掌編ミニレビュー第24回 - Summer Girl ―夏の少女とボク―/山中の宿/昼の国、夜の国 - 掌編ミニレビュー
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掌編ミニレビュー第24回 - Summer Girl ―夏の少女とボク―/山中の宿/昼の国、夜の国

掌編ミニレビュー
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70. Summer Girl ―夏の少女とボク―

Summer Girl ―夏の少女とボク―■制作者/mint wings(ダウンロード
■ジャンル/不思議系
■ツール/NScripter


Being -君がいた日-」「私は今日ここで死にます。」でお馴染み、mint wingsさんの作品です。この作者さんの作品は、強いテーマ性と物語を上手く融合させた作品が多い印象なのですが、この作品は、「夏に田舎に行って不思議な少女に出会う」という、非常に典型的な設定です。その中で、物語というよりはエピソード、更には「場面」を描き出したような作品です。

大輔が、不思議な年上の少女のぞみと出会って交流する日々を描くのですが、如何せん尺が短いので、2人の過ごした時間が思い出になるまでを十分描き切れているとは言えません。しかし、向日葵の花をキーアイテムとしてさりげなく配し、更にはあえて明確な因果関係を描かないことで、読後に余韻を残すことに成功しています。長い物語で同じことをやると、何とも言えない消化不良感が出るものですが、これは掌編ならではの手法なのではないでしょうか。

象徴的なのが、エピローグです。通常あの手の、主人公のその後を描いた後日談は、蛇足っぽく感じることも多いのですが、メインのエピソードに想像の余地を残し、最後を現実的に締めることで、全体のバランスがしっかり整っていたように感じました。「物語」として見れば、少し素っ気無いところがあるのは否定できませんが、「夏のささやかな思い出」を刺激してくれる、味わいのある掌編です。

71. 山中の宿

山中の宿■制作者/aiGame(ダウンロード
■ジャンル/ホラー
■ツール/吉里吉里


ユメミルセカイ」のイラストや、掌編では「ギャルゲリバース」「白夜想」の方の作品です。この作品は、ホラーと言えばホラーですが、直接的な怖さというよりは、「意味が分かるとちょっと怖い」というショートショートが5本収められています。それぞれの話はそれこそ1〜2分で読める程度の短いもので、ちょっと怖さを感じるものもあれば、ナンセンスなものまで、バラエティに富んでいます。「GIggleのシリーズ」に、ちょっと感じが似ています。

設定も少々凝っていまして、主人公が道に迷い、山中の旅館で泊めてもらう際、暇つぶしに本を読むというもの。いきなり話の選択に入るのでなく、こういう演出があると、それまでの展開との落差で、よりそれぞれのお話の雰囲気が増す効果が感じられました。

そしてこの手の話は「意味が分かると怖い」だけに、分からないと全然怖くないなんてこともありますが、この作品にはなんと「解説」が付いています。分かりやすい反面、少し雰囲気を損ねているきらいがなきにしもあらずではありますが、「本で読んだ」という設定ですし、演出としてこういうやり方もありかも知れません。それほど怖さが感じられる訳ではないのですが、気軽に読めてちょっと不条理な感覚を味わえる作品です。

72. 昼の国、夜の国

昼の国、夜の国準推薦
■制作者/晴れ時々グラタン(ダウンロード
■ジャンル/不思議系
■ツール/NScripter


夏の雫」「虹のくじら」の方の作品です。この方は、一見日常風なところにちょっと不思議な設定を盛り込んで、読後にも少し考え込んでしまうような「ヴェールのかかったような」世界観を描きだすところが特徴であり、また魅力であるように思います。毎回のことですが、イラストが大変綺麗です。絵柄は独特なのですが、儚さを感じさせるような色遣いが素敵ですね。

この作品は、パラレルワールドものと言えなくもないのですが、夜の国の方が夢で、昼の国が本来の世界とあながち言い切れないような描写がなされているのが、面白いところです。なので、ラストで選択肢が出てきますが、昼の国を選んだからトゥルーエンドで、夜の国を選んだからバッドエンドというテイストではありません。どちらが真の世界かというよりも、どちらを選ぶかということに重点が置かれているように感じます。

そんな訳ですので、読後感がすっきりするとは言い難いのですが(それがこの作者さんの作品の味わいでもあります)、この短さで、非常に強く訴える力を持った物語であったと思います。これも、掌編だからこそ作れたストーリーなのではないでしょうか?(長編でこういうタイプの物語にすると、読後にやはり消化不良を感じるでしょうから) なお、選択肢にくるとセーブできませんのでご注意。まあ、スキップが超高速なので困らないでしょう。
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