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第709回/そして世界は色を失う - 色のない世界(平岡)

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色のない世界

色のない世界■制作者/平岡(ダウンロード
■ジャンル/白黒世界の出会いと思い出ノベル
■プレイ時間/1時間15分

大学生の主人公は、色が分からず世界が白黒にしか見えない。そんな彼が、ある日駅で見知らぬ少女と出会った。少女は彼を星が綺麗な丘に案内する。そして行く当てがない少女は、主人公の家に泊めて欲しいと申し出てきた。成り行きで少女を部屋に住まわせることになり、2人の生活が始まった。少女の正体は? そして時々見る悪夢との関係は何なのか?

ここが○

  • モノクロ画面の独特な雰囲気。
  • 絵が大変繊細で綺麗。
  • モノクロを生かしたストーリーと演出。

ここが×

  • 物凄く字が読みにくい。
  • 会話文で妙に流れが澱む。
  • 伏線が十分でなく少し引きが弱い印象。

■そして世界は色を失う

現在、「ティラノゲームフェス」が開催されているようで、大量の作品がどんどん公開されています。あまりにも大量すぎてとても追いかけ切れませんので、時々目についた作品をプレイするつもりです(お薦めがあったら、是非教えてください)。この作品は、Twitterでたまたま情報が流れてきたので、興味を持ってプレイしてみました。

開始して、全編白黒で統一された画面にまず驚かされます。実際に主人公は、色が全く分からず世界が白黒に見えるという設定です。そう言えば、やはりほぼ全編モノクロ画面の作品として、タイトルもそのものずばり「MONOCHROME」という作品がありました。あちらも冒頭は汽車での出会い。こちらは駅という共通点があり、少し近い雰囲気を感じさせます。が、あちらはあくまで思い出の中の出来事という演出のための白黒画面だったのに対し、こちらは主人公の目に本当に世界がモノクロームに見えるという点で違いがあります。

色のない世界開始して真っ先に気付くのですが、この作品とにかく物凄く字が読みにくいです。それもそのはず。白黒の背景に、透過度が高めの白黒の幾何学模様のテキストウィンドウ、そこに細めの丸ゴシックの白い文字。読み易くなる要素が何ひとつありません(汗)。背景が暗めの時はまだいくらかいいのですが、明るい背景だと読むのが辛くなるレベルです。この作品において、白黒表示というのは大事な演出の1つであることは分かりますが、もう少し何とかならなかったものでしょうか。

例えばフォントを太めのゴシックにするとか、ウィンドウのデザインをシンプルにして透過度を下げるとか、文字サイズをもっと大きくするとか、色々やりようがあったような気がします。ついでに、色使いの関係で、画面下部の各種メニューボタンも、大変見辛いです(最初気がつかなかった)。どうも最近(最近というか、ティラノの作品に非常に多いのですが)、ウィンドウ自体は大きくなるのに、文字の相対サイズは小さくなる一方で、昔より読み辛い作品が激増した印象。単に私が年齢を重ねて老化しただけかも知れませんが(笑)。

さて、物語は典型的なボーイミーツガール同居型(ルームメイト型)です。特に理由も語られず、家出して行くところがないという理由で、少女は主人公の家に泊めて欲しいと申し出ます。そこからしばらくは、何でもない日常描写が続きます。この日常描写、ちょっと会話文がくどく(映画のシーンや電話のシーンなど)、流れが停滞するのが気になりました。

もちろん、やり取り自体は軽妙で、楽しいと言えば楽しいのですが、何せこの物語がどこに進むのかがラスト近くまで明らかにされませんので、そう感じてしまいました。主人公の見る夢などの、先への引きとなる要素もありますが、明確に謎が語られる訳でもありませんので、何か強い引きとなる要素を一つ出しておけば、読んだ時の印象が変わったような気もします。

しかし、モノクロの画面による独特の雰囲気は、他の作品ではなかなか味わえないものです。特に、少女の立ち絵を使った演出は秀逸でした。中盤辺りから「あれ、なんか色ついてない?」と思ったのですが、きちんとそれを生かしたオチがつきます。演出としてのオリジナリティもありますし、ストーリーに演出が上手くマッチしており、とても効果的でした。

そして後半。少女の正体は最後の最後で明らかになります。ここに前半からもう少し伏線が欲しかったような気がしました。主人公と少女の関係については、ラスト前の少女の説明でさらっと流されるだけで、前半は主人公の見る悪夢以外にそこに言及することがないんですよね(その悪夢も、何かを示唆するには少し抽象的)。先読みはし易くなるかも知れませんが、もう少し主人公と少女の過去の思い出を描写するなど、丁寧に伏線を張っておいた方が、結果的に終盤がより効果的になったような気がしました。

ほぼ全編モノクロですが、立ち絵や一枚絵は綺麗で繊細。これをカラーで見られないのが残念なくらいです。ピアノの音色で統一されたBGMも、とてもムードがあり素敵です。ツールはティラノスクリプト。プレイ時間は1時間から1時間半くらいで、選択肢はありません。読了後にはタイトルから後日談が見られます。この後日談は「いいのかそんな落ちで!?」と感じてしまわなくもなく、好みが分かれるかも知れません。しかし、白黒の画面をストーリーに生かした、意欲的な作りの物語です。一捻りがあるルームメイト型の恋愛ものが読んでみたい方ならば、楽しめるのではないでしょうか。
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