第658回/雪しまき人消え人の現はるる - 雪しまく血(ナカラボ) - ホラー
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第658回/雪しまき人消え人の現はるる - 雪しまく血(ナカラボ)

ホラー
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雪しまく血

雪しまく血準推薦
■制作者/ナカラボ(ダウンロード
■ジャンル/雪山遭難ホラーノベル
■プレイ時間/45分

大学院生の奏は、友人の孝典から登山のオフ会に誘われるが、前日になって孝典は風邪をひいてしまい、奏は孝典の身代わりとして出席することに。集まったのは奏以外に5人。和気藹々と登山を楽しむが、急に天気が崩れ、一行は山小屋に避難する。吹雪の中、なぜか携帯電話は圏外。そして起こる最初の事件。コンパクトな閉鎖空間ホラーノベル。

ここが○

  • シンプルながら王道の面白さ。
  • オフ会+登山という設定が物語に上手くマッチしている。
  • 雪が降る動画、足音などの演出。

ここが×

  • 操作性が少々よくない。
  • 背景の透過度が高すぎて文字が読み辛い。
  • 過去の遭難事件には、もう少し詳しい言及があっても良かったのでは。

■雪しまき人消え人の現はるる

滅多に取り上げないホラー作品をご紹介です(ホラーは苦手なのです)。しかも、閉鎖空間もの。定番の設定ですが、最近はあまり見ませんし、見たとしても結構捻った設定がある作品が多いです(「雨紡ぎの四葩」とか「紅く追憶の水葬」とか)。が、この作品は昔ながらの(?)ストレートな閉鎖空間もののホラーです。「雪しまく」というのは、吹雪いているという意味ですね。

とは言え、設定は意外と凝っています。通常この手の作品では、主人公とヒロインが道に迷うなどの出だしが多いですが、この作品は登山が趣味の主人公沢田奏が、友人の孝典から登山のオフ会に誘われるという導入です。その友人は前日に風邪でダウンし、主人公に自分の身代わりとして一人で行ってくれと頼みます。こうして主人公は、気が乗らないまま集合場所の業山(わざやま)へ。

雪しまく血オフ会ですから、主人公以外の登場人物は全員本名ではなく、ハンドルです(主人公は友人のハンドルを名乗っている)。登場人物は合計6名ですので、把握しにくいのではと危惧しましたが、このハンドルが上手くキャラクターのイメージを掴む助けになってくれました。これはいいアイディアだったと思います。

そしてすぐに天候が崩れて吹雪になり、6人は山小屋に避難します。そこで業山に伝わる怪談が話題に出ました。そこから、この手の物語の定番展開がスタートします。もちろん、携帯電話は圏外。ここからの展開が、お互いが素性をよく知らないという設定のせいもあり、緊迫感が否応無しに伝わってくる展開でした。ここでも、オフ会という設定がよく生きています。設定と物語が上手くマッチしている好例です。

後半では、1人また1人とメンバーが殺されていき、犯人(幽霊)は誰なのかという疑心暗鬼がメンバーに生まれます。ここらの心理的な葛藤も見所でした。登場人物の緊張感が読み手にも伝わってくる描写が上手いなと思わされました。解決編は、そこまで意外なオチが付くという訳ではないのですが、少し捻った結末で、ただの「恐い物語」でなかったところが好印象でした。

とは言え終わり方はホラーらしい、どことなく後味が悪い終わり方。これはこれで、冒頭で孝典が熱心に奏を誘った理由づけにもなっていますし、読後感が良いとは言えないものの、ホラーとしてはまとまりのあるラストだと思います。状況と設定と物語がお互い上手く支え合って、楽しめる作品になっていました。キャラクターの個性付けも上手く、影絵しかないのにどのキャラクターもしっかり描かれていましたね。作者さんの優れたバランス感覚を感じさせてくれます。

ただ、犯人が巻き込まれた過去の遭難事件については、もう少し詳しく語っても良かった気がします。犯人が、他のメンバーに明確に見捨てられたのならば、メンバー達が犯人の顔を覚えていないのは少し妙ですし、偶然の不可抗力なのであれば、皆殺しというのはやり過ぎにも思えます。後書きでもそこらの事情は明らかになりません。それに、後書きまで読むと、孝典が奏を熱心に誘った理由もぼやけてしまい、若干の蛇足感を感じました。

また、メニュー画面やリセットがキーボードでしかできなかったり(readmeに書いてあります)、フラグ立てのせいか、クリア直後のデータでないと後書きが読めなかったり、マルチエンドなのにセーブスロットが3箇所しかなかったり、背景画像の透過度が高すぎて、文字が非常に読み辛いなど、プレイヤーにいまいち優しいとは言えない作りが気になりました。文字自体はサイズも大きくていいのですが、ここらにも少し配慮があれば、よりプレイしやすい作品になったと思います。

ホラー作品だけあって、演出は結構凝っています。中でも、雪が降る動画をいいタイミングで挿入していたのは印象的でしたし、足音の効果音も効いていました。選択肢は多いのですが、一発死タイプですので攻略は難しくありません。ツールはティラノスクリプト(ビルダー?)。エンディングはバッドエンドが7種類にトゥルーエンドの合計8つで、プレイ時間は全部のエンディングを見て45分くらいです。こういう作品は、やはり夜にプレイして怖さを味わいながらプレイしたいですね。
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