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第661回/人差し指でお約束 - 清未ちゃん(Mole Waltz)

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清未ちゃん

清未ちゃん■制作者/Mole Waltz(ダウンロード
■ジャンル/サイコヤンデレ風ラブコメノベル
■プレイ時間/15分

新三郎は、平凡で気の良い、八百屋の息子。ある日彼のクラスに、飯島清未という女生徒が転入してきた。その少女、清未には何故か左手の小指がなかった。何故か清未に気に入られた新三郎は、成り行きで清未と一緒に登校することになるのだが。ヤンデレのようでヤンデレでもなく、サイコホラーに見えてサイコホラーでもない、奇妙な恋愛物語。

ここが○

  • 合う人ならば癖になりそうな奇妙な味。
  • 行動は病んでるが意外と可愛い清未。
  • 主人公の性格の良さが素敵。

ここが×

  • 合わない人ならば全然合わなそう。
  • 音楽が全くないのは少し寂しい。
  • NScrのバージョンが古く、マウスホイールで読み進められない。

■人差し指でお約束

少し古めの作品をご紹介です。タイトルは前から知っていましたが、未プレイでしたので、この機会に読んでみました。第一印象、かなりレトロな雰囲気があるのですが、ふりーむでの公開が2014年ですから、そこまで昔の作品という訳ではありません(Vectorではもっと前に公開されてましだけどね)。「ある国のある屋敷のお話」の作者さんの作品です。

第一印象がなかなか強烈です。白地に黒一色の一枚絵だけで物語が進行します。この一枚絵が、画用紙に書きなぐったような独特の絵柄で、お世辞にも丁寧な絵とは言えないのですが、作品の雰囲気には非常にあっており、独特の「禍々しさ」(と表現して分かりますかね?)が伝わってきます。最後まで読むと、「この作品にはこの絵しかない」と思えるほど。プレイした方なら、きっとお分かりいただけるのではないでしょうか。

清未ちゃん主人公は八百屋の息子で、人の良いごく普通の学生です(中学生か高校生かは明記されていません)。そんな彼のクラスにある日転入してきた、飯島清未。左手の小指がない彼女は、色々な意味でぶっ飛んでいます。どのようにぶっ飛んでいるかは、プレイして確認してみてください。この作品は、一応恋愛ものに分類されますが、恋愛もののヒロインでも、性格の壊れ具合は歴代屈指だと思います。

恋愛もので無ければ、ぶっ飛んだキャラクターは時々見ることがあります。例えば「罪咎オペレッタ」の登場キャラも、なかなか強烈です。しかしこの作品はホラーでもサイコサスペンスでもなく、恋愛ものなのです。そして、この強烈な清未というキャラクターを持ってきて、ちゃんと恋愛作品として成り立っているところが、この作品の面白いところ。

サイコサスペンスなのかというような味付けも少しされていますし、何せ清未の行動が非常に常識外れで驚いてしまうのですが、そういう味付けをしながらも、清未の言動のそこかしこから、少女らしい可愛らしさが見え隠れしているのです。だからこそ、一見変な物語に見えるのですが、実は結構ほのぼのとしたものを感じてしまうのです。このギャップこそが、この作品の魅力と言えましょう。

清未の行動は確かに変ですし、少し怖さを感じさせるところもあるのですが、怖さよりはむしろ「ずれたおかしさ」を感じさせるところが多いため、読んでいると微笑ましい気持ちにすらなってきます。読者のメンタルを消耗させるような方向に振っていないのが、この作品においては非常にプラスに働いているように思いました。

また、言動がどこか壊れている清未に対して、主人公の新三郎は非常に性格が良いのです。隠れて清未の噂話をするクラスメイトを、真っ向から批判するような男らしさもあります。この2人のコンビネーションと言いますか、キャラクターの組み合わせが非常に良いんですよね。清未一人だけだと、読者を突き放したような物語にもなりかねないところを、新三郎が主人公らしく、しっかり読者を物語に引きこんでくれます。これは見事な手腕だと思いました。プレイした人は、読み進めるうちに、主人公の新三郎と同様に、何故か不思議に清未に惹かれていくことでしょう(惹かれなくても当方は責任を負えませんが(笑))。

とは言え、作風は万人受けするものではありませんから、合わない人には全然合わないかも知れません。一般的な物語のような起承転結がつく訳ではないですし、また、SEが妙に生々しい反面、音楽は全くありません。絵がモノクロームで、音楽が全くないため、独特の雰囲気を醸し出しているとも言えますが、それにしても少し寂しく感じます。BGMは入れないまでも、要所要所でジングルでも入れてみれば、より効果的だったかも知れません。

ツールはNScripterです。NScrのバージョンが古く、マウスホイールで読み進められないのですが、短い作品ですからそれほど不便さは感じないでしょう。選択肢のない1本道で、プレイ時間は15分くらい。私は読み終える頃には、ちょっと(かなり?)変な清未に何とも言えない愛着を感じ、新三郎と清未のカップルを応援したい気持ちになりました。もちろん合う合わないがありますので、全然清未を好きになれない方もいるでしょうが、短い作品ですし、味わってみる価値はある作品だと思いますよ。
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