第731回/御伽の国からSOS - KOKUTOU - 御伽倶楽部 -(大沼屋) - ミステリー・サスペンス
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第731回/御伽の国からSOS - KOKUTOU - 御伽倶楽部 -(大沼屋)

ミステリー・サスペンス
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KOKUTOU - 御伽倶楽部 -

KOKUTOU - 御伽倶楽部 -■制作者/大沼屋(ダウンロード
■ジャンル/続々・骨董屋の日常謎解きノベル
■プレイ時間/45分

女子高生の小倉柚葉は、ある日学校で「御伽倶楽部」という謎のクラブの噂を耳にした。柚葉に自分のお茶会に参加するよう誘いをかけてきた飴宮アリス。気乗りがしないこの誘いを断るには、御伽倶楽部が一体どこにあるのかという謎を解くしかない。困った柚葉はいつものように黒十に助けを求める。女子高を舞台に繰り広げられる、日常ミステリー。

ここが○

  • キャラクターのやり取りがテンポよく軽妙。
  • 声優さんの演技は今作も見事。
  • 程よい謎と展開バランス。

ここが×

  • 謎がやはりシンプルすぎる感。
  • 少し展開に無理を感じる場面が。
  • セーブ、ロードで一手間多いのが少し気になる。

■御伽の国からSOS

骨董品商黒十美鶴、お嬢様女子高生小倉柚葉の2人が活躍する日常ミステリー「KOKUTOU」のシリーズ3作目です。第1作目「KOKUTOU - 消えた初恋の謎 -」、第2作目「KOKUTOU - 招かれざる常連客 -」も是非ご覧ください。今回も短編なのですが、30分完結のテレビアニメでも見ているようなつもりで楽しめるシリーズです。

シリーズ物だけに、舞台やキャラクターは今まで同様。今回は、意味ありげな回想シーンから始まります。これは実は黒十の夢らしく、眠っていた黒十を柚葉が起こしにくるところから話が始まります。ノベルゲームでは定番のオープニングイベントですが、このシリーズでこれをやると、何と言いますか「ご褒美感」がありますね(笑)。この2人の微笑ましいやり取りは今回も健在で、しょっぱなから頬が緩みます。

KOKUTOU - 御伽倶楽部 -さて、今までの舞台はほぼ登場人物の1人である庵がアルバイトしている喫茶店と、黒十の店だったのですが、今回は柚葉が通っている女子高が舞台です。それだけでもかなり印象が変わっていますし、今作では柚葉とさゆりを始めとした、女子高生同士の会話が楽しめます。女子高で噂になっている「御伽倶楽部」という謎のクラブを探るのが、今回の目的。新キャラの飴宮アリスと前作でも登場した蓬輝夜(よもぎ・かぐや)も、いい絡みを見せてくれて、会話もテンポよく楽しめます。

御伽倶楽部の手がかりは、アリスが持ってきた「学校の□」という古い羊皮紙に書かれた一文だけ。これだけを頼りに御伽倶楽部がどこにあるのかを探すことになります。そのシーンでは、クリッカブルマップ形式となり、校内の模式図から行き先を選ぶシステムです。今回も謎解きはシンプルで、ほぼ行き先を選ぶだけですから、わざとバッドエンドを見る時以外は、あまり迷うこともないでしょう。

謎解きとしては、今までの2作品同様構造もシンプルで、ストレートですが、その分キャラクターたちのやり取りを楽しめます。もう少し謎解きに凝っても良かった気はするのですが、この作品は1話完結形式の短編ですし、どうやらまだまだ続く模様です。それを考えれば、これくらいライトな謎でキャラクターのやり取りや活躍を描いた方が、連作としては読みやすいでしょうし、ありな作りだと思います。

ただ、アリスのお茶会に参加しただけで諸問題が発生する展開は、「いくら財閥のお嬢様とは言え、女子高内のこのくらいのやり取りでそんな問題になるのだろうか?」と、少し腑に落ちないものを感じました(中世の物語ならば説得力があったかも知れませんが)。今後のシリーズでそこらの説明があるのかも知れませんが、この作品だけ読むと、少し消化不良を覚えます。いくらかその辺りに言及があっても良かったかも知れませんね。

そして、冒頭の夢の描写もそうですが、今回もそれとなく次回以降の引きを出して、期待を煽ってくれます。逆に、前作では活躍の場がなかった庵が、今回はその立場を生かして上手く使われており、この辺りは上手い作りです。今までの作品で出てきた設定を生かし、新しい引きとなる謎もちりばめる、そのバランスの良さが光ります。シリーズものとして、非常にいい構成です。

その「シリーズものとしての魅力」を何より支えているのは、やはりキャラクターですね。今回もどのキャラクターも魅力的に描かれていますし、声も素晴らしいです。なお、今作で初めて気付いたのですが、この作品はキャラ名が全員和菓子関連ですね。黒十(こくとう)、小倉(「おぐら」ではなく「こくら」ですが)、稲餅、御手洗(みたらし)、飴宮、それに蓬。こういうお遊び、気付くとちょっとにやりとできて好きです。この先どんな名前の登場人物が出てくるかも楽しみです。

ツールはティラノスクリプト。今回はエンディングが6種類あります。選択肢というより、マップ移動画面で間違えるとバッドエンドというパターンが多いようです(その分、セーブ及びロードで一手間多いのが、前作より少し気になりますが)。難易度はさほどでもないので、容易に全エンドを見られると思います。プレイ時間は45分から1時間。とにかくキャラクターが立っている作品ですし、黒十と柚葉の過去を示唆するような描写もありましたので、次回以降からも目が離せません。
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