第751回/これが世紀のクリスマス - 1999 Christmas Eve(1999 Christmas Eve project) - ホラー
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第751回/これが世紀のクリスマス - 1999 Christmas Eve(1999 Christmas Eve project)

ホラー
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1999 Christmas Eve

1999 Christmas Eve準推薦
■制作者/1999 Christmas Eve project(ダウンロード
■ジャンル/イブの教会生き延びホラーADV
■プレイ時間/5時間

密かに気になる女性を、イブに一泊のスキー旅行に誘った主人公。車で宿泊先のペンションへ向かう途中までは予定通りだったのだが、山奥の道で突然車が不調に。助けを呼ぼうと山道を歩いた人は、禍々しい雰囲気を漂わせる大きな教会へたどり着いた。そこで2人は信じられないような体験をすることになる。フリーノベル界の金字塔とも言えるホラー巨編。

ここが○

  • 特に前半の怖さは今見ても凄い。
  • 絵がほとんどないのに、生き生きと、時におぞましく展開する描写。
  • 一切手を抜かれていない大量の分岐とエンディング。

ここが×

  • いくらなんでも難しすぎる。
  • その上、運だけが頼りの箇所があったりする。
  • 宗教だの何だのが絡むテーマは、人を選ぶかも。

■これが世紀のクリスマス

しばらく続いた旧作オンリー期間の締めくくりは、この作品。初出は2000年です。超が3つつくくらいの有名作で、フリーノベル&ADVどころか、当時フリーゲームと名のつくものをプレイしたことがある人ならば、残らずプレイしたであろうと言っても過言がないほどの有名作です。私ももちろんプレイしました。レビュー初期にご紹介した「June Bride」は、この作品に影響を受けて作られたものです。

ならばなぜレビューしていないかと言いますと、シンプルに「あまりにも難しすぎて途中で挫折した」からです。当時もヒントを頼りに頑張ったのですが、序章+全8話のうち、3話までしかたどり着けませんでした。とは言え、16年以上もレビューを続けているレビュアーの端くれとして、この作品を取り上げていないというのもいかがなものかと思い、この度攻略サイトの助けを借りて、何とか完全クリアを果たしました。という訳で「1999 Christmax Eve」を、改めてご紹介です。

1999 Christmas Eve舞台は冬の信州。気になる女性を、一泊二日のスキー旅行に誘った主人公ですが、2人はトラブルから山奥で大きな教会に迷い込みます。そこで出会う様々な恐ろしい出来事を何とか乗り切って、最後まで生き延びるというもの。クローズドサークルものですね。冒頭だけ見れば「かまいたちの夜」風ですが、ペンションで殺人事件が起こる訳ではなく、閉鎖空間に閉じ込められて異常事態に巻き込まれるというのは、むしろ「弟切草」風でもあります。

この作品、とにかく怖さが尋常ではありません。実はこの作品には絵どころか、背景画像すらほとんどありません。要所では背景が出てきますが、出ると言っても画面全体ではなく、右半分の一部に出るだけですし、そもそも背景が何もない、文章だけのシーンも結構あります。だからこそ、時々効果音と共に不意打ちで画面全体に映し出されるホラー画像が、この上なく効果的です。

音を使った演出も非常に効いていました。この手のホラーものって、えてして人間が潰されるとか、そういう直接的なスプラッタシーンの音で怖がらせる傾向にありますが、この作品の場合はそういうシーンの音は実はほとんどありません。冒頭すぐの読経の声や、狂ったように鳴るオルガンなど、直接的にはホラーシーンではない場面で、効果的な音を入れて怖さを際立たせており、これがシナリオと相まって非常に怖さを演出しています。見事な手法だと思います。3話の時間制限選択肢も、緊張感を煽っていましたね。

そのシナリオですが、ちょっと宗教に寄り過ぎだったりしてついていけない人もあるかも知れませんし、主人公が冒頭で教会の構造について「キリスト教ではどうこう、イスラム教ではどうこう」と語り出したり、地の文がちょっとくどくて説明的なところがあるのは、気になるかも知れません。しかし、ただ怖いだけの連続ではなく、後半では謎解きも来たり、長い物語を飽きさせない工夫がされています。

そして単なるホラーではなく、一本しっかりした幹となるストーリーがあり、しかも後半にくれば、前半のイベントの意味も分かってきます。ただ怖いだけのイベントを連発しているだけでは、ある程度の長さがある場合、読み手が飽きてしまいます。その意味で、この作品はただ長いだけでなく、構成も優れています。主な登場人物は主人公たち2人ですが、キャラクターもしっかり立っていて、怖い中にも和ませてくれるところや、心を動かしてくれるシーンもありました。

ただ、冒頭でも書いた通り、この作品はあまりにも難しすぎます。選択肢が、理詰めで考えてもどうにもならないタイプのものも多数ありますし(3話終わりの、殺人鬼を倒す手段の選択肢なんて「何じゃこりゃ?」と思いました(笑))、先へ進むためには2話の迷いの森で一手も無駄にできません。ここがまず序盤の難所で、私はここが分からずに4話へ進めず、挫折しました。

他にもヒントもなしで正しいアイテムを選ばなくてはならなかったり、はたまた一部のシーンでは結果が完全に運任せだったり、フラグ立てがあまりにも厳しすぎたり(好感度が足りなければ、かなり後半に来て二進も三進も行かなくなることも)、6話に入ってしまうと7話へは絶対行けなかったり、「これはプレイヤーに不親切すぎなのでは?」と、今改めてプレイしても思います。まあ、当時は「ADVの価値は、いかにプレイヤーに苦労させるかで決まる」というような傾向の作品が、今よりははるかに多かったのですが。

とは言え、分岐型ADVとして最高峰であることは間違いのない事実です。もちろん、一発即死のようなバッドエンドも多数あるのですが、とにかく分岐が凝っており、エンディングも多彩。死亡エンドと生還エンドに分かれるのですが、申し訳程度に終わり方が少しだけ違う、なんてエンドはほとんどないので、エンディングの集め甲斐もあると思います(自力で全部集めるのは非常に困難ですが)。これほど完成度の高い分岐ノベルは、2019年の今でもほとんどないと言っても過言ではありません。

ツールは吉里吉里で、20年前の作品ですがプレイに全く支障はありません。ただ、ホイールつきマウスが確かまだなかった頃なので、ホイールを使ったテキスト送りや文章読み返しができないのは、少しストレスかもしれません。エンディング数は生還エンドが19、死亡エンドが14、その他にも各種一発死があります。プレイ時間は5時間と書きましたが、独力でそんな時間でクリアすることはまず不可能ですので、攻略サイトを参考にするのをお勧めします。地味であっても演出だけでこれほど怖さを出せ、怖さだけでないストーリーもしっかりあるという、ホラーADVの名作ですから、ホラーがお好きな方は是非プレイしてみてください。これが20年前の作品であることに、きっと驚かされるでしょう。
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