第70回/夏の世の夢いつまでも - ヒトナツの夢(Milk cat) - 恋愛
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第70回/夏の世の夢いつまでも - ヒトナツの夢(Milk cat)

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ヒトナツの夢

ヒトナツの夢準推薦
■制作者/Milk cat(ダウンロード
■容量/19.8MB

夏休み前、須貝俊樹は学園祭の準備に忙しい毎日。ある日、ふと屋上へ上り、不思議な少女と会う。少女を「おさげ」と呼んでからかい、忙しく学園祭間近の楽しい日々が過ぎて行くが、俊樹には忘れられない幼い頃の想い出があった。グラフィックス、音楽、システムが怒濤のクオリティで迫る大人気作品。

ここが○

  • 背景、立ち絵、1枚絵など、驚くほどグラフィックスのクオリティが高い。
  • 毎度の事ながら、驚愕のシステム面の作り込み。
  • エンディングではなんと歌まで。歌の盛り上がりがシナリオとシンクロして感動度を高める。

ここが×

  • 意外な事が何1つ起こらない予想通りの展開。
  • ちょっと寂しい感じがする、予想通りのエンディング
  • エンディング前はちょっと冗長に感じた。

■夏の世の夢いつまでも

実はこの作品、去年の夏に既にプレイしていました。実は、背景だけでキャラ絵、イベント絵が一切ない、「期間限定版」として作者さんのサイトで配布されてたんです。なかなかの良作でしたが、期間限定作をレビューに載せる訳にもいかず、ここではご紹介しませんでした。この度公開の正式版は、立ち絵はつくは、イベント絵はつくは、サブヒロインのシナリオはつくは、更にはエンディングでは歌までつくはの大豪華版。既に大人気作品として有名ですね。

さてこの作品は「Sake of you」「なつのおわりに」を作られた方の作品です。確かこの作者さんは「With~君と手つないで、春ッ!」のスクリプトも担当されていたと思いますが、相変わらずそのシステム周りの作り込みには舌を巻きます。また、文章が縦書きなのには驚きました。これは賛否両論あるかも? 私は横書きの方が読みやすく感じますが、縦書きは縦書きで、独特のちょっとノスタルジックな雰囲気があって、面白い表現です。

シナリオについてですが、この作者さんの味がよく出たものとなってますね。実にストレートな作品で、意外な展開はほとんどありません。ある意味お約束通りに話が進行していきますし、伏線も、実にご丁寧に分かりやすく提示されるため(苦笑)、見た瞬間に「これはあそこに繋がってるな」と分かります。

正直もうちょっと捻って欲しい気がしなくもないですが、多分この作者さんは精緻なプロットの絡み合いとか、凝った伏線で読ませるタイプではなく、描写と演出、キャラクターの描き方で感動させるタイプと思われますので、これはこれでありだと思います。実際、描写やそこに持って行くまでの盛り上げ、キャラクターの掛け合いなどは、さすがと唸らされます。

ただ個人的にはもっと内容を切り詰めても良かったような気がしなくもありません。終わり方が終わり方ですし、それほど意外な展開をする訳ではありませんから、あまり長くプレイさせて余韻を引っ張らせるより、さらっと流した方が良かったんじゃないかな、なんて思います。エンディング手前あたりがちょっと冗長にも感じました。

なお、今作は限定版にはなかった(て言うか、限定版には選択肢自体が存在しなかった記憶が)サブヒロインシナリオも存在します。「ピアノが二度と弾けないような骨折って、どんなだよ!」と、医療職でかつピアノを弾く私はツッコんでしまいましたが(笑)、実はこちらのシナリオの方がよくまとまっていて、私は好きだったりします。

キャラ絵やイベント絵、背景の出来映えは見事です。想像力をふくらませてくれる限定版も好きでしたが。音楽もなかなか豪華ですが、ちょっと耳に残りにくかったような。印象的なBGMが何曲かあればよかったんですが。そしてエンディングはなんと歌つき。ここまで来ればもうご立派と言うほかありません。曲の盛り上がりがシナリオの展開に合わせてあるので、非常に感動を高めてくれるでしょう。

この辺りの絵と音による演出性の高さは、この作者さんの一番得意とするところで、さすがと思わされます。ヒロインの瑞菜も、レベルの高い一枚絵や立ち絵はもちろん、キャラクターとしても文句なく可愛いです。物語の作りは正攻法、ストレートでありながら、キャラクタードラマとしては大変高品質と言えるでしょう。

世評が高い作品(かつ、私が発掘してきた訳ではない作品)には、どうしてもちょっと辛口目のレビューになるんですが、この作者さんの持ち味を十二分に発揮し、丁寧に作られた良作です。高品位な一夏の感動物語を、ぜひ堪能してみてください。(18.5.8/レビュー改定)

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