第747回/重なる気持ちはカンタービレ - Subito Quartet(Nonlinear) - 恋愛
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト(通常) - 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別
作品リスト(掌編) - 新着順名前順ジャンル別
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第747回/重なる気持ちはカンタービレ - Subito Quartet(Nonlinear)

恋愛
  • comment0
  • trackback-

Subito Quartet

Subito Quartet■制作者/Nonlinear(ダウンロード
■ジャンル/弦楽四重奏恋愛ノベル
■プレイ時間/3時間

響奏は私立日立高校、通称「音校」に通う、ヴァイオリン奏者の高校2年生。迫ってきた音楽祭に、前年の失敗の反省から今年は独奏で出ようと思っていた。が、ある日奏が練習していたところ、同じ2年生のチェロ奏者、和瀬花音が一緒に弦楽四重奏をやろうと誘ってきた。願ったりな申し出を受けた奏と四重奏のメンバー達の、音楽と恋にかける青春物語。

ここが○

  • 音楽と恋という取り合わせが上手くマッチしている。
  • 個性的なヒロイン達。
  • 正攻法の作りの恋愛もので、安心して楽しめる。

ここが×

  • 目立った事件があまり起こらない。
  • どのヒロインのルートでも、大まかな流れは同じ。
  • 隠しヒロインのルートが余りに淡白すぎ。

■重なる気持ちはカンタービレ

この作品も少し前に公開されたものなのですが(2011年)、実は公開当初プレイしています。なのにレビューに取り上げていないのが謎なのですが、たまたま多忙な時期に当たると、レビューを書かないまま忘れてしまったということもありますので、ちょうど忙しい時期にレビューを書き忘れたのかも知れません。そんな訳で、今回改めてプレイして、ご紹介に至った次第です。ちなみに作者さんは「空のかけら、太陽のうた」の方です。

テーマは音楽です。テーマが音楽という作品は、古くは「Brass reatoration」「Homeless, the Vagabond」から、「」「Musicus-ムジクス-」「空白の音色」など、探せば結構出てくるのですが、大体はバンドとかギター、せいぜいピアノ辺りまででした(フルートが登場する「透明な優しさ」もありましたね)。

Subito Quartetそんな中、この作品のメインテーマは弦楽四重奏。なかなか簡単に取り上げられるテーマではありません。私も、ピアノ四重奏やピアノ三重奏、あるいはフルートアンサンブルならば経験がありますが、ソロとは全然違う難しさがあるんですよね。特にピアノ四重奏では、チェロの音が聴き取りにくく、合わせるのに苦労した覚えがあります(チェロはピアノの右奥辺りに来るので、どうしても聴き取りづらいのです)。

この手のテーマを取り上げる場合は、リアル志向でしっかり音楽の専門的な難しさも描写する方法と、テーマの雰囲気だけ借りて、人間関係や作中のイベントに音楽を活かす方法がありますが、この作品は後者です。音楽の細かいところは、ほとんど描かれていません。この作品の場合は、恋愛ドラマがメインですし、変に音楽要素に傾き過ぎて訳が分からなくなるよりは、音楽はあくまで味付けと割り切って、思い切って恋愛に振ったこの作りでも問題ないと思います。なおタイトルの「Subito」とは「すぐに」という意味の音楽用語(イタリア語)です。出会ってすぐに四重奏団を組んだところに引っ掛けているのかも知れません。

主人公の響奏(ひびき・かなで)は、通称「音校」と呼ばれるほど音楽が盛んな、日立高校の2年生。ヴァイオリンの腕前には少々覚えがあります。そんな彼を、天真爛漫なチェロ奏者和瀬花音が、一緒に四重奏をやろうと誘うところから物語がスタートします。四重奏団のメンバーは、第1ヴァイオリンがツンデレ生徒会長の梅宮凛、第2ヴァイオリンは奏、ヴィオラはボクっ娘の倉敷由美、そしてチェロが花音。ハーレムなカルテットです。こんなグループに入れたら、練習も楽しそう(笑)。

3人のヒロインは性格分けがはっきりとしており、多少ステロタイプを感じるところはあるものの、描写もしっかりしていてキャラクターの魅力がよく出ています。そして3人は、それぞれ抱えている問題があり、迫る音楽祭のための練習と、各ヒロインの問題を織り交ぜながらストーリーが進行していきます。音楽と恋愛のバランスがよく、恋愛ものとして気持ちよく読めます。恋愛ものとしては非常に甘ったるい感じで、好きな人だとにやけてしまうような展開です。

ただ、3人の抱えている問題はそれぞれ異なるのですが、大まかな展開はどのヒロインでも同じなんですよね(もちろん一応個別イベントもあるにはある)。また、そこまで大きな事件が起こる訳でもありません(花音ルートの途中にそれなりに大きな事件が起きますが)。なので、少し盛り上がりどころが薄い感じがしました。ラストの音楽祭に入る辺りは、もう少しわざとらしくてもいいから、劇的に盛り上げても良かったような気がします。「入」という字を3回書いてしまう由美には笑ってしまいましたが(笑)。

なお、1回目のプレイでは花音ルート固定です。花音エンドを見たら選択肢が追加され、凛、由美のルートにも入れるようになります。3人のエンドを見たら、更に選択肢が追加され、4人目の隠しヒロインが登場します。このヒロインは、冒頭の曰くありげな描写の鍵を握る重要人物……のはずなのですが、このルートが一番あっさりしており、イベントらしいイベントもほとんど起こらず、ちょっと拍子抜けしてしまいました。せっかくそれらしい伏線も張ったのですから、もう少し何とかしようがあったのでは。これなら、残り3人の誰かをメインに据えた方が良かった気もしました。

とまあ、少し作りが中途半端なところが気にならなくもありませんが(作品自体の作りも、改行が変だったり、途中で凛の立ち絵が2人出てきたり、立ち絵が出て来なかったり、細かいミスが結構ある。デートシーンの立ち絵が制服というのも若干気になった)、個性的な3人のヒロインと会話しているだけでも楽しめます。物語それ自体よりも、個性豊かなヒロインとの楽器練習などの、醸し出す雰囲気、空気感が楽しい作品と言えると思います。音楽と恋という取り合わせが、上手く融合しているんですよね。実際、久々にプレイしたのですが、楽しみながら最後まで読むことができました。

ツールは吉里吉里です。プレイ時間ですが、初回(花音ルート)は1時間半弱、凛と由美は40分くらい、隠しヒロインは15分くらい。合計3時間内外です。隠しヒロインルート以外にはグッドエンド、ノーマルエンド、バッドエンドの3つがありますが、難易度は高くありません。ノーマルとバッドは結構後味が悪いので、わざわざ狙うこともないかも知れません。最近では減った気がする、明るく楽しい学園恋愛もの。この手の作品がお好きなら、きっと楽しめるはずです。
関連記事

Comments 0

Leave a reply