第656回/変わる勇気、変わらない想い - だめシス ~damecco sisters~(だめシス製作委員会) - シリアス・感動系
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第656回/変わる勇気、変わらない想い - だめシス ~damecco sisters~(だめシス製作委員会)

シリアス・感動系
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だめシス ~damecco sisters~

だめシス ~damecco sisters~■制作者/だめシス製作委員会(ダウンロード
■ジャンル/問題三姉妹更生ノベル
■プレイ時間/4時間

街の便利屋として雑多な仕事を請け負う佐藤たまき。ある日昔世話になった女性の依頼で、彼女の家の三姉妹の身の回りの世話をすることに。長女は空気が読めない社畜、次女は昼夜逆転でゲームばかりしている引きこもり、そして三女はホームレス家出少女。果たしてたまきは、一癖も二癖もある三姉妹を立ち直らせ、この一家に平穏をもたらせられるのか?。

ここが○

  • 姉妹の抱えた問題に切り込むという斬新なアプローチ。
  • 個性的な三姉妹のキャラクター。
  • 三姉妹の性格付けと位置付けのバランスの良さ。

ここが×

  • 既読スキップが使い辛い。
  • 葵の趣味や主人公の過去についてもう少し描写があっても良かったのでは。
  • 恋愛要素には弱さを感じる。

■変わる勇気、変わらない想い

久々に「VIP系」の作品のご紹介です。VIP系の作品って、主人公がニートだったり(にぃにぃ☆にぃとだうん)、ヒロインが全員電波だったり(い~びる☆あいっ!)、最初から下ネタ全開だったり(詩歌を嗜むRe)、設定からして吹っ飛んでいる作品が多いのですが、この作品も設定の奇抜さでは負けていません。

何せ、ヒロインである3人の姉妹が凄い。長女の彩木葵は一見明るく社交的ですが、空気がいまいち読めず、酒を飲むと暴言を吐く社畜。次女の茜は昼夜逆転生活でゲームばかりしている引きこもりニート。三女の藍は家が嫌になって家出し、放浪生活を送るホームレス。更に、主人公に三姉妹の世話を依頼してきた母親の綾は、ネットゲーム中毒で、借金を作った挙句にネトゲで知り合った愛人と蒸発。こんな壊れた家族も珍しい(汗)。

だめシス ~damecco sisters~主人公の佐藤たまき(男です)は、昔世話になった三姉妹の母親である綾に依頼され、彩木一家の元に定期的にやってきて、家事その他の仕事をこなします。そうして、三姉妹を何とか立ち直らせようと、あれこれ奮闘するという内容。何せ三姉妹の性格が性格ですから、初日から不穏な空気が漂うのですが。システムはカレンダー消化型ですが、順番にカレンダーを消化するのではなく、ストーリー進行に合わせて右上に何日目か表示されます。1日ずつ進むのではありませんし、ストーリーは結構テンポよく進むので、序盤が異常に退屈というカレンダー型にありがちな欠点はありません。

まず三女の藍。彼女が家出するに至った理由を探りつつ、他の姉妹とも次第に打ち解けて行き、このまま幸せな毎日が続くのかと思われますが、後半急展開が。ここは少し展開がいきなりな感じもしましたが、そこからラストへの流れは、なかなか上手いです。ラストシーンも綺麗で、読後感のいいシナリオでした。恋愛要素はあまりないのですが、藍はまだ高校生ですから、それはこれからのお楽しみでしょうか。

続いて長女の葵。明るく朗らかで、最初の印象こそいいのですが、徐々に彼女の性格の問題が明らかになっていきます。そして途中から彼女が勤務する会社の問題がうっすらと見えてきて、なんともきな臭い展開に。ただ、会社にやり返したりする訳でもなく、たまきと藍が一方的にトラブルに巻き込まれるだけなので、爽快感という意味では少し薄いかも知れません。それでも彼女の境遇や、うまくコミュニケーションを取れない不器用さには、共感する人も多いと思います。

ただ、ラストの解決法がちと強引な気が。前半ほとんど伏線が張られていませんし、たまきが打ち込んでいる趣味については、それとなく書いておいておいてもよかったのではないでしょうか(少しだけそれっぽい描写はありましたが)。ラストは、3つのルートの中では一番のハッピーエンドかも知れませんね。恋愛要素も全体にしっかり描写されますし。途中は少しもどかしさを感じる展開もしますが、これも藍ルート同様読後感はすっきりしています。

そして次女の茜。このルートになかなか入れず苦労しました。まさかあの選択肢が鍵だったとは。献立選択は大事です(笑)。このルートは、主人公の過去も絡んできて、この作品のメインとも言える物語です。その分、単なる恋愛ものではなく、深い内容です。茜だけエンドロールが流れるエンディングは2種類あるのですが、コンビニエンド(?)は、非常に余韻を残してくれる終わり方でした。ハッピーエンドはもう1つの方ですが、ハッピーエンドよりむしろコンビニエンドの方が心に響きました。後を引くやるせなさがたまりません。

が、主人公の過去(はるきとのエピソード)については、会話中で少し語られる程度です。このエピソードは、このルートの根幹にも関わる重要要素ですから、回想シーンを入れるなど、もう少し重点的に描いていても良かった気がしました。あとはああいう展開にするのなら、もう少し茜からたまきへの恋愛描写があっても良かったのでは。なお、途中の野球観戦のシーンが好きです。さほど本筋には関係ないのですが、実にいいアクセントになっていました。

何せこれだけ問題を抱えたヒロインが3人いる上、目的が「ヒロインを更生させる」ことなので、多少のごった煮感は否定できません。しかし、特定のルートに入ると他のヒロインは放置なんてことはなく(藍ルートの葵は影が薄かったですが)、「彩木家を再び仲がいい家族に立て直す」という展開に持っていくため、どのルートもしっかりまとまりがあったのは、見事な作りだと思いました。何より、3人のヒロインの配置バランスですね。第一印象はいいものの徐々に問題が明らかになっていく葵、第一印象は酷いけど、少しずつ心を開いてくれるようになる茜、そこに藍が家の外で絡むことで、上手くめりはりをつけています。このバランスの良さに感心しました。

ツールはLive Maker。なのでプレイはしやすいのですが、1つだけ既読スキップが使い辛いのが困りました。既読スキップのコマンドアイコンもあれば良かったのですけど。バッドエンドもありますが、茜の例の選択肢を除いては、各ヒロインルートに入るのはそれほど難しくないでしょう。正規エンドは4種類で、全部読んで4時間弱くらいです。一部でヘビーな展開もしますし、物語の方向性としてはシリアスですが、ノリ自体は終始明るいですから、気軽にプレイしても楽しめると思いますよ。
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