第728回/毎週ここで待ってます - KOKUTOU - 招かれざる常連客 -(大沼屋) - ミステリー・サスペンス
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト(通常) - 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別
作品リスト(掌編) - 新着順名前順ジャンル別
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第728回/毎週ここで待ってます - KOKUTOU - 招かれざる常連客 -(大沼屋)

ミステリー・サスペンス
  • comment0
  • trackback-

KOKUTOU - 招かれざる常連客 -

KOKUTOU - 招かれざる常連客 -■制作者/大沼屋(ダウンロード
■ジャンル/続・骨董屋の日常謎解きノベル
■プレイ時間/20分

骨董品店を営む黒十美鶴は、女子高生の小倉柚葉との待ち合わせのため、行きつけの喫茶店へ足を運んだ。黒十が柚葉を待っていると、柚葉と同じ制服を来た女子高生が窓際の席に着く。やがて現れた柚葉とふとその女子高生を見ると、彼女は運ばれたクラブサンドに全く手を付けていなかった。一体何故? お馴染みのコンビによる、日常謎解き物語の続編。

ここが○

  • 相変わらず黒十と柚葉のやり取りがいい。
  • 相変わらず声優さんが好演。
  • 相変わらず綺麗なイラスト。

ここが×

  • もう少し謎を凝っても良かったのでは。
  • 盛り上がりどころがどこかにあれば。
  • 少し消化不良感のあるラスト。

■毎週ここで待ってます

前作「KOKUTOU - 消えた初恋の謎 -」に続いて、続編をご紹介です。前作は、日常の些細な謎を、骨董品商の黒十美鶴と彼を慕う女子高生の小倉柚葉が解くという、日常系謎解き物語でした。とにかくキャラクター描写がいい上に、黒十と柚葉の関係性がよく、それだけで楽しく読める物語だったのですが、その美点は今回も健在です。

今回の舞台は、前作でも出てきた喫茶店。そう、庵が店員として勤務しており、女性マスター(ミストレス?)がいる店です。柚葉との待ち合わせのため、そこにやって来た黒十。しかし柚葉はなかなか現れません。そうしているうちに、柚葉と同じ制服の女子高生が客として現れます。遅れてやって来た柚葉ですが、窓際の女子高生は、注文したクラブサンドに全く手を付けていないのでした。

KOKUTOU - 招かれざる常連客 -それに目を付けた柚葉は、黒十と謎解きを始めるという、前作同様の流れです。まずは、冒頭の黒十と柚葉のやり取りがとてもいいです。柚葉は良家のお嬢様という設定で、アンティーク大好きで文明の利器を使おうとしない黒十にスマートフォンをプレゼントしようとするのですが、ここのやり取りには頰が緩んでしまいます。

この手の主人公とヒロインの関係を描く時にありがちな、変に主人公が格好を付けてヒロインを突き放すところもないですし、ヒロインの柚葉の、さりげない黒十への好意の示し方が、実に秀逸。推理なんてしなくても、この2人のやり取りだけで楽しく読めてしまうほどです(?)。お嬢様なのにそう思わせない柚葉のキャラクターも、大変いいところを突いています。

謎解きの点について言えば、今回もさほど捻っている訳ではありません。もう少し捻っても良かった気はします。特に今回は舞台がほとんど喫茶店の中だけで、黒十と柚葉の会話だけで進みますから、少し凝った謎にしても、とは思いました。もっとも、2人の会話だけできちんと謎解きという形を成立させているのが上手い、とも言えますが。

そして謎の解決。あのシチュエーションであれば、多くの人が想像するような事実であり、それほど驚きがある訳ではないのですが、今回も前作同様、黒十が理路整然と推理の過程を話してくれます。それに、推理の材料はきちんと提示されていますので、その意味では非常にフェアです。トゥルーではない方のエンドで、それとなく真相を示唆するのも前作同様で、これもいい作りだと感じます。

前作もそれとなく次作への引きをほのめかせていましたが(庵の素性を出したり)、今作も同様にちょっとした引きというか謎を描写して終わっています。少し読み終えてすっきりしないものを感じなくもありませんが、「続き物」として考えれば、ありな範囲の幕引きだと思います。ただ、黒髪の少女が誰を待っていたかなどの詳細については語られませんので、そこをもう少し踏み込めば、もっと収まりが良かったかも知れません(次作で語られるのかも?)。あとは、淡々と謎が語られるだけなので、盛り上がりどころがどこかにあれば、と。まあ、黒十と柚葉の会話が最大の盛り上がりどころとも言えますが(笑)。

BGMやユーザーインターフェースなど、非常に上質でよく出来ていますし、立ち絵や1枚絵が丁寧で見事なのも前作同様です。声も相変わらずで、黒十役と柚葉役の声優さんのファンになってしまいそうです(笑)。なお、セーブの時に都合3回クリックする必要があるのも同じなのですが、今作は前作より分岐と選択肢も少ないですから、これはそれほど支障がありませんでした。

ツールはティラノスクリプト。選択肢は2ヶ所だけですから、前作よりは大幅に難易度は下がっています。エンドは2つで、真相が分かるか分からないかだけでシンプル。プレイ時間は20分くらいですが、声を残らず聴けばもう少しかかるかも知れません。前作で黒十と柚葉のコンビを好きになった方であれば、この作品も絶対に楽しめます。かく言う私もすっかりこの2人のファンになりました。この2人、今年一押しのカップルかも知れません。
関連記事

Comments 0

Leave a reply