掌編ミニレビュー第16回 - おしかけプチリリィ/霧の王/桜桃ノ実 - 掌編ミニレビュー
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掌編ミニレビュー第16回 - おしかけプチリリィ/霧の王/桜桃ノ実

掌編ミニレビュー
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46. おしかけプチリリィ

おしかけプチリリィ■制作者/弐人(ダウンロード
■ジャンル/コメディ
■ツール/ティラノスクリプト


今回ご紹介は、3本ともどこかダークで、終わり方もすっきりしない作品ばかりなのですが、いつもいつも甘いハッピーエンドばかりでも飽きてしまうかも知れません。たまにはこういう味わいの作品を読むのも悪くないものです。しかも、どれも掌編ですから、鬱々とした気分を長時間味わう心配もありません。「メンヘラビット」の作者さんの作品。あの作品もシュールでブラックでしたが、この作品も負けず劣らず。鬱病を患う主人公ノゾミと、その幼馴染プチリの、ちょっとしたやり取りを描いたショートストーリーです。

が、このプチリがなかなか病んでいます。百合ヤンデレと言いますか。ノリ自体はコメディなのですが、非常にブラックです。読む人を選ぶでしょう。トゥルーエンドを含めて3種類のエンドがあるのですが、どのエンドも全然ハッピーではありません。トゥルーエンドだけはそこそこですが、プチリがご退場ですし(笑)。まあ、自業自得というか、来るべくして来たオチという感じですので、あまり心は痛まないのですが(笑)。

画面写真から、凝った演出は十分伝わると思いますが、全編通じてこんな感じ。動きのあるレイアウトで、非常に楽しませてくれます。声優さんも迫真の演技。ほのぼのとした話では全然ないのですが、コメディチックに笑える箇所もありますし、ノゾミとプチリのずれているやり取りだけでも楽しめると思います。

47. 霧の王

霧の王■制作者/Unreality(ダウンロード
■ジャンル/ミステリー・サスペンス
■ツール/ティラノスクリプト


黒白の夜」「永遠の紡ぎ」でお馴染みの作者さんの、かなり初期の掌編。冒頭いきなり、主人公の霧乃が幼馴染の遥と、お嬢様の桜花に同時に告白されるも、優柔不断な霧乃はどちらもなかなか選べないという、男の夢のような出だしから始まります。前半のノリは、ラブコメ全開で、どちらかのヒロインを選択しないといけないので、甘酸っぱいオチがつくのかと思ったら、どちらの選択肢を選んでも、読者に巴投げをお見舞いしてくれるようなラストが待っています(汗)。

この手の作品は、オチの理由付けが前半どこかに描写されていれば、物語としての説得力がより上がると思うのですが、何せ掌編ですし、この手のシナリオであまり長くなっても、「長々と読ませておいて、そういうオチかい!」と、読者を反発させる恐れもありますから、ある意味「びっくり箱」的な、こういう展開の方が、掌編としては正解なのかも知れません。

とは言え、どちらの選択肢を選んでも後味は究極に悪いですが、中編や長編でこの手の物語を読むのはかなり覚悟がいりますし、よほど鬱・ダークものが好きでないと辛いものがあります。その点この作品は5分で読めますし、前半のヒロイン2人のやり取りは、この作者さんらしく賑やかで楽しめます。軽く読めた上、ラストで凄い衝撃を2回も味わえますから、一つ予備知識なしで読んでみてください。

48 桜桃ノ実

桜桃ノ実準推薦
■制作者/セイナルボンジン(ダウンロード
■ジャンル/ホラー
■ツール/NScripter


銀河特捜ライジン」でお馴染みの作者さんの掌編。以前ご紹介した「闇の森の少女」でも、この作者さんならではの演出が光る掌編の傑作でしたが、この作品も非常によく出来ています。掌編が非常に上手いと言える作者さんはかなり珍しく、それくらい掌編で心を動かす作品というのは難しいものですが、この作者さんは数少ない「掌編名人」だと思います(長い作品ももちろんよく出来ているのですが)。

舞台設定は、大正なのか昭和初期なのか、浪漫のムード漂う古き佳き時代の日本。文士崩れながら、いいところのお嬢さんと結婚し、跡取りに収まった男が主人公です。この作者さんらしく、大量の一枚絵で展開するのですが(最初のセリフが出るまで、一文字も文章が表示されないまま数枚の絵だけで進むのが圧巻)、台詞も大正浪漫の香り漂う格調高いもの。時代設定次第ですが、台詞の言葉の選び方って大事だなと感じさせられました(この手の作品で「マジ?」とか「めっちゃ」なんて言葉を使ってたら、興ざめも甚だしいですからね)。

ラストは悲惨な終わり方ではあるのですが、掌編ドラマとしては大変によく出来ています。掌編なだけに、語りきれていない部分もありますが、文章に頼らず、ほとんど絵だけでこれだけの物語を作れるのが凄いです。後味のいい物語ではないですが、味わってみる価値がある作品です。
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