第674回/約束交わして雷門 - Like Route:浅草(Like Route制作室) - 日常
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第674回/約束交わして雷門 - Like Route:浅草(Like Route制作室)

日常
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Like Route:浅草

Like Route:浅草■制作者/Like Route制作室(ダウンロード
■ジャンル/女の子と浅草散策ノベル
■プレイ時間/30分

東木由之は、社長に依頼されて、新しい仕事を一緒にすることになるかも知れない女性と、浅草雷門の前で待ち合わせをしていた。現れたのは金髪の少女中牟田恵実。恵実は、仕事のことは考えさせて欲しいと言う。2人は、残弾しつつ浅草を散策して浅草寺を目指す。果たして恵実は仕事を引き受けてくれるのか? 浅草の風景写真が美しい、ご当地ノベル。

ここが○

  • 大量の写真がとても美しい。
  • 動きのある演出やUIが凝っており、散策気分を高めている。
  • 豆知識なども多く、ちょっと浅草に詳しくなれる。

ここが×

  • とにかく不安定。頻繁に固まる。
  • マウスホイールで読み返しができない。
  • 物語として見ると少々味気ない。

■約束交わして雷門

「ご当地ノベル」を久々にご紹介です。特定の街を舞台にした作品は時々登場します。この作品は正に「浅草を散策する」ことがほとんど唯一の目的という点で、大変珍しい作品であると言えましょう。「バレンタインイヴ」が、東京を舞台に観光目的であちこち巡ると言う点に於いて、この作品と近い雰囲気があるのですが、あちらは東京全部だったのに対し、こちらは浅草という非常に狭い範囲限定です。

そして結果的に、これが功を奏したように思います。浅草という特定の街に絞り込むことで、ご当地ノベルとしてもより深く掘り下げて語ることに成功しています。そして何より、システムやユーザーインターフェイスの相乗効果で、実際に「浅草を散策している」ような雰囲気を見事に表現できています。こういう作品を見ると、作品のテーマによっては、システムやUIも作品を彩る立派な一要素だなと思わされます(私はあまり凝ったシステムやUIにはこだわらない方なのですが)。

Like Route:浅草主人公は会社員の東木由之。社長から、仕事を頼みたい女性がいるということで、その女性と浅草雷門の前で待ち合わせをすることになりました。現れたのは、金髪の少女中牟田恵実。そして由之が恵実に頼みたい仕事というのは、モデルなのでした。躊躇する恵実ですが、とりあえず浅草を散策して交流を深めようということに。

この作品のシステムは独特です。画面の一部をクリックして次のシーンに進んだり、あるいは特定の場面では画面のあるシンボルをクリックすることで、浅草の名所の説明が始まったりもします。このシステムは、大変手もかかったでしょうが、上に書いた通り、散策ムードを醸し出すのに一役買っています。いや、一役どころの騒ぎではありません。このシステムとUIあってこそ、この作品には独自の魅力があると言っても過言ではないでしょう。

そして、次から次へと出てくる写真が、大変美しい。背景写真には大変力が入っています。これは撮影も大変だったのではないでしょうか。そして、ヒロインである恵実が現れる時は、背景写真にぼかしが入るなどの演出も凝っています。ただ、背景写真は似たような風景が続くので(自然豊かな場所ではないので、当然と言えば当然ですが)、ちょっと道中の印象が薄くなるんですよね。途中で店に入るシーンでも入れば変化が付けられたかも知れませんし、より浅草気分を堪能できたかも、と少し思いました。

物語としては、別に大したことは起こりません。由之と恵実が2人で浅草寺にお参りに行って、更に帰りに喫茶店に寄るという、ただそれだけです(場合によっては浅草神社に立ち寄ることも)。しかし、由之と恵実の、歩きながらの何気ない会話が楽しく、物語的には起承転結がある訳ではないのに、十分楽しい時間を過ごせました。当たり前の風景でも、これだけ手をかければ一級のエンターテインメントになるといういい見本です。

ただ困った点が1つ。この作品、とにかく不安定です。プレイ時間が短いのに、私がプレイした時は合計5回途中でフリーズしました。重かったり起動が遅かったり既読スキップが怪しかったりするのはまだしも、これだけ途中で止まられると参ってしまいます。マウスホイール上回転で読み返しができないのも、少々煩わしさをを感じました。まあ、文章が多い作品ではないですから、そこまで不便ではないですが。

途中でささやかな分岐点がありますが、観光する場所が少し増えるだけで、エンディングが変わったりはしません。また、特定の箇所を調べるかどうかでも、ちょっとした分岐があるようです。あえて浅草という狭い地域に絞り、システムとUIを練り込んだことで、絶妙な「散策加減」が味わえる作りは、他の作品には見られないものです。これぞ、ノベルゲームならではの作品と言えましょう。

ツールはティラノスクリプトです。上で書いた通り、ちょっとしたルート分岐があります。プレイ時間は30分程度。システム面で不安定なところはありますが、そこは目をつぶってでも味わう価値のある作品だと思います。読了すると「to be continued」と表示されますので、もしかしたら続編の企画があるのかも知れません。また浅草なのか、今度は別の街が舞台になるのか、楽しみに待ちましょう。
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