第651回/背中をくすぐるひそひそ声 - Giggle。ひそひそ(荒咲りゆ) - オムニバス・その他
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第651回/背中をくすぐるひそひそ声 - Giggle。ひそひそ(荒咲りゆ)

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Giggle。ひそひそ

Giggle。ひそひそ■制作者/荒咲りゆ(ダウンロード
■ジャンル/不条理オムニバスノベル第2弾
■プレイ時間/15分

寂れた洋館の地下室を探検する二人の少年。何故かトイレの花子さんと、隣り合った個室で話ができるようになった女子生徒。肝試しの最中に怪しげな女性の幽霊に追いかけられる男。そして元恋人に双子の妹を殺され、罪の意識に苛まれる女子大生。前作同様の作りでお送りする、「意味が分かるとちょっと怖い」掌編集の続編。

ここが○

  • 風味は似ていても、味わいが異なる4本+αの掌編。
  • 現実味のある声の演技がよい。
  • ラジオドラマ風な、想像の余地がある現実感。

ここが×

  • 前作に比べると、不条理さが減ったような。
  • そういう演出なのだろうが、ちょっと背景画像が見辛い。
  • 終わり方は好き好きかも。

■背中をくすぐるひそひそ声

タイトルからもお分かりのように、以前もご紹介した「Giggle。くすくす」の続編的な掌編集です。基本的な作りは前作と同じで、4本+αの掌編集が収められており、立ち絵なしで声が入っている点も同様。タイトル画面もほぼ同じ。前作を楽しんだ方ならば、私がご紹介するまでもなく、もうプレイしているかも知れませんね。

画面写真では少し分かりにくいかも知れませんが、左にガラスのひび割れのような模様が入っており、背景写真は恐らく敢えてそうしていると思われますが、少々ぼやけていて見にくくように加工されています。このため、立ち絵がない作品ではありますが、背景写真でも独特の不気味な雰囲気を醸し出しています。もっとも、見にくいのは間違いなく、場面によっては「これは一体どこ?」となるシーンもあるのですが……(じーっと見れば分かるかも?)。

Giggle。ひそひそ最初の物語は「思い出に埋もれる」。街外れの洋館の地下室を探検する二人の少年のお話。じんわり怖いというより、あまり想像の余地がない、ストレートな話です。爺さんそんなことする前に確認しろよと思わなくもないのですが、この後のことを考えるとやはり怖いです。

2本目は「私は彼女の、彼女は私の背中を押した」。ある時から、開かずのトイレにいるという「花子さん」と会話するようになった女子高生のお話です。この話は前作っぽいテイストが感じられ、特にラストシーンは「知的な怖さ」があります。ほのぼのな会話で展開する前半とのギャップが、じわじわと怖さを演出してくれます。

3本目は「ついてくる」。肝試しの最中に、白装束の女性を見てしまった男のお話。終わってみれば「そういうお話かよ!」と。そりゃあ霊の気配を感じないはずです(笑)。女性が「ついてくる」理由が作中では全く語られていないので、その意味では少し消化不良感を感じなくもないのですが、音の演出が効果的に働いている一編でした。

4本目は「さよなら、セカイ」。自分の恋人に、双子の妹を殺された女子大生の話。この話だけだと「何のこっちゃ?」というオチがつくのですが、4本目まで全部読むことで5本目のシナリオが公開され、それを読むことで意味が分かります。5本目を読むと、なるほどそういうことかと分かる面白さがありました。前作同様、この5本目はあまり怖さを前面に押し出しておらず、解釈によっては「いい話」です。

ただ、読み方によっては何とも後味の悪いラストと言えなくもないので、これは好みが分かれるかも知れませんね。個人的には、前作のしんみりしたラストが好きだったので、あまり深く考えずに、いい話で終わらせたい気がするのですが、それでも作者さんが解説で語っている問題点は、無視できませんよね。ある意味、前作こそが変化球で、この終わり方こそがこの作品らしい終わり方と言えるという考え方もあるでしょう。

前作が、「よく考えると怖い」という話が多かったのに対し、今回は「よく考えなくても怖いのが分かる」印象で、少し雰囲気が違います。なので、前作の不条理感は薄まり、より分かりやすい掌編集になっているように思いました。これは好みの問題ですね。どちらもありだと思います。そして今回もフルボイスなのですが、アニメ風の演技ではなく、より現実味のある声質の方ばかりで、作品のムードに非常に合っていたと思います。背景写真だけで声があるのは珍しいですが、ラジオドラマ風の「靄がかかったような現実感」を感じさせ、作品の雰囲気にとても合っていました。声優さんも皆好演です。

プレイ時間は全部読んで15分くらい。ツールはティラノスクリプト。選択肢はありません。前作はマウスホイール上回転での文章読み返しが出来ませんでしたが、今回はちゃんと出来ます。この手の作品は、掌編でも文章を読み返したくなることが多いですから、これは嬉しい配慮。ストレートな怖さではなく、「後から来る怖さ」がお好きな方でしたら、きっとお気に召すと思います。
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