第667回/今日頑張れば、明日が来る - 俺の生死を決めるゲームがパリピ感パない件(グロッケンシュピール) - 探索・謎解き
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第667回/今日頑張れば、明日が来る - 俺の生死を決めるゲームがパリピ感パない件(グロッケンシュピール)

探索・謎解き
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俺の生死を決めるゲームがパリピ感パない件

俺の生死を決めるゲームがパリピ感パない件■制作者/グロッケンシュピール(ダウンロード
■ジャンル/命賭けパーティーゲームADV
■プレイ時間/20分

パチンコで多大な借金を作ってしまった根暗満太郎は、ある日闇の組織に拉致されてしまい、バスで山奥の組織へ連れてこられた。同じように借金を作ってしまった者たちと共にそこで降ろされた満太郎は、黒服にとある部屋へ連れて来られた。指定のゲームをクリアできれば、借金を帳消しにしてくれると言うのだが。コミカルな緊迫感が特徴のサスペンス?

ここが○

  • 演出やBGMが高めてくれる緊迫感。
  • 適度な難易度。
  • 短編なのにキャラクターがしっかり立っている。

ここが×

  • 少し操作性が良くないところが。
  • 思わず脱力してしまうオチ。
  • 人によって合う合わないがあると思われるノリ。

■今日頑張れば、明日が来る

何とも強烈な個性を放っている作品の登場です。「パリピ」という言葉の意味がわからなかったので、検索で調べてみたところ、「パーティピープル」の略語らしいですね。パーティで楽しく騒ぐ人たちの意味が転じて、色々な機会に集まって楽しく過ごす若者たち、と言うようなニュアンスのようです。2015年にギャル流行語大賞の第一位に選ばれた言葉のようですので、私みたいな者が使う言葉ではないとは思うのですが(笑)。

さて、この作品の主人公、根暗満太郎はパチンコで多額の借金を作り、いきなり冒頭で闇の組織に拉致されてしまいます。そして黒服が仕切るバスで山奥の建物に連れて行かれ、そこで同じく借金を抱える者たちと一緒に降ろされました。そこで、黒服が指定するゲームをし、クリアできたら借金は帳消しにしてもらえるのですが、クリアできないと強制労働という条件。人気漫画「カイジ」を思い起こさせる出だしで、主人公の駄目っぷりも、どことなくカイジを彷彿させます。

俺の生死を決めるゲームがパリピ感パない件が、別室に連れて行かれて始まったゲームは、何故かポッキーゲーム。ポッキーを両側から口にくわえるという、合コンなどでおなじみのアレです。確かにパリピっぽい(笑)。状況としてはシビアで命賭けなはずなのですが、男同士でポッキーゲームをしているこの時の姿が、色んな意味で何ともミスマッチで、笑いを誘います。

ここからは選択肢を選んで進んでいくのですが、4種類の選択肢を選んだあと、更に考察して新しい選択肢を選び、正解を探していくという形式です。間違っても、メッセージで何となく間違ったことが分かるため、そこまで難しくはありません。が、初回で正解にたどり着くのは難しいでしょう(理詰めで考えて解けるような選択肢ではないため)。セーブを駆使して、正解を見つけ出しましょう。

そして、4つの疑問に対して全て正解を導き出せれば、無事クリアとなります。プレイヤーが正解を導き出せても、いまいち答えには繋がらないため、「??」となりながら読み進めると、満太郎がいきなりな行動に出て、唐突に終わってしまいます。謎解きものとは言い難いかも知れませんが、総当たりで正解を探し出す作業になってしまっている間は否めません。もう少し謎解きの面白さが味わえる作りであれば、なお良かったかも知れません。

プレイ中は、緊迫感のあるBGMが終始流れ続けます。このBGMが非常に合っています。また、選択肢を選ぶ時は、別に時間制限がある訳ではないのですが、選択肢の動きなどの演出やBGMの相乗効果で、あたかも時間制限があるかのような錯覚をプレイヤーに感じさせ、一層緊張感を高めてくれていました。この作りは非常に見事です。センスと技術が上手く融合すればこそ、このような見せ方ができるのでしょう。作者さんのセンスには脱帽です。

物語は、冒頭とラストを除いては一切舞台が動くことなく、満太郎の独白だけで進みます(ポッキーをくわえているので、言葉を発することは当然できないのですが)。よくよく見てみれば、物語としては全然大したことが起こっている訳ではないのですが、独白だけで何となく読者に「凄い出来事」のように感じさせている、演出と一体となった筆致は、この作品ならではのものでした。人によって合う合わないはあるでしょうし、合わない人だと「何じゃこれ?」となる恐れもありますが、味わってみる価値はあると思います。

また、満太郎の独白だけで進むのに、キャラクターが妙に立っているのも感心しました。台詞がほとんどない、相手方の頭の悪そうな男まで、何となくどんな奴か伝わってくるのが面白いです。オチが一発ギャグで終わってしまっており、ちょっとすっきりしないのは好みが分かれるでしょうが、短編にも関わらず非常に手をかけて作られた作品で、このノリについていける人ならば、楽しめるはずです。

ただ少しだけ操作性が気になりました。右クリックメニューから、左クリックで戻れないんですよね。結構要所でセーブしたくなる作品ですから、左クリックで戻れればより親切でしたね。また、セーブは5ヶ所しかできません。もう少しセーブできる箇所があれば、とも思いましたが、あまりセーブ箇所が多くても緊張感を失う結果となりますし、このくらいがゲーム性との兼ね合いでちょうどいいのかも知れません。

ツールはティラノスクリプトです。プレイ時間は20分くらい。非常に技術的に高度なことをしているのですが、それが単なる技術のひけらかしではなく、しっかりゲームの演出と融合して効果を高めている点が、この作品の美点です。上にも書いた通り、物語としては合う合わないはあるかも知れませんが、この演出センスは味わっていただきたいと思います。
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