第657回/見上げれば二人を照らす星 - 星見る人びと(白と黒のコントラスト) - 学園・青春
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第657回/見上げれば二人を照らす星 - 星見る人びと(白と黒のコントラスト)

学園・青春
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星見る人びと

星見る人びと■制作者/白と黒のコントラスト(プレイする
■ジャンル/天文同好会三角関係?ノベル
■プレイ時間/30分

人見知りで引っ込み思案な新大学生の主人公、笹川亜梨子。大学の新歓イベントで、天文同好会のちょっと格好いい先輩、慧に誘われて、成り行きで天文同好会「スターゲイザー」に入会することに。そこには、長身で熊っぽい先輩、通称「クマ」が。亜梨子と慧、クマの、不器用ながらまっすぐ生きる青年たちの青春物語。

ここが○

  • 元々小説だけあって、丁寧で整った文章。
  • 3人の適度な個性付けと距離感。
  • 要所で決める慧が魅力的。

ここが×

  • 慧の秘密が、若干反則気味(笑)。
  • 音楽が少々単調。
  • バックログが読みにくい。

■見上げれば二人を照らす星

今回ご紹介するのは、元々「小説家になろう」というweb小説サイトで公開されていた作品を、ノベルゲームとして構成した作品です。「小説家になろう」や「カクヨム」などのweb小説サイトは、最近飛ぶ鳥を落とす勢いですが、web小説サイト発のノベルゲームも出てくるとは。もちろん、元が小説のノベルゲームは過去にもありましたけど、これからこういう例は増えてくるかも知れませんね。

そしてタイトル。「星見る人々」。昔ファミコンで「星を見るひと」という、伝説のRPGがあったので、何か関係があるのかと思う方もいるかも知れませんが、何の関係もありませんので、ご安心ください(誰もそんな心配せんか(笑))。タイトル通り、大学の天文同好会が舞台の青春ノベルです。マジックファンが「スターゲイザー」と聞くと、輪ゴムが星型になる有名なトリックを思い浮かべるのですが、もちろんそれとも何の関係もありません(笑)。

星見る人びと主人公の笹川亜梨子(ありす)、大学の新入生。引っ込み思案で人見知り。と言っても単に口数が少ないのではなく、いまいち空気が読めず、思ったことをそのまま口に出してしまう癖があるという、ちょっと困った女性です。そんな亜梨子が、新歓イベントで、天文サークル「スターゲイザー」の先輩、伊藤慧(けい)に誘われ、サークル室へ連れられていくところから物語が」スタートします。

主な登場人物は、主人公の亜梨子とイケメン担当の慧、それに天文同好会の熊のような大男、大隈洋之(通称クマ)の3人。主人公の亜梨子とクマは、2人揃ってコミュニケーションがあまり上手くありません。亜梨子は上述の通りですし、クマは絵に描いたような口下手。この2人だけだと話が全く進展しなさそうなのですが(笑)、そこに慧が橋渡し的な役割を果たすことで、いいバランスの3人組となっています。

そこに大学生らしいイベントがテンポよく絡んできて、退屈せずに読める物語です(大学生なのに、北斗七星が何座か知らないのはどうなんだろうと少し思いましたが)。恋愛描写はそこまで前面に出て来ず、恋愛ものというよりは青春ものという方がしっくりきます。まあ、亜梨子とクマのキャラクターと、この尺からして、あまり性急に恋愛方面に話を振るよりは、今くらいの展開の方がリアリティがありますし、これは正解のように感じました。亜梨子の、クマが気になる気持ちの描写は、細やかでとても良かったと思います。

文章は一人称ですが、元々小説ですから、いかにもノベルゲームという感じの文章ではありません。描写もくどすぎない程度に細かく、随所で「なるほど小説の文体だ」と思わせてくれるでしょう。丁寧で文章力も上々です。小説らしい読み応えがあるのに、読み手にも優しい文体だと思います。こういう文体は、結構好みです。

ただ、ゲーム風の文章よりはいわゆる地の文が多いので、3行しかないテキストウィンドウは、少々狭苦しく感じました。この文章ならば、全画面ウィンドウの方が合っていたようにも思えます。じゃあバックログを使えばということになりますが、このバックログが、いまいち見やすくないのです。バックログの背景色や文字色、改行ピッチをもう少し調整してみれば見やすくなったかも知れません。

途中、慧の意外な秘密が明かされて、かなり驚かされました。比較的よく使われるネタではありますが、この立ち絵を使ってそのネタは、若干反則気味なのではないかと(笑)。とは言え、慧の扱い方は非常に巧妙で、ある意味この作品の鍵となるキャラクターと言ってもいいでしょう。嫌味もなく、行動力もあり、要所で物語を締める、とてもいい登場人物です。こういうキャラクターが1人いると、物語がグッと引き締まりますね。

ツールはティラノスクリプト(ティラノビルダー)です。選択肢のない一本道で、プレイ時間は30分くらい。音楽が、同じ曲の使い回しが多く、もう一工夫が欲しかったようにも思いましたが、全体の雰囲気はとてもよく、短編なのですがじっくり「読んで楽しめる」作品です。多分、小説として文章で読むと、また全然異なる味わいがあったと思うのですが、小説の良さが、うまくノベルゲームという媒体で生かされた作品に仕上がっていると思いますよ。
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