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第696回/失う記憶と残る思い出 - 俺が記憶喪失の間…一体何が?!(NEKOYANAC)

不思議系
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俺が記憶喪失の間…一体何が?!

俺が記憶喪失の間…一体何が?!■制作者/NEKOYANAC(ダウンロード
■ジャンル/超豪華病院で記憶を取り戻すノベル
■プレイ時間/1時間半

主人公が目を覚ますと、そこは見知らぬ病室のベッドの上だった。過去の記憶がまるでない主人公は、そばにいた看護師から事情を聞く。やがて主人公の周りに集まってくる。ちょっと変わった女性たち。主人公の妻だという包帯だらけの女性、犬のような少女、ハリボテの宇宙船を修理する女の子、それに自称幼馴染。この世界には果たしてどんな秘密が?

ここが○

  • 個性的なキャラクターとの楽しい会話。
  • 豊富な1枚絵、美しいグラフィックス。
  • 序盤から謎めいていて強力に引っ張る展開。

ここが×

  • キャラが個性的過ぎて付いていけない恐れあり。
  • 色々とテンポが良くない。
  • 何ら解決していない(続編ありきの?)ラスト。

■失う記憶と残る思い出

この作品は2012年の公開。今から7年前です。この作品はコミックマーケット81で頒布されたようです。実はこの作品、公開当初に既にプレイしていました。が、最後まで読んでみれば分かるのですが、あまりにも謎が何ら解決しておらず、このままでは物語として評価することが困難だと思い、レビューを見合わせました。

それから7年。ふりーむの作品解説ページを見ると、コミックマーケット82で続編を頒布する計画があったようなのですが、調べても続編の存在は不明です。作者さんのサイトも閉鎖されたようですし、質問箱でのお薦めもいただいたことですし、このままこの作品を埋もれさせるのも忍びないということで、この度レビューすることにしました。ただし、上に書いたように、最後まで読んでも謎はほとんど解決しておらず、物語としては非常に中途半端ですので、その点はご了承ください。

俺が記憶喪失の間…一体何が?!主人公はある日、見知らぬ病室のベッドの上で目を覚まします。そばにいた看護師の六波羅から、大まかな事情をきき、自分の名前が神代(くましろ)であることを知りますが、それ以外の記憶が何もありません。仕方ないので病院内を散策したところ、次々と変な女の子たちと遭遇します。主人公を「カミシロ」と呼ぶ、自称主人公の妻。主人公を「ジンダイ」と呼ぶ、自称宇宙人。犬娘。それに、主人公を「マシロちゃん」と呼ぶ、自称主人公の幼馴染。

それぞれの女性キャラは非常に個性的で、豪華な1枚絵も用意されており、会話も多少ぶっ飛んだ感はあるもののなかなか楽しめます(個人的には春が好み)。それに、記憶喪失の主人公に対し、名前の呼び方や主人公との関係も異なるキャラクターが立て続けに現れることで、序盤から謎を提示し、読者を強力に引っ張ってくれるのは、とても上手い作りだと思いました。

ただ、キャラクターが個性的過ぎて、付いていけない人があるかも知れません。自称主人公の妻、小籠春や、自称幼馴染の斎藤みもりはまだしも、自称宇宙人のテレジアや、犬娘のぐぅ〜子は、「何じゃこのキャラは?」となるかも知れません(笑)。今作が、きちんと謎が解決して、彼女たちのそういうキャラクターにもちゃんと理由が描かれていればまだ印象が変わったんでしょうが、この作品は、結局謎が解決しませんからねえ……。

それはともかく、ラスト近くまでは、ヒロインたちとの何でもない日常シーンが続きます。そしてラスト近くで突如急展開。あまりにも衝撃的な事実がいきなり告げられ、急転直下悲劇的な結末を迎えて、物語の幕を閉じてしまいます。その後現れる英文を読んでも、間違いなく続編を前提に物語を作っていたと思われますが、流石にこの終わり方では、夜も眠れなくなる人が続出するかも知れません(汗)。

この作品、主人公の記憶の謎や、ヒロイン達の秘密、それに舞台となる島「ヒトトセ」の謎など、全部の謎がきちんと解明すれば、かなり面白くなりそうな要素が山盛りなのですが、それらの謎が全く放置されたまま終わってしまいます。なので消化不良感が甚だしく、私は再び読んだ今回も、読了後頭を抱えてしまいました。続編ありきの作りとは言え、せめてもう少し単体の作品として収まりがいい終わり方にはできなかったものでしょうか。

しかし、日常描写をメインにしつつ、少しずつ謎を散りばめて読者を上手に物語に引き込む手法や、生き生きとしたキャラクター描写など、光る点もたくさんあります。グラフィックスも高品質。それだけに未完成であるのが惜しまれますが……。どなたか、この設定で続きを書いてはくれないでしょうか(笑)。

ところで、この作品は妙にテンポが悪い箇所が多いです。全体には決してプレイしにくい作品ではありませんが、三点リーダー(…)の度にちょこちょことウェイトがかかったり、テレジアが宇宙船を修理するシーンで、しつこいくらいに金槌の効果音が入ったり、場面転換で10秒近くも待たされたり、その辺りはあまりプレイヤーに優しいとは言い辛いところがあります。演出とは言え、ウェイトは基本的に読み手にはストレスにしかならないことが多いので、やはりここぞという時だけに絞るのがいいように思います。

ツールは吉里吉里です。プレイ時間は1時間半くらいでしょう。選択肢はありません。完結していない物語ですが、逆に色々と考察するのが好きな方であれば、この作品の謎の真相を色々考えてみても面白いかも知れません。面白い真相を考え付いたら、是非解決編のシナリオを書いて、読ませてください(笑)。
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