第759回/姉妹異なる髪の影 - 死舞草(Home Security Company) - ホラー
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第759回/姉妹異なる髪の影 - 死舞草(Home Security Company)

ホラー
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死舞草

死舞草■制作者/Home Security Company(ダウンロード
■ジャンル/ハートウォーミングホラーノベル
■プレイ時間/3時間

葉月燕と葉の姉妹は、夏休みに父方の祖父の元へやってきていたが、幼馴染の古崎隼人に、ホラーゲーム作りの資料集めのための森探索に誘われる。隼人がたまたま知り合った少女すみれも合わせた4人で夜の森へ向かった4人だったが、雨も降り始める中、いつまで歩いても目的地に着かない。迷った4人はある洞窟の前に辿り着いた……。ちょっと心温まる連作ホラー。

ここが○

  • グラフィックスや音が高水準。
  • ホラーだけでなく、キャラクターの思いが伝わってくる物語。
  • システム面も作り込まれており快適。

ここが×

  • 一部のギャグが少々寒い。
  • 物語の整合性に難あり。
  • 妙に説明不足な箇所があると思ったら、ある箇所は冗長だったり。

■姉妹異なる髪の影

また少し懐かしい作品のご紹介です。最近は、ホラー作品もなるべく積極的にプレイしようと思っており、そのキャンペーン(?)の一環と言いますか。タイトルは「しまいぐさ」と読みます。起動すればすぐ分かる通り、10年以上前の作品なのですが、グラシックス、ユーザーインターフェイスは大変作り込まれていて美麗かつ操作性も快適。今プレイしても全く遜色ありません。まずオープニングムービーが豪華で、プレイヤーをいきなりわくわくさせてくれます。

この作品には合計4つのエピソードが入っていまして、最初の3話を読み終えると、最終話の鍵が開きます。最初の3話は30分前後で読めますが、最終話は1時間半位かかります。そして、それぞれの話は、直接的な続きというほどではないですが、登場人物は共通で、緩く繋がっています。主な登場人物は共通。葉月燕と葉(よう)の姉妹。その他、各話に出てきた登場人物が最終話で総登場したりもします。第3話までのエンドを全部見ると、最終話へ入れるようになります。全部のエンドを見るとは言っても、攻略はごく簡単ですので心配は要りません。

死舞草第1話は「底なしの洞窟」。燕と葉が夏休みにやってきた父方の祖父の家での騒動。幼馴染の古崎隼人が「ホラーゲームを作る参考にしたい」と、夜の森探索をすると言い出し、それに燕と葉を誘います。隼人が偶然知り合った少女、すみれも合わせた4人で夜の森に入りますが、4人は道に迷ってしまい、洞窟の中に入り込みます。そこで燕は気を失ってしまい……。定番の、夜の森探索。シチュエーションとしてはなかなかの怖さですが、4人のキャラクターが明るく、軽く読ませてくれます。

この章は、洞窟に入った後は燕がほとんど気を失ってしまっており、その後は具体的な出来事はあまり描写されません。なのでクライマックスで少々肩透かしを食らった感じ。また、全体に若干説明不足の感は否めませんでした。過去の姉妹の話について、簡単に回想の形でエピソードを紹介してみるとか、もうちょっと親切な作りにしても良かったような気はします。この第1話には選択肢はありません。

第2話は「学校と親友と私」。燕の同級生の委員長が、夜の学校での肝試しを提案し、みんなで夜の学校を探索するというもの。燕と親友の怜、もちろん葉も一緒です。これも定番の舞台設定ですね。そして、肝試しが終わった後、怜を追いかけて再び校舎へ戻る燕と葉。そして明らかになる過去の事件。学校ホラーとしては、怜の力が特殊で怖さに少し欠けたのと、怜の存在がこれまた説明不足なのですが(いつ燕と友達になったのか、等)、手堅くまとまっていた話です。実はこの話が全4話の中で一番短いです。選択肢でトゥルーエンドとグッドエンドに分岐します。

第3話は「アカガミ」。燕と葉が父親の知り合いの別荘へ行き、そこでトラブルに巻き込まれる話。別荘には持ち主である父の友人はおらず、その娘の青草ナツだけがいました。夕刻、戻らない燕を心配した葉が探しに行きますが、人の姿が誰も見当たらない廃村を見つけ……。このパートは演出も相まって、なかなかの怖さ。特に廃屋を探検した時の画面効果は心臓に悪い(笑)。この話もやはり少々説明不足が目立ち、すっきりしないものを感じるのですが、ホラーという意味ではこの話が一番「らしかった」かも知れません。選択肢でトゥルーエンドとバッドエンドに分岐します。

そして最終話「姉妹草」。選択肢はありません。いきなり第3話から1年くらいが過ぎています。実はこの最終話はある事実が隠されているのですが、比較的すぐにその秘密には気付きます。が、演出の都合上「影」の独白が延々と続くため、この話はちょっと冗長に感じました。事実には比較的すぐに感づくのに、話がなかなか進まないんですよね。またやはり説明不足なところはあります。

例えば大和という重要キャラクターがいきなり登場したり(私は「第1話に出たのを見落としてたっけ?」と、読み返しまでしました)、葉を守ってくれる影についても何の説明も無かったり、構成という意味では、全体に少し大雑把なところがあるのは否定できません。何より、一番肝心な燕のことについて全く説明がないんですよね。それでいて読み手は燕がどうなったかだけはすぐ分かるものですから、何とも言えない収まりの悪さを感じました。

しかし、ラストはなかなか綺麗な終わり方です。押し付けがましく感動させようというような描写がない分、かえって心に響きました。第3話までで徐々に積み上げられた「姉妹の絆」が、最後でしっかり効いていた感じです。この作品は、複数の方でシナリオを書いたようで、そのためか少し繋がり、収まりという点で難を感じたのも事実ですし、ホラーなのに一部のギャグが寒かったりするんですが(汗)、逆に、ホラーにもかかわらず登場人物のやり取り暖かみと優しさを感じたのは、大きな長所でもあると思います。「ほのぼのホラー」とでも言いましょうか。

ツールは吉里吉里。プレイ時間は全部読んで3時間前後でしょう。プレイは非常にしやすいのですが、ただ1つ、なぜか既読スキップができないのは困りました(吉里吉里だと通常Fキーでできるのですが)。readme.txtには、enter長押しでスキップできるとありましたが、それもできませんでした。まあ、それほど分岐もないですからなんとかなるでしょう。キャラクターが全員よく立っており、見た目の美麗さも合わせて、ホラーが苦手な人でもキャラクタードラマとして楽しめる話だと思いますよ。
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