのですが、些細な死に方が変わるだけで、どれもほとんど同じなのが、また何とも。(19.5.6追記/バージョンアップされました。最新版では、自由な箇所でセーブできたり、色々改善されています)

なので、プレイは少々大変でした。放課後、静楓が扉の影から姿を現した時は、毎度心底胸を撫でおろしました(笑)。そして前半を無事乗り切れれば、部室での夏合宿という展開。ここでプレイヤーにとどめを刺すが如くに(笑)選択肢が4つ連続。もちろん全部正解しないとバッドエンドです。ここまで来たら気合いで頑張りましょう。前半と違い、ここだけは間違えてバッドエンドになったら、選択肢の直前に戻してくれます。この後半、前半で出てきた些細な伏線が活かされた展開には、「おっ!」と思わされました。舞台伏線とでもいうのでしょうか。上手い使い方です。

ラストに至って、何かが解決するという訳ではないのですが、大きな事件を乗り越えて、なかなか充足感のあるエンディングだと思います。後日談で非常に気になる描写があって、夜も眠れなくなりそうなんですが(笑)、この作品はとにかくキャラクターがいいので、何とか繰り返しプレイを頑張れました。その意味では、上手く作られた作品であるとも言えます。

ツールはティラノスクリプトです。エンディングは、バッドエンド込みで18種類。とにかく攻略は大変です(難易度が高いわけではなく、単に時間がかかるだけなのですが)。プレイ時間は私は1時間半でした(ストレートに正解を選べば、多分30分くらいだと思いますが。つまり1時間くらい迷ったということです)。バッドエンド→やり直しのループが苦にならなければ、キャラクターのやり取りと後半の展開を味わう為にプレイする価値は、十分にある作品だと思います。
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