第727回/謎と一緒に解ける恋 - KOKUTOU - 消えた初恋の謎 - - ミステリー・サスペンス
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第727回/謎と一緒に解ける恋 - KOKUTOU - 消えた初恋の謎 -

ミステリー・サスペンス
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KOKUTOU - 消えた初恋の謎 -

KOKUTOU - 消えた初恋の謎 -■制作者/大沼屋(ダウンロード
■ジャンル/骨董屋と女子高生の日常謎解きノベル
■プレイ時間/30分

骨董品店を営む黒十美鶴の元に、女子高生の小倉柚葉が事件を持ってやってきた。彼女の友人稲餅さゆりが気になる男子高校生が、ある喫茶店に入って姿を消してしまうんだという。柚葉と共にその喫茶店にやってきた黒十だが、2人の目の前でその喫茶店に入った男子高校生を追って店内に入るも、彼の姿はどこにも見えない。キャラが楽しい日常謎解き短編。

ここが○

  • キャラクターがとてもよく出来ている。
  • 声がイメージにあっている上、演技がいい。
  • 綺麗なイラスト。

ここが×

  • 謎解きとしては少々歯応えがないかも。
  • なんだか動作が不安定。
  • 若干遊びにくさがあるシステム。

■謎と一緒に解ける恋

日常系謎解きものとしては、つい最近「カキフライにタルタルを」をご紹介したばかりですが、この作品も日常謎解きものです。ただ「カキフライ」が、本当に日常で起こった些細な出来事の謎を解くのに対し、こちらは実際に依頼人がやって来て主人公がその謎を解くべく現場に出向いたりしますので、その意味ではだいぶ雰囲気が違いますし、ミステリー寄りの作品と言えます(なので「ミステリー・サスペンス」に分類しました)。

主な舞台となるのは、骨董品店の「KOKUTOU」。店主の黒十美鶴(こくとう・みつる)は、アンティークものには目がなく、趣味と実益を兼ねた店というところでしょう。そんな黒十のところへ、女子高生の小倉柚葉がやって来ます。彼女の友人、稲餅さゆりがクラスメイトを好きになったそうなのですが、その彼がとある喫茶店に入ったところ、店の中には彼はおらず、どこかに消えてしまったというもの。

KOKUTOU - 消えた初恋の謎 -消えたといっても別に神隠しに遭っていなくなったわけではありません。店の中にいなくなっただけで、翌日学校では会えるので、大した事件ではないような気もしますが、この事件の解決をさゆりは黒十に依頼してきました。恐らく過去に黒十が柚葉絡みの事件を何か解決した、なんて過去がありそうですね(この作品には続編があるので、そこらは続編で明らかになるのかも知れません)。

この作品、謎解きものとしては少々弱さを感じました。人によっては、最初に依頼を聞いた時点で、薄々真相に気付くかも知れません。そこで気付かずとも、喫茶店の中でやり取りすると、大部分の人が気付くのではないでしょうか。まあ、実際にプレイヤーが謎を解くタイプの作品ではないのですが、その辺りはもう一捻りを入れてみても面白かったかも知れません。

しかしキャラクターは大変よく出来ています。主人公の黒十は、この手の探偵ものにありがちな、変に読者を突き放したところがありませんし、ヒロインの柚葉との関係、やり取りもとても魅力的。「見破った謎」エンドでの、柚葉がちょっと焦る様子が可愛らしいです。探偵役としても、理想的に物語を引っ張っていってくれており、主人公らしいいいキャラクターでした。

またこの作品は全員に声が付いているのですが、特にこの2人(黒十&柚葉)の声と演技がいいんですよ。イメージにもぴったりな上、声が付いていることでキャラクターの魅力がさらにアップしている、稀有な例だと思います(そういう作品はそれほど多くないのです)。もちろん、この2人以外のキャラクター、声もよくできてますよ。

確かに、謎解きとしては弱さを感じるのですが、黒十が謎を解くに至るプロセスは大変巧みに描かれており、説得力があります(読者が容易に謎を解けるかどうかとは、また別問題)。またこの物語には3つのエンディングがあり、ノーマル、グッド、トゥルーとでも言えそうですが、ノーマルやグッドでは、物語は終わるものの、謎が残ります。その謎に黒十が気付き、読者に提示するのが上手い方法でした。こういう終わり方をすれば、「まだ真相は明らかになっていませんよ」というのを、自然に示すことができる訳です。

システム面も整っていますが、若干の遊びにくさを感じました。理由は簡単で、既読スキップ、セーブなどの比較的よく使う機能を呼び出すのに、右下のアイコンをクリックし、もう一度メニューをクリックしなくてはならないのですね。些細なことですが、この作品は一本道ではなく、選択肢自体は多くない割にエンディング分岐条件が意外と複雑ですので(2つはすぐ到達できますが)、これが意外にストレスになります。続編ではその辺り、どうなっているでしょうか。

ツールはティラノスクリプト。私がプレイした時はティラノらしい不安定さを見せ、ボイス再生が不安定になった挙句、フリーズしましたが、まあそれがティラノです(笑)。エンディング数は上に書いたように3つで、プレイ時間は30分くらいです。2つのエンドはすぐ見られましたが、私は残り1つで少し手こずりました。終わり方も、続編を強く示唆する「引き」のある幕引きでしたし、これは続編をプレイしない訳にはいかないでしょう。立ち絵はもちろん、数は多くないですが1枚絵も非常に綺麗です。がちがちの推理ものが苦手でも、これならきっと誰でも楽しめると思います。
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