第73回/眠りたもう 夢やすく - 雪降る街(fandi) - 病院・闘病
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第73回/眠りたもう 夢やすく - 雪降る街(fandi)

病院・闘病
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雪降る街

雪降る街■制作者/fandi(ダウンロード
■容量/107MB

都会の病院をやめ、雪が降りしきる田舎町へやって来た青年医師の守井智也。その町で、行き倒れていた少女と出会う。町の小さな医院の入院患者だった少女は脳に障害を持っていた。医師のいなかったその医院に、智也は行きがかり上医師として住み込む事に……。医師と少女の心の交流を描いた心温まる物語。

ここが○

  • 余韻を残してくれるラスト。物語の構成は上々。
  • 立ち絵はオリジナル。
  • 心温まる人間ドラマは、全体の雰囲気もとても良い。

ここが×

  • タイトル画面など一切なく、長いオープニングも飛ばせないなど、システム面に難がありすぎ。
  • ウェイトが多すぎで非常にストレスが溜まる。
  • かなり適当な医学的考証。

■眠りたもう 夢やすく

今回ご紹介の作品のシステムは、あの「恋愛シミュレーションツクール2」です。てことで、システム面につきましては(略)。この作品、「素晴らしい!」と絶賛できるタイプではないですし、プレイ中にとにかくストレスが溜まった(システム面などにおいて)のですが、個人的に何だか心に残るものがあったのでご紹介します。

主人公が医師の物語と言えば、過去に唯一「奇跡の外科医に」をご紹介しましたので、それ以来と言う事になります。病院もの、医療ものは、ドラマを作るには持ってこいの素材ではありますが、傑出した作品が少ないのは「医学的な描写が適当だったら、著しく白ける」と言う点にあります。不治の病が奇跡で治ったとか(笑)。その点でこの作品を評価すると、残念ながらかなり医学的なリアリティは低いと言わざるを得ません。私は読みながら「脳が萎縮? アルツハイマー病か?」と思ってたら、「そんな理由で脳障害になるんかい!」とツッコミを入れてしまいましたから(苦笑)。

が、この作品は別の点で、なかなか読み応えのある物語になっています。全体の雰囲気がとてもいいのです。雪の降りしきる中、暖かい部屋にいると言うのは、独特の雰囲気がありますよね。この作品には、そう言う雰囲気があります。正しく「雪の降りしきる冬、暖かい部屋にいるような」雰囲気です。文体がどうとかキャラがどうとかではないので、これはこの作者さんの作風というしかないでしょうね。ただ、演出はちょっと巧みとは言い難いような。小説ではなく、漫画的、ビジュアル的なものを、そのまま文章にした感じで、ちょっとくどく感じる点もありました。

キャラはななかなか良いと思います。ただ、メインの女性キャラが2人とも何と言うか「天然系」なので、序盤はちょっと辛かったですね。キャラの無意味なかけあいで物語の流れが澱みますし、ワンパターンのボケとかを繰り返してちょっとイライラしましたし。まあ途中で慣れましたけど。そして主人公の智也。良い意味でも悪い意味でも、全然医者らしくない医者です)。CTの写真見て脳が80代のレベルに萎縮してる事など、新人看護婦でも分かりそうなもんですけど(苦笑)。

キャラと言えば、気になったのがヒロイン祐奈の両親。これはちょっとあまりに酷すぎやしませんでしょうか。だってやってる事は「保険金殺人」ですよ? で、「娘は自分を恨んでるだろうから会えない」って、何だそれ(笑)。ここは結構物語の根幹に関わるところですし、もうちょっと何とかならなかったものでしょうか。さすがにあれでは、ヒロインが健気に両親を想う描写まで説得力に欠けてしまいます。少し設定を変えれば、もうちょっと両親にも同情できる物語にできた気もするんですが。現状、あの両親には情状酌量の余地ゼロです(笑)。結局最後の最後まで娘に会ってないし。

立ち絵は全てオリジナル。結構頑張ってます。ツクール製なのは起動してすぐ分かったので、立ち絵も素材かと思ったんですが、こう言う努力は好感が持てます。音楽も雰囲気に合っていていい感じ。ただ、システム面はツクール製である事を割り引いても、かなり難があります。タイトル画面なしで長いオープニングは飛ばせず、更に大量のウェイトでストレス溜まりまくり。どんなに演出のつもりでも、基本的にウェイトはプレイヤーのストレスにしかなりませんから、ウェイトはここぞと言う場面のみにした方がいいと思います。

難点ばかり挙げましたが、終わり方は綺麗で(幸せな結末とは言い難いですが)余韻も残り、新たな道を踏み出す主人公は素直に応援したくなりました。「粗も目立つが、光るものを持った」こう言う作品、私は結構好きです。プレイ時間は2時間半くらい。途中、バッドエンド直行選択肢があるので、セーブはお忘れなく。
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