第715回/空から響くアナザーパート - ソラウタ。(Claude) - ホラー
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第715回/空から響くアナザーパート - ソラウタ。(Claude)

ホラー
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ソラウタ。

ソラウタ。■制作者/Claude(ダウンロード
■ジャンル/夜の学校レポート脱出ノベル
■プレイ時間/45分

高校生のタチバナサイは、学校に宿題のレポートを忘れてしまい、夜の学校に忍び込んでレポートを取りに行った。そこで出会った青年ワタナベシン。彼も弟が忘れたレポートを取りに来たという。2人は一緒に行動するが、なぜか学校から出られなくなってしまう。果たして学校から出る方法は。そしてシンの正体は? 手軽に読める短編分岐ホラー。

ここが○

  • 気軽に楽しめる分岐。
  • 閉鎖空間ならではの緊迫感ある展開。
  • ラストでタイトルの意味が分かる作り。

ここが×

  • 演出周りがいまいち弱い。
  • 後味がいいとは言い難いトゥルーエンド。
  • ホラー要素はあまり強くない。

■空から響くアナザーパート

前回の「硫酸で顔が焼けた朝海さんのはなし」もなかなか後味の悪い作品でしたが、2回連続で後味が良くないラストの作品をご紹介。私はハッピーエンドものが好きですが、時々こういう作品を読むと、色々な刺激があります。この作品は、分類すればいわゆるクローズドサークルもののホラーということになりますが、さほど怖さを前面に出していません。

主人公は高校生のタチバナサイ。その日は学校でろくなことがなく、厄日としか思えなかったのですが、その締めくくり(?)に、何と明日提出のレポートを学校に忘れてしまいました。明日提出しないと、進級すら危うくなります。なので、サイはレポートを取りに行くため、夜の学校に忍び込みました。つい最近ご紹介した「そしてまた歩き出す」と、非常によく似た舞台設定ですが、作品の味わいはかなり異なります。

ソラウタ。夜の校舎でサイが出会ったのが、ワタナベシンと名乗る青年。彼には弟がいるらしいのですが、その弟も学校に忘れ物をしたそうで、それを取りに来たそうなのです。サイとシンは一緒に行動することにしたのですが、首尾よく忘れ物を手にして学校を出ようとしたところ、何故かどの扉にも鍵がかかっていて出ることができません。2人は学校から出る方法を探して、校内を彷徨います。

とまあ、典型的な閉鎖空間ものです。実は最初にプレイする時には一部の選択肢が出てこないので、必ずバッドエンドになります。「何だこりゃ?」と思わず、最初からやり直してみましょう。今度は1回目には出てこなかった選択肢が出てきます。もっとも、選択肢は直感的にどちらが正解かが分かりづらく、スムーズにトゥルーエンドにたどり着くのは結構難しいでしょう。セーブを駆使しましょう。

冒頭で書いたように、この作品はあまり怖さを前面に押し出していません。それはそれで1つのスタイルとも言えますが、この作品の場合は、もう少し演出に凝ってみても良かったように思いました。効果音は結構雰囲気のあるものを使っていますが、一部のBGMがあまり場面に合っていないように感じたのが気になりましたし、背景写真もお馴染みのイラストです。この手の作品では、イラスト背景より写真を使った方が、演出効果が増したように思うのですが(立ち絵が影絵ですし)。

私は、単に音とか雰囲気だけで怖がらせるホラーを「びっくり箱ホラー」と呼んでいますが、と言って音や雰囲気もホラーの大事な一要素です。この作品は、せっかく物語でも怖さをアピールしているのですから、デコレーションにも少し力を入れていれば、作品の魅力がより上がったのではないでしょうか。少しそこが惜しまれました。

さて、物語は途中からシンの意外な目的とその正体が絡み、後半は展開自体も怖さを増し、単なる「びっくり箱ホラー」ではなくなります(だからこそ、演出にもう一工夫が欲しいなと感じたのですが)。シンの弟については、途中できちんと伏線が張られていますし、この辺りの展開は上手いなと思いました。ただ、学校で起こっている行方不明事件については、前半からもう少し言及があっても良かったように感じました。

そして物語は佳境へ。意外な解決をみますが、その後に来るラストが、最初大団円を装っているだけに、完全に視界の外からの攻撃でやられてしまいました(笑)。全然読後感は良くないのですが、読者の意表をつくオチという意味では大したものです。このトゥルーエンドでタイトルの意味が分かるのですが、ちゃんとこれについても途中でネタが仕込んであります。こういう細かい作りが、この作品はとても良く出来ています。

ツールはLive Makerです。エンディングは、トゥルー、ノーマル、それにバッドが4つで合計6種類。分岐条件は難しくありませんので、セーブを使えば攻略は難しくありません。プレイ時間は全部のエンディングを見て45分。全てのオチが後味悪いわけではなく、謎は全然解決しないけど、無事に生還できるノーマルエンドもあるので、そういう意味ではバランスの取れた作りと言えるかもしれません。ホラーというほどには怖くないのですが、閉鎖空間分岐ノベルがお好きならば、気軽に楽しめると思います。
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