第724回/ほのかな想いが隠し味 - カキフライにタルタルを(SULPTENON) - 探索・謎解き
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第724回/ほのかな想いが隠し味 - カキフライにタルタルを(SULPTENON)

探索・謎解き
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カキフライにタルタルを

カキフライにタルタルを■制作者/SULPTENON(ダウンロード
■ジャンル/カキフライ日常謎解きノベル
■プレイ時間/40分

中学生の新桐霧と、小学生の錦戸麻奈の2人が、カキフライ作りに挑戦するが、お約束の大失敗で、主人公と3人揃って定食屋へ。そんな前振りとは全く関係のない、霧と麻奈とのちょっとしたラブストーリー。相変わらずのナンセンスギャグと、主人公のツッコミが冴える日常系ユーモアミステリー、カキフライとタルタルソースが大活躍……してないかも?

ここが○

  • 主人公のツッコミが冴えるギャグ。
  • さりげない日常の謎解き。
  • 控え目ながら綺麗な幕引き。

ここが×

  • ギャグには当たり外れがある感。
  • カキフライもタルタルソースもあまり関係ないような。
  • セーブしても結構前のシーンに戻される。

■ほのかな想いが隠し味

掌編レビューで取り上げた「オムライスにケチャップを」の続編的な作品であり、この作品の更に続編が「ミトコンドリアにかんずりを」です。が、直接の繋がりはないので、どれからプレイしても問題ありません。現に私は「ミトコンドリア→オムライス→カキフライ」の順にプレイしました。こう書くと何のことだかよく分かりませんが(笑)。

1作目の「オムライス」は、掌編ですし、特にストーリーらしいストーリーがないナンセンスギャグ作品でしたが、今作はナンセンスでスピード感のあるボケ・ツッコミののりはそのまま、ちょっとした日常の謎解きを盛り込んでいます。この方向性は3作目の「ミトコンドリア」でも継承されていますから、これが本流と言いますか、このシリーズのスタイルと言えそうです。

カキフライにタルタルを冒頭は、中学生の主人公(名前が出てこない)と、その幼馴染である同級生の新桐霧、近所に住む小学生の錦戸麻奈の、前作同様のやり取りから始まります。カキフライを作る中で、次々と霧、麻奈のボケに突っ込んでいく、前作同様の方式。この冒頭部はストーリーにはほとんど関係ないのですが、ここの選択肢により本編が3種類に分岐します。霧ルート、麻奈ルート、それにタルタルート(?)の3つ。

ギャグシーンは、全部が全部笑えるという訳ではないのですが、時折切れ味鋭い主人公のツッコミがツボに入って、結構笑えます。個人的には「調味料三部作」で、この作品が一番ギャグが面白いと思いました。そのやり取りで日常を描写しつつ、ちょっとした日常の謎を解きます。ギャグ連発ですが、文章はむしろかっちりとしており、そのギャップがまた面白いところでもあります。

霧ルートは、霧の誕生日にプレゼントを持って霧の家に遊びに行った主人公、という流れ。霧の部屋で血液型の話になり、果たして霧の血液型は何なのかを当てることになります。まさに「ちょっとした日常の謎」ですね。このルートは、きちんと考えれば、比較的容易に正解にたどり着けると思います(まあ血液型ですから4種類ですし)。この「血液型」当てに、霧のちょっとした乙女心を絡ませている辺りが、とても上手い展開。花言葉のような小技を実に巧みに使っています。まあ、マヨネーズケーキはあまり食べてみたい気はしませんが(笑)。

麻奈ルートは、麻奈と一緒に遊園地に遊びに行き、途中で麻奈とはぐれた主人公が、麻奈の行方を探すという、これまたささやかな謎解き。こちらは霧ルートよりもちょっと歯ごたえがあります。選択肢も多いですしね。ただ遊園地の施設を順番にクリックして正解を探せばいいので、難易度は高くありません。グッドエンドにたどり着くには、麻奈を探す時に1回目で正解を出さねばなりませんので、ご注意ください。

タルタルートは、カキフライ星第一王女のカキフリア一世なる少女が現れる、おまけ的なぶっ飛んだルート。冒頭のノンストップギャグパートのまま本編も行ってみました、という趣のシナリオです。なので、内容は他のヒロインルートよりも薄く、純粋にキャラのやり取りとシュールでぶっ飛んだギャグを楽しむパートと言っていいでしょう。これはこれで楽しく読めるルートです。

タルタルートはともかく、霧と麻奈のルートは、ラストがどちらもとても良いです。日常の謎解きに上手く恋愛風味を絡ませ、ラストは短く簡潔な描写で麻奈及び霧の気持ちが描写されるのですが、その塩梅が非常にちょうど良いのです。読者にも想像の余地を残す程度、それでいて決して「想像にお任せします」という投げっぱなしではなく、しっかり2人の気持ちを示す書き方が秀逸。日常謎解きコメディではあるのですが、恋愛ものとしてもなかなかよくできたオチの付け方だと思います。

そんな訳で、ギャグと謎解きと恋愛のバランスがよく、調味料シリーズの中ではこれが一番気に入りました。どれか一作という方にはこの作品をお薦めします。ツールは吉里吉里で、霧エンド3種類、麻奈エンド3種類、それにおまけエンドの合計7種類のエンディング。プレイ時間は40分です。謎解きの正解さえ出せれば、あとは選択肢で分岐するだけです。

プレイしやすい作品なのですが、なにぶん少々古い吉里吉里製ですので、セーブしても結構前に戻されるのだけは玉に瑕です。ま、Fキー一発で高速スキップができますから、そこまで困りませんけどね。古めの作品ではありますが、こういうコンセプトの作品は最近あまり見ないように思いますし、今プレイしても新鮮に楽しめるのではないでしょうか。
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