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第719回/恋の予感の前奏曲 - 追憶の向こう側~もうひとつのプレリュード~(CyberFan)

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追憶の向こう側~もうひとつのプレリュード~

追憶の向こう側~もうひとつのプレリュード~■制作者/CyberFan(ダウンロード
■ジャンル/彼氏彼女の恋愛前奏曲ノベル
■プレイ時間/1時間15分

坂巻行人は、中学生の時にバスケットボールの試合会場で見かけた女生徒が気になり、その女生徒を追いかけて同じ高校にまで入ってきた。バスケットボール部で再びその女生徒、鹿野深月と出会った行人は、深月と近づくべく、友人の嵯峨野和美に間を取り持ってくれるように頼むのだが。「追憶の向こう側」の外伝的物語。

ここが○

  • 恋に揺れ動く心情描写。
  • 素直で嫌味のないキャラクター。
  • 前作をプレイしているとより楽しい。

ここが×

  • サブキャラをもう少し動かしても良かったのでは。
  • 物語が起伏に欠ける。
  • そのためラストシーンがいまひとつ盛り上がらない。

■恋の予感の前奏曲

2作連続で王道の学園恋愛ものをご紹介です。最近この手の作品をプレイする機会が減った気がします(とは言え、この作品もわずか3年前の公開なので、十分「最近」なのですが)。斬新な設定や、どぎつい物語の作品もいいですが、このジャンルには、何とも言えない安心感がありますね。タイトルから分かるように、「追憶の向こう側」の外伝的な作品です。曲で歌が始まる前の部分は、前奏曲(プレリュード)とは言わない気がしますが(「イントロダクション」ですね)。

と言っても、前作をプレイしていなくても単体で楽しめます。もちろん、前作を読んでいる方がより楽しめることは、言うまでもありません。今回の主人公は、前作の主人公嵯峨野和美の友人、坂巻行人です。そう、前作のヒロインである深月と、開始早々付き合うことになった、前作のプレイヤーとしては憎っくき男ですね(笑)。今回は、前作とほぼ同じ時間軸を、別の視点から見ることができるという点で、興味深くプレイしました。

追憶の向こう側~もうひとつのプレリュード~話は、行人が中学生時代のバスケットボールの試合の場面から始まります。主将に任命されたばかりの行人でしたが、意気込みばかりが空回りし、試合開始早々ファウルを5回して退場になってしまいます。意気消沈して隣の会場を見ると、そこでは女子の試合が。そこで躍動していた一人の女生徒に、行人の目は釘付けになります。彼女こそ、ヒロインである鹿野深月なのでした。

行人は、持ち前の(?)行動力を発揮し、とうとう深月と同じ高校に入ることに。ストーカーも真っ青です(笑)。そんな行人は、行動力がありながら、肝心なところでいまいち押しが弱かったりもするのですが、それもまた愛嬌か。ともあれ、行人は深月に告白し、深月はそれを受け入れて、2人は無事に付き合うことになります。前作の物語を裏側から見ている感じですね。

この作品は、付き合うことになった2人の、高校生カップルならではの心の揺れ動きを描いた物語です。なのでと言いますか、そこまで大きな起伏はありません。もう少し2人の仲が危なくなるような展開があっても面白かったような気はするのですが(一応、それなりの危機はあります。仲が危なくなるというほどのことでもないですが)、丁寧な心情描写で高校生の2人の恋模様を描いており、心地よく読める恋愛ものです。

しかも告白が成功してからを描くというのは、存外難しいものです。序盤から告白してますから、なおのこと。今作は、告白して有頂天になったり、些細なことで落ち込み、それが部活にも影響してしまう多感な高校生の主人公をよく描けており、それが物語に奥行きを与えていました。

ただ、せっかくだからもっとサブキャラを絡ませてみても面白かった気がします。前作の主人公である和美や、生徒会長の鷹宮は出てきますし、榊、美冬も登場するのですが、全員ほんのちょい役。せめて和美だけでももう少し使っても良かったのではないでしょうか。ほとんど行人と深月の2人だけで進んで、それなりに退屈せずに読める構成は上手いと言えますが、やはり前作を見てもこの物語に和美の存在は不可欠だったように思いますが……。特にラストシーンは、もっと和美を前面に出し、イベントを2つ3つ配置しておけば、より効果的だったように感じます。

物語の作り自体にもそれほど起伏がないのですが、そのため一層一本調子に感じられるところがなくもありません。その分を、行人の一人称による丁寧な心情描写で補っていますが、もう一押しがあればと感じさせられました。しかし、逆に言えばそれでも読ませてくれる上手さが感じられます。付き合い始めたばかりの2人の様子の描写、ちょっとした相手の言葉で落ち込んでしまうところなど、とてもよく描けており、青春物語としてよく書けていると思いました。

ツールは吉里吉里ですから、快適にプレイできます。選択肢はなく、プレイ時間は1時間15分から30分くらい。今回は声はなく、それが少し残念でしたが、前作をプレイしていたならば、脳内で声を再生してしまいましょう(?)。全体の作り自体はストレートながら、細かいところにこだわりの描写が見られ、しっかり作られた恋愛ものです。綺麗な心で楽しみましょう(笑)。
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