第723回/後悔で貫く心の一撃 - 思ひ出のラプソディ(ごいしはまぐり) - アクション・ドラマ
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第723回/後悔で貫く心の一撃 - 思ひ出のラプソディ(ごいしはまぐり)

アクション・ドラマ
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思ひ出のラプソディ

思ひ出のラプソディ準推薦
■制作者/ごいしはまぐり(ダウンロード
■ジャンル/悪魔の力身に付けたヒロインノベル
■プレイ時間/45分

神崎京子は、ある日帰宅途中の列車で居眠りしてしまい、乗り過ごしてしまった。降りた駅の近くに見慣れない骨董品店を見つけた京子は、そこで古びた手書きの本を見つける。中には「願いを叶える方法」という文字が。引き寄せられるようにその本を買った京子。その夜眠りについた京子に、怪しい声が響いてきた。動きのある演出が凝った短編アクション。

ここが○

  • 拡大縮小やスクロールを上手に使った演出。
  • 映画のような文章表示が雰囲気を高める。
  • 短編ながら起伏のある展開と、綺麗なハッピーエンド。

ここが×

  • 文章が非常に読み辛い。
  • バックログが役に立たない。
  • グロテスクな描写など、読む人を選ぶかも。

■後悔で貫く心の一撃

私は、一度プレイした作品の作者さんはなるべくその後もチェックするようにしています。思わぬ成長が見られたり、以前の作風とは違う一面が見られたり、作品だけではなく作者さんにも目を向けると、色々と楽しいことがありますからね。そしてこの作品は「学園ライト!」の作者さんの新作です。前作は学園が舞台ながら、かなり不思議な設定、展開の作品でしたが、この作品も独特の世界観、味わいがある物語です。

タイトルと、可愛らしいスタート画面だけを見ると、ほのぼのとした学園恋愛ものと思うかも知れません。私も最初はそう思いました。最初に出てくる京子の立ち絵も綺麗で、このタイトルでこの立ち絵だと、普通恋愛ものだと思いますよね。ところが全然そういう展開の物語ではなく、むしろかなりどろどろとしたシナリオです。結構グロテスクな描写もあるので、苦手な人は苦手かも知れません(私が読めたくらいなので、あまり心配ないと思いますが)。

思ひ出のラプソディ出だしはあらすじに書いた通り。骨董品店で謎の本を入手した今日の夢に、悪魔が登場し、願いを叶えてやると言います。対価を求められるから願いは叶えなくてもいいと突っぱねる京子ですが……。その後今度はもう1人の主人公である美沙の視点に場面が切り替わります。何やら、職場で顔を合わせる人にデートに誘われた様子。デートは恙無く進行し、相手の男性原口さんの自宅にお邪魔することに。

まず、映画のような画面サイズが目をひきます。流石にここまで横長になると、ノベルゲームとしては使い辛い気がしなくもないですが、この作品はそれを、スクロールや拡大縮小を用いた、動きのある演出で上手に利用しています。動きを使った演出を使うなら、ワイド画面もありだなと思わされました。演出自体も、要所要所で効果的に効いています。文章も、テキストウィンドウではなく、映画の字幕のように直接画面に表示されるタイプで(「ななこい」をはじめとする、幻創映画館の作品と似たような感じです)、これも映画風の雰囲気に一役買っています。

ただ雰囲気はいいのですが、反面非常に文章が読み辛いです。フォントがちょっと独特で、これが読み辛さを助長しています。背景が暗ければそうでもないのですが、白っぽい画面にこのフォントで文章を綴られると、ちょっと参ってしまうレベルの読みにくさ。レタリングとしてならともかく、「読ませる」文字としては、やはりゴシックか明朝が一番読みやすいように思いました。

さて、物語は途中から物凄い展開をみせます。上でも書いたように、結構残虐、グロテスクな描写もあるため、ここは人を選ぶ可能性もあります。とは言え、意外と描写はさらっとしていてくどくはないので、私は問題なく読めました。そして途中から登場するもう1人の悪魔、Dがいい味を出して物語を引き締めていましたね。人間を見下したところがありながら、ちょっと人間っぽい一面も垣間見せ、要所でストーリーにも絡む名脇役でした。この作品はフルボイスですが、Dは声も渋くて非常に好演です。

後半。京子と美沙の過去の関係が明らかになります。これも苦手な人な苦手な描写かも知れませんが、やはり過剰に直接的に描かれる訳ではありませんので、軽く読める範囲です。過去にこじれた2人の関係を断ち切るべく、果敢に立ち向かう美沙、そしてそれをちょっとだけサポートするD。短い物語ではありますし、伏線が後半で収束するタイプのシナリオではないのですが、その分物語の「ため」「ひき」「上げて落とす」と言った要素は非常に丁寧に作られており、盛り上がりも十分です。アクションシーンのテンポも良好でした。

ラストは、若干ご都合主義の香りを感じなくもありませんが、Dというキャラクターの劇中での描かれ方には即している解決法であり、その意味では「嘘っぽさ」は感じませんでした。途中がどろどろしているのですが、ラストが綺麗でそれを見事に払拭していましたね。欲を言えば、京子と美沙でも、美沙と原口でもいいのですが、もう少し先のシーンまで描いた大団円(エピローグ?)が見てみたかったような気もします。

ツールはティラノスクリプト。エンディングはトゥルーが1、バッドが2の合計3つです。選択肢で即死のタイプですので、攻略は簡単です。ただこの作品、なんと「バックログで直前の1行しか見られない」のです。これはちょっと困りました。うっかり数行飛ばしてしまわないよう、気をつけて読んでください。プレイ時間は全部のエンディングを見て45分くらいです。こうしてレビューを書きましたが、本音を言えば、ぜひ予備知識なしにプレイして、私のように途中で盛大に驚いて欲しい一作です(笑)。
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