第734回/だから、もう泣かないで - 学校七不思議(銀の盾) - ホラー
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第734回/だから、もう泣かないで - 学校七不思議(銀の盾)

ホラー
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学校七不思議

学校七不思議■制作者/銀の盾(ダウンロード
■ジャンル/学校怪談探索ADV
■プレイ時間/1時間半

心霊研究部に所属する女子高生、美加と絵梨。2人は夜の学校探検をしようと約束し……。時は巡り、美加の妹由美が高校2年生の夏。クラスではコックリさんが流行っていたが、その時見慣れない女生徒が由美のクラスに入ってきて、コックリさんをしている由美たちに警告する。そして起こる惨劇。学校の秘密とは。そして消えた美加と絵梨はどこに?

ここが○

  • 凝った三部構成と分岐。
  • ただのホラーではなく、しんみりと心に沁みる物語。
  • 演出や次回予告など、細かいところまでしっかり作られている。

ここが×

  • 第一部と第二部の間に脈絡の薄さを感じる。
  • 第二部以降は文章読み返しができない。
  • 分岐が少々多すぎる感も。

■だから、もう泣かないで

また懐かしい作品の登場。なんと「ふりーむ!」の一般登録枠(昔は、レビュー枠と一般登録枠の2種類あったのです。私の「カレイド」はレビュー枠でした)で、ノベル・ADV部門の最初の作品なのです。ふりーむには作品IDがありますが(「https://www.freem.ne.jp/win/game/xxx」の「xxx」の数字」)、今では21,000を超えているその作品IDが、「2番」なのです。登場は2002年。

しかも、初出は2000年7月です。元々はコミックメーカーで作られていたのですが、それを2年後に吉里吉里にてリメイクしたとのこと。これだけ分岐が多い作品ですから、コミックメーカーでプレイすることを考えるとかなり大変そうですが、その頃のプレイ環境はそんなものでした。とにかく、20年近く前の作品ですが、今でも全く問題なく動きます。さすがは吉里吉里というしかありません。

学校七不思議ジャンルとしては学園ホラー。夜の学校探索ものです。一番最近レビューした作品だと「ソラウタ。」がこのジャンルですね。「神無月の夜 ~why they die 0~」もこのタイプの作品です。ホラーとしては定番の舞台ですが、最近では以前ほどはこの舞台設定を見ない気がします(昔はこの手の舞台設定、かなり多かったのです。私が紹介してないだけで)。そういう意味で、今プレイすると逆に新鮮な気持ちになれました。

出だしは心霊研究部の2人しかいない部員、美加と絵梨の日常描写から始まります。この2人の物語になるのかと思いきや、いきなり数年後に時間が飛びます。美加と絵梨は何やら原因不明の行方不明になったらしく、冒頭では小学生だった、美加の妹である由美の物語になってしまいます。由美がクラスメイトとコックリさん(懐かしい……)をしていたところ、見慣れない女生徒が現れ……。その後は定番の、「夜の学校」ものになります。

実はこのコックリさん事件(北水由美の章)は導入部で、そこで全部のエンディングを見ると、第二部である「七不思議の章」へ進みます。こここそがこの物語の中心部と言ってもいいパート。コックリさん騒動の後、由美がクラスメイトたちと夜の学校で肝試しをするのですが、そこで七不思議に巻き込まれ……という展開。その事件の中で、行方不明になっていた美加と絵梨の存在が朧げながら明らかになります。

更にそこで全部のエンディングを見ると、第三部へと突入。この章はまた時間軸が戻り、主人公が美加と絵梨に戻ります。いわゆる「サンドウィッチタイプ」と呼べる構成ですね。この第三部はおまけ的扱いですが、美加と絵梨が行方不明になった原因も(ある程度)分かりますし、おまけらしくちょっとした遊び心もあります。この第三部すらもルート分岐があるのには恐れ入りました。

ちょっと気になるのは、第一部と第二部の関連性が少し薄いような気がするんですよね(一応、第二部の伏線を張ってはいますが)。それと、合計17もの分岐があるのですが、ここまで多くしなくても良かったように思います。もう少し分岐を絞って、メインの物語を追いやすくした方が良かった気がします。トゥルーエンドを見れば次の章に進めるならともかく、今作は全部のエンドを見ないと次の章に進めませんからね。ただ、当時はこういう、選択肢で次々分岐していくタイプが多かったですから、当時の流行に則った作りであると言えますし、分岐は多彩で、その意味では楽しめます。

ホラーとしては、そこまで怖がらせるような作りではありません。怖がらせるというよりは、姉妹の絆を描いたハートウォーミングストーリーとでも言いたくなる内容で、ホラー部分を抜きにしてもストーリーはしっかりしています。また当時としては演出も凝っており、また全部読んだ後のおまけから読める次回予告も、期待を持たせるに十分な内容です。2019年現在の目で見ると、少し古さを感じるのは否めませんが(そりゃ古いですし)、しかし今プレイしても「ゲームとしての面白さ」という意味では、何ら今の作品に遜色ありません。ノベルゲーム(ADV)の本質をしっかり掴んで作られている作品だと思います。

ただ1つだけ非常に困る点が。第一部では文章の読み返しができるのですが、第二部以降はできなくなってしまうのです(読み返し画面にはなるものの、何も表示されない)。これは若干参りました。まあ、システム上何度も同じ文章を読みますし、結構軽く読めるタイプの文章ですので、そこまでプレイする上での支障にはならないかも知れませんが。そういう訳ですので、第二部以降は、うっかり文章を飛ばさないように気をつけてください。

エンド数は、第一部と第二部が7つずつ、第三部が3つで合計17。エンディング数は多いのですが、分岐条件はそこまでややこしくないので、あまり苦労しないでしょう。ただ、選択肢の数は結構多いので、適当にやっているとどこで何を選んだか分からなくなる恐れがあります。メモを取りながらプレイすることをお薦めします。プレイ時間は1時間ではちょっと厳しい。1時間半でしょうね。昨今のビジュアルに凝りまくった作品を見慣れていると、ちょっと地味に映るかも知れません。しかし上でも書いたように、ノベルゲームの本質というものが、この作品にはあるように思います。今プレイしても楽しめますし、勉強になる点も多々あると思いますよ。
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