第712回/少しだけ未来に歩こう - そしてまた歩き出す(DEKO-GANG) - シリアス・感動系
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第712回/少しだけ未来に歩こう - そしてまた歩き出す(DEKO-GANG)

シリアス・感動系
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そしてまた歩き出す

そしてまた歩き出す■制作者/DEKO-GANG(ダウンロード
■ジャンル/自殺志願の男の学校潜入ノベル
■プレイ時間/30分

冴えない社会人の主人公は、この世に絶望して、自殺するための場所を探して夜の街を彷徨っていた。そんな彼は、とある学校の前でおどおどした少年と出会う。少年の様子が気になった男が話を聞くと、深夜の学校に宿題を取りに行くつもりだったという。成り行きから男は、少年に付き合って学校に忍び込むことに。夜の学校で2人が出会ったものは?

ここが○

  • 短いながら、生きることの重さを問うシリアスなテーマ。
  • 主人公と葉月の会話が楽しい。
  • 綺麗で読後感の良い2パターンのラスト。

ここが×

  • 操作性があまり良くない。
  • 学校の中での出来事は、ちょっといきなりな気がする。
  • もう少し緊迫感を前面に出しても良かったのでは。

■少しだけ未来に歩こう

時折、RPGツクール製の作品に出会うことがあります。ノベルゲームとしてはお世辞にも操作性がいいとは言えませんが、作者さんが慣れているからということなのでしょうか。ツールとしては安定していますので、操作性を別にすれば、遊び心地は実はそれほど悪くありません。そんなRPGツクール製の短編ノベルをご紹介です。

主人公は、出だしから妙にシニカルで厭世的な社会人の男。既にこの世とおさらばするつもりらしく、自殺場所を探して夜の街を彷徨うところから、物語が始まります。色々考えた末飛び降りを手段として選ぶのですが、ある学校の前を通りがかった時、門に向かって激突(?)する少年に出会います。男は、意外と面倒見がいい性格なのか、少年に声をかけ、ファミリーレストランに連れて行きます。

そしてまた歩き出すそこで少年の名前が葉月であることを聞き、また深夜の学校に宿題を取りに行くところだったことも知ります。男は何故か葉月に付き合い、夜の学校に忍び込むことに。シニカルを気取っていますが、この主人公は案外お人好しなのかも知れません。そんなところが憎めませんし、葉月とのやり取りもなかなか楽しめます。

自殺がテーマの作品で、主人公を過剰に人嫌い、厭世主義に傾かせると、読み手が疲れてしまうものですが、この作品はそういう訳で、肩の力を抜いて読めました。と言っても決して軽い物語という訳ではなく、葉月の秘密など、それなりに重く、軽く流すところと重く語るところが、適度にバランスされていました。ですので、全体にとても読んだ時の感触のいい物語です。

2人が学校に忍び込んでからは、結構緊張感の高い展開となりますが、ここでも程よく緩急を使い分けているため、気楽に読むことができます。まあ、この場面くらいはもう少し緊迫感を前面に押し出して、少しホラー風の展開にしても良かった気もしますが、それは好みかも知れません。なので、怖いのが苦手な人も安心して読めます。

ただ、学校の中でのクライマックスとも呼べるあるイベントについては、少し面食らいました。一応、その少し前に葉月が学校の伝説について話はしますが、それでもいきなりな感じは否めませんし、仮面の男の素顔が実は……というのも、少々とってつけたような印象があります。ああいう展開を持ってくるならば、やはり前半からそれなりに伏線がないと不自然ですし、この作品のテーマはそこではないので、違う方法でクライマックスを作る手もあったのではないでしょうか。

そのテーマですが、主人公が自殺志願者だけあって、分かりやすいと言えば分かりやすく提示されています。テーマがあまりにも前に出過ぎず、ちょっとしたアクシデントを通じて、主人公が自然に自分なりの結論にたどり着く構成は、良く出来ていると思いました。なので、テーマが押し付けがましくないんですよね。さりとてテーマが行方不明になることもなく、物語とテーマ、そして主人公2人の関係という3つの要素が、程よく絡んで、短編ながらしっかりした物語に仕上がっていました。

ラストの選択肢は、嬉しいのやら何なのやら(笑)。ま、BLが好きな人もいるかも知れませんし、選ばせてもらえるのは親切なのではないでしょうか。ただ、気になったのは自由にセーブが出来ないこと。短いのに比較的選択肢が多いのですが、セーブは特定の箇所でしか出来ません。その上スキップが早くないため、選択肢を色々試そうとすると、結構ストレスがたまります。ほとんどが即死選択肢ですので、全部試すようなものでもありませんが……。

ツールはRPGツクールですが、バージョンが書いていませんので、詳しくは分かりません。エンド分岐はラストの選択肢で2種類。オチが少し変わるだけですが、この変化が意外と重要という気もします(笑)。その他にも、即死選択肢によるバッドエンドがいくつかあります。プレイ時間は30分はかからないくらいでしょう。重めのテーマを上手く料理した、短編の佳作だと思います。身構えずに気軽に読んでみてください。
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