第720回/恋の絆の片道切符 - おるばり! 7K(Enharmonic☆Lied) - 恋愛
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第720回/恋の絆の片道切符 - おるばり! 7K(Enharmonic☆Lied)

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おるばり! 7K

おるばり! 7K準推薦
■制作者/Enharmonic☆Lied(ダウンロード
■ジャンル/同人誌制作しつつ先輩と恋愛ノベル
■プレイ時間/1時間半

七星坂学園大学2年生の山本庵は、友人のカズナリが部長を務める二次元研究会の幽霊部員。この度同人誌を作ることになり、副部長の奈那、奈那の友人の靜香と、夏休みに活動することになった。そんなある日、奈那が街でピンチを救ってくれた男性に恋をする。庵たちは奈那の恋を応援すべく作戦を立てるが? お馴染みのシリーズ、今回は奈那編。

ここが○

  • お馴染みのキャラクターのやり取りが相変わらず楽しい。
  • 正攻法ながら起承転結のはっきりしたストーリー。
  • サブキャラクターが今回も魅力的。

ここが×

  • 奈那や靜香、カズナリの過去をもう少し描いても良かったかも。
  • 心情描写には少し弱さを感じる。
  • ラスト前にもう一捻りが欲しかった。

■恋の絆の片道切符

8回目の登場(合同制作含む)「Enharmonic☆Lied」作品です。タイトルからもお分かりの通り「おるばり!」シリーズの最新作。過去に「おるばり! ある極端な双子の場合」「おるばり! 幼なじみバトル」の2作が公開されており、いずれも舞台、登場人物共に共通。夏休みという時期も同じです。私立七星坂学園大学の2年生である主人公の山本庵が、友人達とどたばたやりつつ、ヒロインと仲良くなるという内容。

過去のシリーズでは、1作につき2作のヒロインが登場して、選択肢でそれぞれのヒロインのルートに分岐しました。「極端な双子」では小水靜香と莢香の双子の姉妹。「幼なじみバトル」では、庵の幼馴染であるゆかりと、コウセイの幼馴染の凛。そしてまだ攻略できなかった主要キャラクターが、庵の友人である中田カズナリが部長を務める、二次元研究会(通称「ニジケン」)の先輩、倉永奈那。奈那ファンの皆さまお待たせしました。ようやく奈那を攻略できます。ただし今回は選択肢がなく、一本道。攻略できるのは奈那だけです。

おるばり! 7Kニジケンは「極端な双子」の靜香ルートでも舞台になったので、プレイした方はちょっと懐かしいかも知れません。なので今回はニジケンの部長であるカズナリも重要な役どころ。二次元にしか興味がなさそうなカズナリの意外なエピソードも明らかになるので、その辺りも必見です。

ニジケンの活動として、漫画同人誌を作ることになり(しかもメンバー全員恋愛経験ゼロなのに、恋愛漫画)、夏休みに活動を始めるニジケンメンバー一同。そんなある日、街に漫画の資料のための写真を撮りに行ったところ、柄の悪い男に絡まれてしまいます。そこを助けてくれたのが、隣町にある明ヶ原商業大学サッカー部の、黒川圭佑。ピンチを救ってくれた黒川に、なんと奈那が一目惚れしてしまいます。しかし奈那は極度の男性恐怖症で、男性に触れることすらできません。そこで庵は、奈那の恋を成就させるべく、作戦を練るのですが……。

このシリーズは、基本的に正攻法、ストレートな展開の物語が多いのですが、この作品も同様です。主人公である庵が、自分が好きな女性の恋のために、自分の気持ちを隠して応援するという展開です。目新しくはないものの、何せシリーズものとしては4作目(第1作目はまだ紹介していません)ですから、キャラクターが実によく立っています。そのキャラクターが王道な展開をサイドからよく支えており、読み応えがあり、楽しい恋愛コメディに仕上がっています。

過去の作品でもサブキャラクターがよく働いているのですが、今作でもカズナリやゆかり、光輝と言ったサブキャラクター達がとても魅力的でした。特に光輝は、普段は完全にギャグ担当なのですが、美味しいところで決めてくれますね。カズナリも、庵の友人として、またニジケンの部長として、時には親身に時には厳しく庵に接し、彼なりにしっかり庵をサポートしている様子に、いい友人だなあと思いました。

恋愛面で言えば、自分が好きになった人を応援する庵の苦悩が見どころです。ゆかりに対する態度は今回もアレでしたが(笑)。それでも、庵といいゆかりといい、健気で素直に感情移入できました。こういう「読み手を物語にシンクロさせる」ポイントを作るのが今作は非常に上手かったのですが、それを主人公にも担わせたところに、今作の作りの上手さが際立っていました。

ただ、庵が奈那に惹かれる描写がもう少しあっても良かった気はします。それと、ラストの解決法が、若干安直な気が……。まあカズナリらしいと言えばらしい解決なんですが(笑)、もう少しラストで引っ張って、庵に格好いいところを見せてあげても良かったような気はしました。それと、カズナリや奈那、靜香の過去も重要な要素なのですが、もう少しそこを前面に出しても面白かったかも知れませんね。

しかし、二次元にしか興味がないと思われていたカズナリの意外な過去が、個人的には今作一番の見せ場でした(え?)。カズナリと言いコウセイと言い(コウセイは今回はほとんど出番がありませんが)、このシリーズは男性の友人キャラやサブキャラが、実にいいところで物語を引き締めてくれるなと思いました。一般にヒロインキャラには手をかけても、男性友人キャラって放置されがちなのですが(下手をしたら男性キャラが登場しない作品も珍しくない)、男性サブキャラと主人公との友情(作中の言葉を使えば「絆」)こそがこのシリーズの良さだと思います。

舞台は大学なのですが、相変わらず大学というよりは高校のようです。それはそれでこの作品の個性ですから、別にいいと思います。ツールは以前までのNScripterから変わってティラノスクリプト。ただ、ウィンドウがあまり大きくないためか、ティラノにしては起動速度はまずまずです。選択肢はなくプレイ時間は1時間半から2時間。王道でありながらキャラクターの使い方が非常に上手く、テンポの良さ、起承転結のリズムが心地良いストーリー。シリーズのファンでなくても楽しめますので、是非どうぞ。
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