第79回/ここで会ったが七年目 - 七年凪(福原要) - ミステリー・サスペンス
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第79回/ここで会ったが七年目 - 七年凪(福原要)

ミステリー・サスペンス
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七年凪

七年凪■制作者/福原要(公開終了)
■容量/6.13MB

就職浪人中の後藤智也は、高校時代の友人御堂寺雅弘に招かれ、同じく高校時代の数名の友人達と、雅弘の別荘へとやって来た。7年ぶりの再会を懐かしむのも束の間、ロビーで一瞬の停電の隙に友人の1人の胸にナイフが……。電話不通、脱出不可能、次々起こる殺人。犯人は? 動機は? 「かまいたち」タイプの、歯応えのあるマルチエンドミステリーノベル。

ここが○

  • 文章は読みやすく、描写、テンポ感とも上々。
  • 画像は全く怖くないのに、中盤での緊張感はかなりのものがある。
  • 分岐多数で、ミステリー好きなら読み応えあり。

ここが×

  • 犯人の動機が全く意味不明。読後感も正直良くない。
  • おかしなところで改ページしており、快適に読めるとは言い難い。
  • この手のマルチエンドノベルでは、ツールがYuuki! Novelというのは致命的な欠陥。

■ここで会ったが七年目

上の説明でお分かりの通り、もう定番の「かまいたちの夜」タイプのノベルゲームです。私はこのタイプをあまり好みません。が、今までレビューで取り上げたこのタイプの作品、「June Bride」「氷雨」「ホームタウン」は、全て「準推薦」。つまり「好きじゃないけど、やるとハマる」という事でしょうか(笑)。この「七年凪」も、結構ハマりました。

まず非常に惜しい点は、ツールです。Yuuki! Novelで作られてるんですが、この手の「複数回プレイが前提の推理ノベル」の場合、「既読スキップ」「テキスト読み返し」ができないというのは、もうそれだけで大減点ポイント。NScripterか吉里吉里で作られていればなあと思わずにいられません。更に、妙に変なところで改行してるんですよね。ちょっと第一印象が良くないです。文章自体はとても読みやすいのに、これはもったいないところ。

さて、出だしは典型的な「かまいたち」タイプ。旧友の別荘に高校時代の同級生達が招かれるところから始まります。やがて第一の事件が起こるんですが、この作品にビジュアル的に怖い画像は、何一つ出て来ません。出ないんですが、中盤の「怖さ」はかなりの物があります。凄い緊張力で読み進める事ができます。これは作者さんの表現力のたまものでしょう。文章だけでこれだけ緊張感を持たせられるというのは、大したものだと思います。

この作品、私が見たグッドエンド(と言っていいか疑問なんですが)は3つでした。そこにたどり着くまでには、かなり死にまくりますが(笑)。ただ、「犯人も、動機も、謎も全部解ける」エンディングがないんですよね。動機は分かるけど謎が不明とか、犯人は分かるけど動機不明とか、生きて還れるけど犯人不明とか、そんな感じ。普通の作品ならともかく、ミステリーでそれはないのでは?

更にこの犯人の動機が、全く意味不明。そんな動機で何故別荘に人を集めて連続殺人に及ぶのか、私には理解不能です。「結末の意外性」を追求するあまり、ストーリー自体の整合性が取れてない気がしました。なので、ミステリーには不可欠な「結末にたどり着いた時のカタルシス」が、かなり薄いんですよね。一部の謎は、なかなかよく考えられているなと思いましたし、ヒントもちゃんと提示されてますが……。正直、ストーリー途中までに主人公達が考えていた可能性(プレイした人なら、何を指すかお分かりですよね?)のまま進行させた方が、意外性は薄かったでしょうが、お話としての完成度は上がった気がします。

また、バッドエンドでは当然のごとく死にまくるんですが、「犯人が○○だとしたら、そのやり方は無理がありすぎるだろ」な物が多数です。お前はゴルゴか、と(笑)。ま、この手のノベルゲームでバッドエンドの論理性など追求しても仕方ないのかも知れませんけどね。それでも、バッドエンドの「怖さ」はかなりの物。バリエーションも多数。私も何度も殺されました。

結末で評価を下げてしまいましたが、途中まではとても楽しくプレイできました。「かまいたち系」が好きな人ならかなり楽しめるはずです。私は日曜の夜に1人でプレイしましたが、昼間にまったりプレイする事をお勧めします。ツールの操作性には、この際目をつぶりましょう(笑)。
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