第695回/願い叶えて銀色の夢 - 銀色ペンダント(にの屋) - 学園・青春
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第695回/願い叶えて銀色の夢 - 銀色ペンダント(にの屋)

学園・青春
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銀色ペンダント

銀色ペンダント■制作者/にの屋(ダウンロード
■ジャンル/繩の如く糾える禍福ノベル
■プレイ時間/20分

男子高校生の葉山は、仲の良い女生徒の池沢みるくと、友達以上恋人未満の微妙な関係ながら、毎日楽しくやっていた。ある日みるくと一緒に出かけた先で、奇妙な雑貨屋を見つける。そこに売っていた銀色のペンダントは、何でも願いを叶えてくれるらしい。それを手に入れた葉山には立て続けに幸運が訪れるが。2人の関係が微笑ましい短編学園物語。

ここが○

  • すっきりしていて読みやすい文章。
  • 葉山とみるくの微笑ましい関係。
  • 短いがきちんと動きのあるストーリー。

ここが×

  • 謎の雑貨屋が最後まで謎。
  • こ、このBGMは(笑)。
  • 後半の展開が妙に唐突。

■願い叶えて銀色の夢

また少し古い作品に逆戻り。久々に絵のない、文章だけの作品です。絵のない作品は、見た目は地味ですが、想像力を刺激してくれる面白さもあります。また、より小説寄りではあるものの、やはり音と絵の演出があって、小説では出せない味わいがあるため、定期的に読みたくなります。この作品は6年前の作品です。

主人公は高校生の葉山。特に目立った特徴のない、どこにでもいそうな男子高校生です。そして葉山と仲の良いクラスメイトの女生徒、池沢みるく。この2人がメインの登場人物です。この2人の、友達以上恋人未満な感じの描写がいいですね。この手の描写は、やり過ぎるとくどくなるものですが、この作品は全体に描写に節度が効いていて、そこにとても好感が持てました。抑えた描写の端々から、葉山とみるくがお互いの思いがさりげなく伝わってきます。

銀色ペンダントそして、2人が出かけた先でたまたま入った怪しげな雑貨屋で見つけた、銀色のペンダント。これがあると何でも願いが叶うと言われ、勢いに任せて葉山は購入してしまいます。ただし、願いが叶った分、悪いことも起こると言われますが、2人は流石に信じません。序盤のつかみはなかなかで、2人のキャラクターと、若干突飛な設定のアイテムで、上手く読み手の興味を引きつけます。

そこから、葉山に立て続けに幸運が舞い込みます。ただ、最初の2つのイベントはまだしも、学園のアイドル的な先輩が突然告白してくるというのは、幾ら何でも脈絡がなさ過ぎるように感じました。せめて前半に、そういう先輩の存在を示しておき、主人公が少しその先輩に憧れている、更にそこでみるくが軽い嫉妬を見せる、くらいの下ごしらえはあっても良かったような気がしました。

そして後半。願いが叶ったら悪いことも起こると言われていたので、どんな事件が起こるかと思っていたら、まさにいきなりの急展開。ですが、その急展開が結構簡単に解決してしまうので、少し拍子抜けでした。ここはせっかくの見せ場ですし、もう少し引っ張っても良かった気がします。

ラストも、かなりストレートであっさりした終わり方です。謎の雑貨屋も謎のまま終わってしまいますし、銀色のペンダントの謎が解けたりもしません。短い作品ですから、過剰に捻り過ぎずに終わらせるというのも一つの方法ですし、作品全体の雰囲気にはあったラストとも言えますから、これはこれでいいかも知れません。

とは言え、上で「下ごしらえ」という言葉を使いましたが、全体に下ごしらえが足りないように思いました。葉山とみるくの関係は会話でも伝わってくるのですが、もう少しみるくの隠された想いを描写してみたり、先輩の告白を受けてみるくがやきもきする描写を前面に出してみたり、色々やりようがあったと思います。あるいは、銀色のペンダントの謎をメインに据えてみるのも一つの方法でしょう。どちらにせよ、もう一捻りの下ごしらえがあれば、より読み応えのある物語になった気がします。葉山とみるくの関係か、銀色のペンダントか、少しどっちつかずの印象なのです。

ですが、素直ですっと味わえる、読み心地のいい物語です。変に皮肉っぽかったり、妙に読者を突き放していたり、やたら捻りまくっていたりする作品も多い中、これはこの作品の大きな長所です。なお、音楽はフリーノベルゲーム界ではあまりにも有名なあの作品と同じ素材で、特に雑貨屋に入った時の曲には、向こうにトモの顔が見えた気がしました(笑)。

ツールはNScripterです。最近、新しい作品でNScrや吉里吉里の作品に出会えることが減りましたので、少し古い作品でこれらのツールに出会えると、ほっとします(笑)。プレイ時間は20分程度。選択肢はありません(この作品に関しては、選択肢で簡単なマルチエンドにしてみても面白かったかも、と思いました)。地味ですが変な癖がなく、読みやすいストーリーの短編学園物語。文字だけの作品にありがちな難しさはありませんので、絵が付いている作品しかプレイしたことない方は、この辺りから文章だけの作品に入門してみてはいかがでしょうか。
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