第718回/遥かな空にテイクオフ - 限りなく閉ざされたこの世界で(VIPGAMES) - 学園・青春
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第718回/遥かな空にテイクオフ - 限りなく閉ざされたこの世界で(VIPGAMES)

学園・青春
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限りなく閉ざされたこの世界で

限りなく閉ざされたこの世界で■制作者/VIPGAMES(ダウンロード
■ジャンル/宇宙人との日常恋愛ノベル
■プレイ時間/2時間

ヨウスケは成績優秀、天文部に所属する高校生。ある日天体観測にかこつけて、密かに心を寄せているキセキを学校の屋上に連れ出した。星の説明をしながら、告白を切り出そうとするヨウスケだったが、2人の前に突然和服の少女、ユゴスから来た宇宙人のカケラが現れた。2人はカケラが故郷に帰れるように協力することに。会話が楽しい学園ラブコメディ。

ここが○

  • テンポよく楽しい会話。
  • 綺麗な立ち絵、一枚絵。
  • 幕間のSDキャラも可愛い。

ここが×

  • 恋愛周りの描写が希薄。
  • リアリティにちょっと難あり。
  • 難易度が高すぎる。

■遥かな空にテイクオフ

久々に2ch系、VIP系の作品をご紹介。私が紹介した作品では、「だめシス ~damecco sisters~」以来ですが、作品のノリとしては「い~びる☆あいっ!」辺りに近いものを感じさせます。VIP系の作品は、独特の癖はありますが、勢いと、何より楽しんで作った感が伝わってきて、結構好きなのです。とは言え、VIPネタは正直あまり分からないんですけどね(笑)。でも、途中で本当にVIP掲示板でのやり取りが出てくる場面があって、これには少し笑ってしまいました。

この作品の主人公であるヨウスケは、この手の作品の主人公としては珍しい優等生。冒頭いきなり、星の雑学を語っています。ヨウスケは仲の良いクラスメイト(中学生からの同級生)であるキセキにずっと思いを寄せていて、今日告白しようと天体観測に誘ったのでした。そして、星のエピソードから告白へ持っていこうとする作戦。頭がいいだけあって(?)なかなかの策士です。

限りなく閉ざされたこの世界でところが、突然2人の目の前に、和服姿の変な女の子が現れます。彼女の名前はカケラ。ユゴスから来た宇宙人だと名乗り、故郷の星へ帰るための信号を送っていると言います。そして彼女が故郷へ帰るためには、ある条件が必要なのだと。そのため、ヨウスケとキセキは、カケラに協力することになります。出だしのインパクトはかなりのもので、つかみは上々です。

話はほとんど、天文部の部室で進みます。大きなイベントがある訳でもなく、3人の会話だけで進行するのですが、不思議なことにあまり退屈さを感じさせません。会話のテンポの良さ、3人のキャラクターの噛み合わせの良さによるものでしょう。コメディなのですが、変なギャグの上滑り感もなく、楽しんで読めます。また一つ一つの会話が過剰に長くなく、だれることがないのも好印象でした。ただ、キセキがカケラのことを「ガラケーちゃん」と連呼するのだけは、「カケラとガラケーって、別に語感似てないのでは……」と、少々こじつけっぽさを感じてしまいましたが。

物語は2ルート。カケラルートとキセキルートです。が、この作品少しでも選択肢を間違うと(好感度が足りないと?)、ラストで即バッドエンドです。冗談ではなく私はバッドエンドを20回くらい見ました(ただタイトルに戻るだけですが)。いくらなんでもこれは条件が厳しすぎです。なかんずくキセキルートの入り方の難しさ。歴代のこの手の作品でも、これほどヒロインのルートに入るのが難しい作品は、あまり思い付かないほどです。これほど難しくする必要があったのか、ちょっと疑問です。

カケラルート。カケラを故郷に返すため、免許もないヨウスケが小型機を操縦するという、なんともぶっ飛んだ展開に。昔「夢のつばさ」という、やはり飛行機操縦をモチーフにした商業作品がありまして、そちらはそれなりにリアリティがありましたが、ちょっとリアリティの面で難があるように思いました。リアルでなくてもいいので、作品内でもう少し説得力のある展開をしてくれれば良かったのですが。

そしてもう1つ気になったのは、冒頭で数年想いを寄せていたキセキに告白しようとしていたヨウスケが、わずか数日であっさりカケラに心変わりするところです。それならそれで、それを読者に納得させられるだけの心情描写が欲しいところですが、ヨウスケがカケラに惹かれるようになる描写がほとんどありません。ラスト近くはなかなか緊迫感もあって盛り上がるだけに、この2点は気になりました。

キセキルート。カケラルート以上に入るのが難しく、かなり悩みました。このルートは正攻法の恋愛もの風のオチがつきます。キセキの過去の描写については、前半から何らかの言及が欲しかった気がしますが、物語の完成度としてはキセキルートの方がよくできていますように思いました。ただ、やはり恋愛描写についてはもう少し踏み込んで欲しかったように感じます。

全体に、緻密な構成を味わうというよりは、キャラクターの掛け合いの面白さで楽しむタイプの物語です。そのため、細かいところに目をやると、結構ツッコミどころも多いのですが、それを払拭できるだけのパワーを持ったキャラクターの物語です。楽しいけどくどくなく、押し付けがましくもない会話文というのは、センスが必要ですが、この作品はそれをさらりとやってのけています。そこには感心させられました。

ツールは吉里吉里です。ただし、吉里吉里なのに既読スキップではなく無条件スキップで、更にセーブしてもかなり前に戻されてしまうのはマイナスポイントでした。選択肢でセーブしても意味なしです(かなり何度もやり直す羽目になる作品だけに)。プレイ時間は2時間くらい。カケラエンド、キセキエンド、それにエンドロールのないバッドエンドの3種類。荒削りなところも見られる作品ですが、会話が楽しい学園コメディを読んでみたいなら、楽しくプレイできると思います。アイキャッチ画面のSDキャラも可愛いですよ。
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